宮崎駿監督の“最新作”お披露目 「85歳になって、まだ進化しています」
宮崎駿監督の“最新作”が、7月に公開される。
といっても映画ではなく、自身で手作りした「パノラマボックス」。過去の宮崎アニメや“新作”の一場面を、紙細工で立体的に表現した仕掛け絵箱だ。
宮崎監督が「ジブリパークのために」と2022年から制作していたそうで、「アニメを作る意欲も示している」とか。
Advertisement新作映画への第一歩なのか……?
パノラマボックス7月から展示
3月17日、東京都小金井市のスタジオジブリで、鈴木敏夫プロデューサーと宮崎吾朗監督が記者会見し、「パノラマボックス」の作品を披露した。
「パノラマボックス」は、箱の中に、別々に描いた人物や事物の絵を間隔を空けて多層的に配置し、正面に開けた窓からのぞき込んで楽しむ仕掛け。
中には奥行きのある情景が広がり、見る角度を変えると趣も少しずつ変わっていく。
愛知県のジブリパークのために、宮崎監督が「君たちはどう生きるか」の製作中から作り始めたという。31点の作品を7月8日から展示する予定だ。
パノラマボックスの中には、グライダーのメーベに乗ったナウシカ(「風の谷のナウシカ」)や、ほうきにまたがって空を飛ぶキキ(「魔女の宅急便」)、赤い飛行機の傍らに立つポルコ・ロッソ(「紅の豚」)など宮崎アニメのキャラクターが、立体的に表現されている。
「船の墓場」とタイトルを付けた作品は映画になっていない“新作”がモチーフで、難破船が打ち上げられた浜辺の光景が描かれていた。
吾朗監督によれば「気に入っているシーンや好きな作品のイメージもあるし、完全オリジナルも。自由に作ってもらった」。
紙と鉛筆で自ら手作り
材料は紙と鉛筆、絵の具。自らはさみで切って貼り合わせたという。
「一番慣れ親しんだ材料を使い、自分で作った。人にやらせるのではなく、自分で描いて切り貼りすることに意味があるのだと思う」と鈴木プロデューサー。
そして、制作の動機をこう推測してみせた。
「宮さんは、人の作ったものには興味ない。ジブリパークは吾朗さんが作ったものだが、パノラマボックスでその吾朗さんを否定して、自分が前に出る。それが面白いものを作る原動力。面白いものを作って、世間に『どうだ!』と見せているんです」
パノラマボックスののぞき窓は大人の腰程度の低い位置にあり、いささか窮屈だ。実は「子どもが背伸びすれば、のぞける高さ」と子ども目線なのだ。
パノラマボックスを見学した保育園児が喜んでいるのを見た宮崎監督は、「子どものためのジブリが帰ってきた」と吾朗監督に握手を求めたという。
この日の会見に宮崎監督は姿を見せなかったが、鈴木プロデューサーによれば「85歳になっても、やたら元気」。創作意欲も消えていないようで「絵は衰えるどころか進化して、まだ作りたがっている」。
鈴木プロデューサーは「いいところでやめた方が、いいと思ってるんですよ」と言うのだが……。
目下、パノラマボックスをさらに大きくした作品を制作中なのだとか。【勝田友巳】