【レポート】二宮和也『アクターズハウス』に日本人俳優として初出演!「貴重な経験でした」

映画『8番出口』が『第30回釜山国際映画祭』の「ミッドナイト・パッション部門」へ正式招待。

開幕式のレッドカーペットイベント、そして深夜の公式上映を無事に終え、9月19日、主演の二宮和也が『Actors’ House(アクターズハウス)』に登壇した。

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■俳異国の地・釜山で、自身の俳優人生を振り返る

『Actors’ House』は、演技力だけでなく、スクリーン内外で際立つスター性を放ち、高い評価を得ている俳優にスポットをあて、俳優自身の魅力に迫る、毎年完売必至のトークプログラム。今年は、韓国を代表する3名の俳優(イ・ビョンホン、ソン・イェジン、キム・ユジョン)とともに、日本人俳優初となる出演者として二宮が選抜された。

会場となる「ソヒャンシアター」は、開演前から、俳優・二宮和也の話を聞こうと熱気が充満。司会者の掛け声で二宮が登場すると、「ニノ~!」と、会場中から拍手と歓声が巻き起こった。そして、釜山の海を見たこと、到着した日に参鶏湯を食べたことなど、釜山エピソードで和やかな雰囲気のもと、イベントはスタートした。

韓国プレミアで、早速、現地の人たちの心をわしづかみにした本作。「出演しているキャストが限られているなかで、ひとりのお芝居をする時間が長いのは挑戦だなと思ったのと、原作にストーリーがなかったため、どういうふうに実写映画化するのだろうという興味が湧いたのは大きいですね」と、出演を決めた経緯について二宮が語ると、司会者から「本作は“迷う男”の出演シーンが多いことから、観客を一人称の主人公に没入させるような演技が必要だったと思います。他作品と準備する際の過程の違いはありましたか?」と質問。

二宮は「脚本の製作の段階から参加させてもらったのは大きいです。一人芝居で展開を作っていくうえで台本どおりに演じてしまうと、台本に描かれていることと、現実で起こっていることに齟齬がうまれて…。自身で表現してやっていくしかないという中でその誤差を現場で起こしたくなかったので、脚本製作から参加させてもらいました」と、本作の脚本協力の秘密を語った。

また、二宮が出演した過去の多種多様な作品を振り返りながら、「実際に起きた歴史の場合と、現実に存在していない物語の場合、キャラクターにアプローチする方法に違いはあるのか聞かれると、「違いですか…?」と聞きながらしばらく沈黙が続くと「頑張れ~!」「フ~!」という応援の声が。

「未来に関しては“飛び過ぎないこと”が大事かなと思います。世界観は200~300年の未来だとしても、人間は5~10年しか経っていないなど、独自のルールをつくって考えています。過去に関しては、ご縁があって当時の時代設定の作品によく呼ばれるのですが、要因は当時の体型に似ているので感情移入しやすいかららしいです。それに関しては、親に感謝しています(笑)」とコメント。

さらに、司会者自身が役者としての二宮が好きな理由のひとつに“動き”があると語り、「作品によって多様な演技を見せてくださいますが、その都度、立っている佇まいから、体の動かし方が違うように感じます。長い間、舞台に立ってきたアーティストとしての感覚とも関係があるのでしょうか?」という鋭い質問に対し、二宮は「それはあると思います」とひと言。

「嵐で活動している際に、コンサート中にフリーで動く場面があるのですが、メンバー全員で同じ場所に動くと固まってしまうのでありえないんです。割とそういう力はグループ活動のおかげで自然と身についてきた気がします。行かないところに行ってみるとか、あえてそっちに行ってみるとか、空気の流れを意識しながら動くのは、グループ活動で培われた力です」と、嵐としての活動を振り返り、長年培ってきたアーティストとしての一面も語った。

その他、過去に出演した映画、テレビドラマについて様々な切り口で自身の歩みを振り返りながら、真剣にじっくり話していたのが印象的だった二宮。最後は場内にいる観客が二宮に質問をするQ&Aコーナーへ。

ある男性ファンは「中学時代から二宮さんのファンで、現在は日本と韓国を行き来し役者をしています。アイドルとして活動しながら演技を始めて、現在までにお芝居をするうえでの姿勢が変わってきていると思いますが、いかがでしょうか? また、演技をするなかで大切にしているポイントがありましたら教えてください」と熱心に質問。

これに対し、二宮は「嵐が全盛期のときは、たくさんいる役者のなかで、自分はなぜ呼ばれたのかをよく考えていました。お芝居か、メインのターゲット層を引き込みたいからか、それともバラエティ番組での宣伝でたくさん動くためなのか…冷静にとらえていました。ですが、最近はそれを全部やろうと動いている点は過去との違いですね。お芝居に関していちばん大事にしていることは、ストレートに言うと“監督に言わせない”こと。キャスト・スタッフ全員が把握しているなかで、指示出ししても聞かないな、自信があるんだな…と、監督を黙らせられたら成功だと思っているタイプなので絶対的自信が大事なのかなと思います」とコメント。

