豊田章男会長が石破総理に提案!!「アメ車をトヨタが売る」より実現可能性が高くて実効性があってクルマ好きが喜ぶ計画

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 2025年6月9日、トヨタ自動車の公式Youtubeチャンネル『トヨタイムズ』で新たな動画「自動車関税でユーザーへの影響は?石破総理と豊田会長 面会の内容とは?|トヨタイムズビジネス」が公開されました。日米両政府の間で最も重大なテーマのひとつである自動車関税について、真正面から取り上げた内容であり、トヨタの中嶋裕樹副社長(商品担当)が、豊田章男会長と石破茂総理大臣との会合で語られた内容も解説。大変興味深い内容で見所・聴き所もたくさんあった。ただその後の報道を見ると、(自動車情報専門メディアから見ると)最大のポイントについてあまり触れられていない気がするので、その点、ざっくり解説いたします。

文:ベストカーWeb編集部、写真:トヨタ自動車、トヨタイムズ

【画像ギャラリー】北米トヨタ専売車が日本導入!??? 日本で売れそうなアメリカトヨタ車(8枚) 『トヨタイムズ』6月9日配信。当編集部でもおなじみの池田直渡氏も大活躍

 2025年5月1日夜、トヨタ自動車の豊田章男会長と石破茂総理大臣が都内のホテルで45分間、会合したと報じられた。豊田章男会長は、米国トランプ大統領とは旧知で「アキオ」と呼ばれる仲であり、また石破総理とも高校の同級生とのこと(知らなかった!)。

 両トップと知り合いである章男会長だからこそ、日米間の喫緊の話題である自動車関税問題について提言できることがある…ということで、この会合がセットされた(中嶋副社長は動画内で「たまたま近くに居たので」と言っていたが、そんなことあるのでしょうか…?)。

 会談に同席した中嶋副社長によると、章男会長と石破総理の会談では「日米の自動車産業の違いの説明」が中心だったとのこと。

 日本車(日本メーカー製の車両)はアメリカでたくさん売れているのに、アメリカ車(アメリカメーカー製の車両)は日本ではあまり売れないのには理由や事情があって、たとえば日米では道路のサイズも車庫のサイズも大きく異なり、人々のクルマに対する考え方も異なる。その考え方の違いから、「認証の仕組みの違い」、「法律(道交法)の違い」、「保安基準の違い」などが生まれており、この差を埋めるのは一朝一夕にはいかない、と。

 また、日本の道路の70%は「軽自動車サイズで走るのが適当な道幅」と言われており、そういう土地で大きなアメリカ車が売れるのか、というかなり直接的な問題もある。

 さらにいえば税金の問題も大きく、たとえば重量税や環境性能割といった現在の自動車をめぐる税金は、大きく重たいアメリカ車には不利な構造になっている。

 こういう状況で、無理やりアメリカ車を日本に持ってきたとして、はたしてユーザーに受け入れられるのか。買うのか。

 これは編集部の意見だが、アメリカ車メーカーが本気でアメリカ車を日本で売りたいのであれば、日本市場をもっと真剣に研究し、日本市場に合ったクルマを作るしかないだろう(それで研究開発費や設備投資費がペイするとは思えないのでとても危険なギャンブルにはなるだろうが)。

 さてそのうえで、トヨタ自動車の話。

 トヨタは北米市場で年間約273万台(2024年度/カナダ、メキシコ含む/レクサス含む)のクルマを売っている。このうち北米で生産されたクルマは約207.4万台(同年度)。だいたいざっくり全体の3/4を北米圏内で生産し、1/4を日本から輸出している計算になる。

 もちろん輸出台数や輸出額を単純に赤字/黒字と当てはめることは難しいし(雇用創出や部品輸出入、工場設立コストなどもあるので)、前述のとおり、日米には自動車をめぐる(お互いの風土や国民性に根差した)制度そのものの違いもある。

 違いはあるが、アメリカ政府から見て「この約70万台の差は、もうちょっとどうにかならないの?」と感じることはあるだろう。

 この状況と認識の差を、章男会長は石破総理に説明し、そのうえで(当編集部がざっくり整理したところ)2つの提案を、総理に説明したとのこと。

 ひとつめが「トヨタが北米で生産しているトヨタ車を日本へ輸入して日本で売ること」、ふたつめが「アメリカのメーカーが生産したアメリカ車をトヨタの販売店で売ること」。

 どちらもかなり強烈なプランで、実現すれば大ニュースではある。

動画内で紹介された、日本における輸入メーカーの販売店数。アメリカ車メーカーの正規販売代理店は163店舗しかない(トヨタは約4000店舗)

 主要メディアはこぞって後者、「アメリカのメーカーが生産したアメリカ車をトヨタの販売店で売ること」を報じているが(かつてトヨタがGM車を売っていたこともあり)、これ、純粋に実現可能性や効果を考えると、前者、「トヨタが北米で生産しているトヨタ車を日本へ輸入して日本で売ること」のほうがだいぶ大きい話ではないか。

北米トヨタの大黒柱のひとつ、カムリ。かっこいい!

 もちろん、トヨタがアメリカで作ってアメリカで売っているクルマは、アメリカの道に合わせたアメリカ人向けのクルマではある。しかしミニバンのシエナやセダンのカムリ、SUVのハイランダーなど、日本人が見てもなかなか魅力的なラインナップも用意されている。

 正直なところ、GMやフォードのクルマが日本で売れるとは思わないけれど、アメリカトヨタのクルマなら売れそうな気が…する……のですが……。

 本件はもちろんまだ「石破総理に提案した」という段階であり、これを日本政府がアメリカ政府に提案するかどうか、提案したとしてアメリカ政府が歓迎するかどうかも分からない。分からないとはいえ、大変興味深いプランだし、日本のクルマ好きもワクワクする話なので、実現に向かうと面白い話になりそう。

 日米自動車関税交渉は現時点でかなり難航しているようですが、こういうクルマ好きが喜ぶようなプランが考証の糸口になるなら大歓迎。日本政府は、ぜひアメリカ政府とトランプ大統領へ提案してほしい!

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