ウクライナのスターリンク利用に暗雲、ポーランド大統領の法案拒否権発動で
[ワルシャワ 25日 ロイター] - ポーランドのガフコフスキ副首相兼デジタル化相は25日、同国で暮らすウクライナの避難民向け支援措置延長法案についてナブロツキ大統領が拒否権を発動したため、ウクライナが米スペースXの衛星インターネットサービス「スターリンク」を利用できなくなる恐れが出てきたと明らかにした。
ナブロツキ氏は25日、同法案に拒否権を行使するとともに、今後ウクライナ難民による児童手当や医療給付金の利用を制限する計画を表明した。
ガフコフスキ氏によると、この法案はウクライナにスターリンクを提供する根拠にもなっている。ポーランドはウクライナのスターリンク利用料金支払いを負担しており、法案が成立しなければ、ウクライナは利用継続が不可能になりかねない。
デジタル化省の報道官は、ナブロツキ氏の拒否権発動によって10月1日以降、スターリンク利用料金支払いは法的根拠を失うと述べた。
一方大統領報道官はロイターに、大統領が提案した別の法案を9月末までに議会が採択すれば、スターリンク利用料金支払いの根拠は復活する可能性があると語った。
ポーランドは、ロシアによる2022年のウクライナ侵攻以来、一貫してウクライナを強力に支援してきた。中道派のトゥスク首相とナショナリストのナブロツキ氏はロシアに抵抗するウクライナへの援助が必要という点では意見が一致しているものの、ポーランド国民の一部は国内に住む推定150万人のウクライナ難民への支援継続により消極的になりつつある。
今年の大統領選でナブロツキ氏は、トランプ米大統領に触発された形で「ポーランド第一主義」を掲げ、外国人の権利制限を訴えて当選した。
ナブロツキ氏は、児童手当や医療給付金に関して、ポーランドで働く努力をしているウクライナ難民に限って認めるべきだとの考えを示している。
ウクライナ公共放送局は当局者の話として、同国政府はスターリンク利用料金支払いを巡ってポーランド側と協議中だと伝えた。
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