続けて「もうひとつつけ加えると、“おいしい”と“まずい”というふたつが食にあって、おいしいものってたくさんあって、値段に差があってもおいしいものはおいしい。だけどまずいものはまずい。うまい人ってたくさんいて、下手な人って自分が不安になるくらい明確なものだったりするので、下手なものを見たほうがうまくなると思います」と相手の目を見て最後まで真剣に答えた。

また、『Actors’ House』に出演した感想を聞かれると、「本当に貴重な経験をいただきありがとうございました。やはり僕は、自分たちで手を尽くたものが世界に届く仕事をしたいと話をしていて、評価をもらうことがひとつの夢でもあったので、8番が皆さんに観ていただけたのがうれしいですし、やってよかったなと思っています。これを機に、二宮が韓国にくるべきだと思っていただけるのであれば(笑)、ゲストではなく、レギュラーとしてちゃんと出演したいです。自分の韓国語で皆さんの心を掴むのが夢のひとつに加わりました。が、それは韓国側からオファーがこないとはじまらないので、二宮みたいかもって思っていただけたら! 嵐のことも皆さんが能動的に動いてくださったおかげだと思うので、韓国の皆さんに恩返ししたいと思っています。皆さんのお茶の間に登場するのが夢なので、これからも頑張っていきますので、応援のほどよろしくお願いいたします」と笑顔で応えた。

無事に『Actors’ House』の出演を終え、二宮は「自分自身(二宮自身)のことを勉強してくださっていて、質問の深さというか、自分で忘れているものばかりで焦りましたが、いい時間でした。こういったいわゆる海外でディスカッションする機会はなかったので貴重な経験でした」と振り返った。

異国の地で、司会者と1対1のトークショーを体験したことに対しは、「日本ではあまりないので新鮮でした。一般のお客様と作品を主軸に話すことが多いので、過去作品も出てくるとは思わなかったです。質問してくださった俳優をしている方は、いちばん前のセンターで真剣にずっと聞いてくれて、有意義な時間だったでしょうし、彼の先輩になるわけなので、言葉をもらえるのは、自分自身も励みになる、出し惜しみをしていてはいけないなと思いました」と決意をあらたに。

海外への想いについては「『8番出口』はいろいろな国際映画祭に出品されて、いろいRPな評価をもらえていることは、励みになります。自分が面白いと思っていたものは間違いじゃなかったんだなと思うと、チャレンジすべきだなと思いますね」と語った。

■野外ステージでトークイベントも実施

そして同日行われた野外ステージの登壇イベントには、二宮和也、“歩く男”役で話題を呼んでいる河内大和、そして川村元気監督が出席。

『釜山国際映画祭』最大の座席数を誇る、解放感あふれる空間が特徴的な「映画の殿堂 BIFF 野外ステージ」にて、約4,500人の観客を前にトークイベントを実施した。

会場に集まったファンに向けて、川村監督は「本日はお集りいただきありがとうございます。作品にまつわる話を楽しくできたらと思います」、二宮は「アニョハセヨ!(こんにちは!) 作品の話をたくさんして、皆さんに劇場へ足を運んでもらえたらと思います。よろしくお願いいたします」、そして河内は「アニョハセヨ! 本日はお越しいただきありがとうございます。最後まで楽しんでいってください」とそれぞれ挨拶。

このイベントは写真撮影OKだったため、多くのファンが登壇者にカメラを向けており、二宮はじめ、登壇者はカメラに向かって笑顔を向けるなど神対応が炸裂。

さらに本作を製作するきっかけや出演オファーを受けたときの感想など、一つひとつの質問に3人は丁寧に回答していた。また、「作中の“迷う男”のように、出口を探してさまようことがあった場合、周囲を疑うタイプか? それとも、疑わないタイプか?」という質問には「私は…信じやすいから、疑わずに進んで行っちゃうかな」という河内の回答に対し、「うーん…僕もそっちかも」と二宮が答えると、場内からは「え~!」という驚きの声が上がった。

そして、二宮が「本作を製作するにあたり、日本の地下通路を旅していたら、釜山にたどり着き、皆さんと会うことができ、地下通路を歩くのも悪くないなと思います。今回の釜山国際映画祭では、日本作品もたくさん上映されているので、ぜひ観ていただけたらと思いますし、僕もまた戻って来れるように頑張りたいです」と挨拶し、トークイベントを締めくくった。

■映画情報

『8番出口』大ヒット公開中原作:KOTAKE CREATE『8番出口』配給:東宝監督:川村元気脚本:平瀬謙太朗、川村元気音楽: Yasutaka Nakata(CAPSULE)、網守将平出演:二宮和也、河内大和、浅沼成、花瀬琴音、小松菜奈脚本協力:二宮和也

(C)2025 映画「8番出口」製作委員会

■関連リンク

映画『8番出口』作品サイトexit8-movie.toho.co.jp/

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