大村知事「タイチーム全体ではない」と釈明 食事不満動画への「来てほしくなかった」巡り

愛知県の大村秀章知事

4日に閉幕した愛知・名古屋アジア大会で、テックボールのタイ代表関係者について「来てほしくなかった」などとした愛知県の大村秀章知事(大会組織委員会会長)の発言を、タイの複数のメディアが取り上げている。発端はタイ代表の監督がSNSで食事の量の少なさを訴えた動画だった。大村氏は6日の記者会見で監督らへの不満を表明したが、7日には「タイチーム全体に対して発言したものではない」とX(旧ツイッター)で釈明した。

「再生回数を稼ぎに来たの」

大村氏は6日の記者会見で、大会運営を総括する中、タイ代表の監督らが食事の量の少なさを訴えた動画に言及した。問題の食事は大会組織委員会が提供したものではないとして、「事実じゃない」と反論。「再生回数を稼ぎたいのかもしれないが、ちょっと驚いた」と述べた。

会見終盤にも、「タイの選手団の監督、コーチは何しに来たんだろう」「再生回数を稼ぎに来たの」と語った。「それ以上言うと、あれかもしれないが」と前置きした上で、「あまり、こういう人は来てほしくなかったと思った」と発言した。

テックボール混合ダブルス決勝で攻撃するタイ選手(手前)=名古屋市東SC(撮影・甘利慈)

発端はタイ監督の食事動画

問題となった動画は9月中旬、テックボールのタイ代表、レワット・パープチョンプー監督がフェイスブックに投稿した。

タイの有力紙カオソッドは9月17日、監督が会場の食事について「少なすぎる」と冗談交じりに話したと報道。監督は提供された料理を前に「ほんの少ししかくれなかった」「毎日野菜ばっかり食べている」と苦笑し、野菜についても「1種類しか選べないらしいよ」と紹介していた。

ただ、監督が大会組織委員会を名指しして批判したことは確認されていない。

タイ代表側はその後、選手らの食事を会場外の飲食店で確保したと説明し、「選手たちはおなかいっぱいで、試合に臨む準備ができている」とフェイスブックで報告した。

テックボールは国際競技団体が大会運営や費用を負担する条件で実施された。大会組織委員会は9月22日、公式サイトに掲載したプレスリリースで、テックボール会場の食事について「当該飲食は組織委員会が提供したものではありません」と説明した。

タイ紙「おもてなしの精神に欠ける」との声紹介

大村氏の発言は、タイメディアでも報じられた。

カオソッドは6日、電子版で「愛知県知事、タイ選手を『再生回数稼ぎ』と批判」との見出しで報じた。記事では、大村氏の発言に対し、日本国内でも批判が出ていると伝えた。知事という立場にある人物の発言としては強すぎるとの見方や、日本人が重視する「おもてなし」の精神にも欠けるとする反応を紹介した。

閉会式で愛知県の大村秀章知事(左)から大会旗を受け取るOCAのシェイク・ジョアン会長=10月4日、パロマ瑞穂スタジアム

タイのニュースサイト「ザ・タイガー」も7日、英語版で大村氏の発言を報じた。問題となった食事の提供は大会組織委員会ではなく、競技団体側が担当していた事情も説明した。

同サイトのタイ語版は、日本国内で大村氏への批判が出ていると報じる一方、動画が主催者側の不手際との誤解を招いたのであれば、知事の不満も理解できるとする意見があることを紹介している。

知事の釈明に「状況改善せず」

大村氏は7日、Xで「私から、タイチームに対して、『来てほしくなかった』と発言したように誤解される新聞報道がありました」と投稿した。発言の対象はタイ代表チーム全体ではなく、食事の量の少なさを訴えた監督やコーチだったと説明し、一部メディアに抗議したとした。

カオソッドは7日夜、「愛知県知事が釈明、タイ代表選手ではなくタイ人コーチを指していた」との見出しで続報を掲載した。大村氏のXでの説明を紹介した上で、釈明について「状況を良くするものには見えない」と記した。

テックボールはサッカーと卓球を組み合わせた競技で、湾曲した専用台を使い、足や頭などでボールを打ち合う。

タイ代表は今大会、出場した3種目すべてで金メダルを獲得した。(奥原慎平)

愛知県知事、タイのアジア大会チームに「来てほしくなかった」

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