「それは虐殺兵器」─ 防衛省のイスラエル製ドローン購入を止めた市民の力
2026年2月、フランスとドイツの両国政府が相次いで国連のフランチェスカ・アルバネーゼ特別報告者は辞任すべきだという立場を表明した。 特別報告者とは国連人権理事会から任命され、特定の問題を専門的な見地から調査して報告をまとめる役割を果たす。ただし、国連からは独立した存在だ。 イタリアの国際法学者であるアルバネーゼは、イスラエル占領下のパレスチナの人権状況を調査している。 仏独の怒りを買ったのは、2月7日、中東の衛星放送局「アルジャジーラ」がドーハで開催したパネルディスカッションにおけるアルバネーゼの発言だ。彼女はオンラインで議論に参加し、ガザ地区でのジェノサイドに関して、こう述べた。 “We now see that we as a humanity have a common enemy” 「我々はいま、人類共通の敵を目の当たりにしている」 この「人類共通の敵」とは「イスラエル国家を指したものであり、反ユダヤ主義の最たるものだ」として、仏独は辞任要求を突きつけたのだ。 しかし、こうした主張は事実ではない。 たとえばフランスの公共放送局「France24」によるファクトチェックによれば、アルバネーゼが「人類共通の敵」という言葉の前段に言及していたのは、主に以下の現状だ。 ▼世界の大半はイスラエルを止めるのではなく、政治的な弁明や保護、経済的な支援を与えてきた。 ▼西側メディアの多くは人種差別的なジェノサイドのナラティブ(語り)を広めてきた。 ▼我々は大資本やアルゴリズム、兵器を規制してこなかった。 これらを総合して、彼女は「人類共通の敵」と位置づけた。
こうした攻防は「日本から遠く離れた無縁の話」というわけではない。アルバネーゼが指摘するように、イスラエルのあまりに過剰な攻撃を可能にしているのはその軍事力だ。とくにドローンによる攻撃。 イスラエル軍は多数の国産攻撃用ドローンをガザに飛ばして人々を殺害している。この結果、イスラエル製ドローンは性能を向上させたと指摘される。実戦データを大量に蓄積することが可能になったためだ。 もう少しストレートに表現しよう。パレスチナ人が血を流せば流すほど、イスラエル製ドローンは強化された。 そのイスラエル製ドローンが、日本の防衛装備庁(防衛省の外局)にも売り込まれた。政府が2025年度予算で初めて攻撃用ドローンを購入することを決めると、一般競争入札に先立つ実証実験に、イスラエルの「イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ(IAI)」社製の2機種が参加したのだ。
Shuhei Ikehata