田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」

 * * *  卒業証明書を発行してもらうだけでよかった。  端緒はただ、それだけの話であった。極めてシンプルな話であった。  それなのに、静岡県伊東市の田久保眞紀市長はいたるところで〈東洋大学法学部卒業〉としていた。疑惑発覚後も卒業だと抗弁した。  市の広報誌「広報いとう」2ページ目にも〈新市長 田久保眞紀 就任!〉〈東洋大学法学部卒業〉と書いてある。いまとなっては「自分の知らないところで勝手に書かれた」とでも言うのか。

「嘘つきでしょう。嘘ですよ、誰だってわかりますよ」  温泉街や伊豆シャボテン動物公園など観光地として知られる静岡県伊東市。伊東駅すぐの商店街、湯の花通りの60代男性はあきれたようにこう語る。 「私だって大昔だけど大学出てるからわかる。それでも卒業証明書なんて古くたって時間はかかるがとれる。だからあれは嘘、そういうことですよ」  彼は数年前、とくに用はなかったが思い立って「母校の記念に」と卒業証明書をとったことがあるそうだが、とくに難しいこともなく郵送でとれたという。大学にもよるが多くの大学は卒業20年以内などの基準はあるが学位授与・卒業証明書、成績・単位修得証明書を郵送やWebで申請することができる。20年以上など古くの卒業生は卒業証明書のみ取得可能であったり、古い記録簿を参照するため時間が掛かったりするが原則、とることができる。  一般的な昼間の通学部だろうと夜間学部(第二部あるいはイブニングコースとも)だろうと、通信制大学だろうと関係なくとれる。国の学校設置基準を満たし文部科学省の認可を受けた大学ならどこを出ようが学位は学位、日本国の学校教育法における学位規則に基づいたカリキュラムと卒業(修了)審査を経て学位が授与されたものは残る。


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 中退だって他大編入や再入学のために必要となるので成績証明書などとることは可能だし、除籍であっても除籍の記録はあるので知ることはできる。  これ、あたりまえの話をしているだけなのだが、このあたりまえが通用しないどころか田久保市長、7月2日の市民集会でこのように説明した。 〈(東洋)大学側からしめされたのは「除籍」でした。自分自身もまあ、そこについては非常に驚いている〉 〈(大学時代はバイクで走り回ったり)自由奔放な生活をしておりまして、正直いつまでと、きちんとお答えできるような通学の状態ではなかった〉 〈(東洋大学を)一度卒業という扱いになって今どうして除籍になっているのか〉 などと自ら疑問を呈した上で、 〈私が自ら公開している経歴に関しましては「問題はございません」ということで一貫して説明してまいりました。その点につきましては現時点におきましても変わりはございません〉 〈私が経歴を詐称しているというようなことは一切ございません〉 とした。自分の除籍がわからなかった、卒業だと思っていた、などということがあるのか、では後述する証拠として「ちら見せ」した卒業証書のようなものとは何だったのかという話になる。  そもそも田久保市長、6月に複数の伊東市市議らに届いた〈彼女は中退どころか、私は除籍であったと記憶している〉という文書に対して同月25日、 〈代理人弁護士のほうにお任せしてございます〉 〈名誉毀損も含めましての法的な手続きに入っております〉 〈怪文書(告発文のこと)の、えー、そちらのほうの出どころ、えっとそれからですね、特定のほうを最優先にさしていただきたい〉 と抗弁したはずだった。

 市議会議員や記者の〈卒業証書と卒業証明書を提示していただいて、説明する場をお願いしたい〉との問いに対してひたすら「弁護士にお任せ」「名誉毀損」「怪文書の特定を最優先」を繰り返す田久保市長だったが、彼女以外のほぼすべての日本国民(でっかい主語だがそれくらい当たり前の話)はこう思っているはずだ。 「卒業証明書を発行してもらい、公に見せるだけで済む話」と。

NEWSポストセブン

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