『鬼滅の刃』リバイバルは不発 「入場者特典のスクリーンへの侵入」は今後定着するか?

 5月第2週の動員ランキングは、『名探偵コナン 隻眼の残像』が週末3日間で動員44万4000人、興収6億6200万円をあげて4週連続1位。公開から24日間の累計動員は786万5800人、累計興収は113億6600万円。3週連続で2位となったのは『マインクラフト/ザ・ムービー』。週末3日間の動員は23万4000人、興収は3億700万円。公開から17日間の累計動員は205万8500人、累計興収は27億1500万円。両作とも好調が続いているが、ゴールデンウィーク最後の週末だった前週と比べるといずれも半減している。

 今週注目したいのは、6位に初登場した『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』。3日間で動員は7万5100人、興収は1億2800万円。言わずと知れた、2020年10月に公開されて404.3億円 というぶっちぎりの歴代最高興収を記録した作品のリバイバル上映だが、先週末はその数字に1億円ちょっと上乗せしたことになる。

 問題は、今回のリバイバル上映が全国370館、及び日本全国すべてのIMAXシアター53館の計423スクリーンで5週間にわたって上映される予定であることだ。それだけの規模での上映でありながら、この動員、この興収は、はっきり言うと目算を誤ったことになる。なにしろ、週末の動員数を上映スクリーン数(423スクリーン)と日数(3日間)で割ったら1日60人にも満たないのだ。

 今回のリバイバル上映は、7月18日、つまり今回の5週間限定リバイバル上映が終わるとその1ヶ月後に迫った『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章』公開前の景気づけ、あるいは観測気球的な意味合いが大きいのだろう。結果的にこれが「景気づけ」になったのかどうかは疑わしいが、観測気球という点では意味があったのかもしれない。興行予測をする上で、今年最も読めないのが『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章』。もちろん大ヒットとなるのは間違いないのだが、なにしろ前作が興収400億円超えである。3部作の「第一章」ということもふまえて、その記録を超えることは100%ないとしても、その半減程度で収まるのか、それとも4分の1となる100億円前後にとどまるのか。今回のリバイバル上映の結果をそのまま受けるならば、後者の可能性もあり得るのではないだろうか。

 ご多分に漏れず、今回のリバイバル上映でも入場者特典が第1弾、第2弾と週替わりで用意されているわけだが、もう一つ作品ファンダムの間で話題になっているのが(本来はもっと広く話題になることを想定していたのだろうが)、今回の上映では『劇場版「鬼滅の刃」無限城編」』の劇場限定予告映像が流れることだ。公開を2ヶ月後に控えた新作映画の予告編を「リバイバル上映のスクリーンだけで流す」というのは前代未聞の話だが、今年は『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』の上映でも、客足が鈍ってきた公開5週目から本編映像の上映後にテレビシリーズの予告となる「特別映像」の上映がおこなわれた。これは、「入場者特典のスクリーンへの侵入」とも言える、今のところ日本の映画興行でしか見られない劇場動員のための奇妙な戦略だ。

■公開情報 『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』 リバイバル上映中 原作:吾峠呼世晴(集英社ジャンプ コミックス刊) 監督:外崎春雄 キャラクターデザイン・総作画監督:松島晃 脚本制作:ufotable サブキャラクターデザイン:佐藤美幸、梶山庸子、菊池美花 プロップデザイン:小山将治 コンセプトアート:衛藤功二、矢中 勝、樺澤侑里 撮影監督:寺尾優一 3D監督:西脇一樹 色彩設計:大前祐子 編集:神野学 音楽:梶浦由記、椎名豪 アニメーション制作:ufotable 製作:アニプレックス、集英社、ufotable ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable 公式サイト:https://kimetsu.com/anime/katanakajinosatohen/

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