米5月CPI2.4%上昇、前月からやや加速 関税措置で物価高の兆し

米労働省の労働統計局(BLS)が11日発表した5月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.1%上昇した。ニューヨーク市内のスーパーマーケットで2022年撮影(2025年 ロイター/Andrew Kelly/ File Photo)

[ワシントン  11日  ロイター] - 米労働省の労働統計局(BLS)が11日発表した5月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.4%上昇し、伸びは4月の2.3%からやや加速した。ガソリン価格の低下で家賃の上昇が相殺されたことで、伸びは予想(2.5%)を下回った。ただ、トランプ政権が掲げる関税措置により、インフレは加速すると予想されている。

物価の「瞬間風速」を示す前月比では0.1%上昇。4月は0.2%上昇していた。ロイター調査によるエコノミスト予想は0.2%上昇だった。

<コア指数前年比2.8%上昇、前月比0.1%上昇>

変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前月比0.1%、前年比2.8%上昇した。予想はそれぞれ0.3%、2.9%上昇。4月は0.2%、2.8%上昇していた。

5月の基調的な物価上昇圧力が抑制されていたことについてエコノミストは、多くの小売業者が関税前に仕入れた商品を販売しているため、トランプ大統領が掲げる広範な関税措置に対する反応は今のところ緩やかなものになっているとの見方を示している。

MITのシニアフェロー、ダニエル・ホーヌング氏は「関税措置を巡る先行き不透明性が高まる前は、米国のインフレ率は目標値に向けて順調に低下していたことが示された」と指摘。同時に「今後の(物価情勢の)進展に対する主な障害は、関税措置に関連する価格上昇であることも示された」と述べた。

<サービス価格0.2%上昇、財価格は横ばい>

サービス価格は0.2%上昇。前月は0.4%上昇していた。モノ(財)の価格は横ばい。前月は0.1%上昇していた。

一部のエコノミストは、賃金上昇の緩和に伴うサービス価格の上昇の緩和で、米政権が掲げる関税措置に起因する物価の急上昇が和らげられる可能性があると指摘。INGのチーフ国際エコノミスト、ジェームズ・ナイトリー氏は「サービス部門が経済の中心的な存在となる中、労働コストが最大のコスト要因になっている」とし、「労働市場が冷え込めば、関税の影響の緩和につながる」との見方を示した。

項目別では、食品が前月比0.3%上昇。前月は0.1%下落していた。シリアルやパンなど家庭で消費される食品が大きく上昇。果物や野菜も上昇した。ただ、これまで急騰していた卵は2.7%下落。肉類や乳製品も下落した。

ガソリン価格は2.6%下落した。

住居費は0.3%上昇。帰属家賃も0.3%上昇した。一方、宿泊費は0.1%下落した。

医療費は0.3%、処方薬は0.6%上昇。自動車保険は0.7%上昇した。一方、航空運賃は2.7%下落。中古車・トラックは0.5%、新車は0.3%下落した。衣料品は0.4%下落した。

ただ、関税措置に起因する価格上昇もみられた。大型家電は4.3%上昇。2020年8月以来の大幅な伸びなった。鉄鋼とアルミニウムに対する関税を反映したものとみられる。

玩具は1.3%上昇し、23年2月以来の大幅な伸びとなった。

BLSは4日、リソースの制約から3都市でのCPIデータ収集を中止すると発表した。 もっと見る
A column chart titled "Monthly change in US Consumer Price Index" that tracks the metric over the last year.A line chart comparing inflation metrics over the past five years.

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab

関連記事: