ブラジル大統領選で敗れたボルソナロ氏、国外逃亡を否定 米マイアミ到着後

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25日に行われたブラジル大統領選の決選投票で敗れた後、ブラジルを出国しアメリカ・フロリダ州に到着した右派フラヴィオ・ボルソナロ氏(45)は28日、「国を離れる」意図は全くなかったと述べた。

大統領選の決選投票では、左派で現職のルイス・イナシオ・「ルラ」・ダ・シルヴァ氏(81)が逆転勝利した。10月初めの第1回投票ではボルソナロ氏が勝ったものの、決選投票でルラ氏は票の51.79%を獲得し、ボルソナロ氏の48.21%を上回った。票差は440万票に達した。

ボルソナロ氏は出国後初めて発表した声明で、「私はブラジルから逃げたわけではない。ブラジルのために去ったのだ」と述べた。

ブラジル当局は刑事捜査の一環として、ボルソナロ氏とその家族の旅券を停止したが、米政府がボルソナロ一家に入国査証(ビザ)を発給した。ボルソナロ氏は不正行為を否定している。

アメリカのドナルド・トランプ大統領は28日、記者団に対し、「我々はボルソナロ氏の入国を許可した」と話した。

ブラジル大統領選で再選を果たしたルラ大統領は、ボルソナロ氏が秘密裏に出国したことを批判し、「隠すことがなければ何も恐れる必要はない」と述べた。

【検証】ボルソナロ氏はどのように米マイアミにたどり着いたのか、アルゼンチンとエクアドルを経由

ボルソナロ氏がフロリダ州に到着したことで、その所在をめぐる数日間の混乱が終わった。

ボルソナロ氏については当初、アルゼンチンへ移動したと報じられた。その後、27日にすでにアメリカへ入国したとの報道も流れた。

声明の中でボルソナロ氏は、アルゼンチンとアメリカの大統領、そして「我が国の善良な国民と同じ価値観を共有する」アメリカ国民に対して感謝した。

「国を離れる意図は全くなかった。しかし、この先に何が起きるのか、私にははっきり分かる」ともボルソナロ氏は述べ、「例外的な体制の下から離れることで、私は国民にふさわしい指導者になることができる」と主張した。

また、自分はクーデターと政治的迫害の犠牲者で、家族を守るために渡米したと説明した。

フロリダ州の空港を移動するボルソナロ氏の姿は、傘で隠された

ボルソナロ氏、「不正選挙」を主張

ボルソナロ氏は長文の声明で、大統領選で「不正」があり、それによって「数学的にあり得ない」結果が生じたと、根拠を示さずに主張を繰り返した。

トランプ米大統領は28日、ボルソナロ氏の声明が主張する疑惑について、言及を避けた。

トランプ氏は、「私は関与しない。非常に奇妙な選挙だった」としたうえで、ボルソナロ氏とその家族は「とても不当な扱いを受けた」と思うと述べた。

この結果は、ブラジル高等選挙裁判所のカッシオ・ヌネス・マルケス長官によって認定された。マルケス長官は、フラヴィオ氏の父ジャイル・ボルソナロ前大統領に任命された人物。

アルゼンチン経由でアメリカへ

ボルソナロ氏の所在をめぐる臆測は、アルゼンチンのニュースサイトによる報道をきっかけに広がった。このニュースサイトは、ボルソナロ氏がブラジルとアルゼンチンの陸路国境を越え、アメリカ行きのプライベートジェットに搭乗したと伝えた。

ブラジル警察はこうしたうわさを重く受け止めた。警察は27日早朝に国境検問所を調べたが、ボルソナロ氏が出国したことを示す証拠は見つからなかった。アルゼンチン当局も、ボルソナロ氏が国境を越えたとの報告はないと説明した。

一時は、ボルソナロ氏が決選投票で予想外の敗北を喫したことや、刑事捜査の一環として当局に旅券提出を命じられたことから、ボルソナロ氏は身を潜めているだけかもしれないとの見方もあった。

しかし、ボルソナロ氏が命令から24時間以内に旅券を提出しなかったため、ブラジル当局は旅券を停止し、警察に国境検問所で確認にあたるよう命じた。

その後、ボルソナロ氏が出国したのではないかとの見方が急速に広まった。同氏の弁護人も、本人がどこにいるか把握できていないと述べた。

27日夕になると、複数の情報筋がBBCなどの報道機関に対し、ボルソナロ氏がアメリカへ向かっていると証言した。

フラヴィオ・ボルソナロ氏と弟のエドゥアルド氏と親しいいとこは27日、BBCブラジルに対し、フラヴィオ氏が米マイアミに到着したと明らかにした。

また、エドゥアルド氏の側近も同日、BBCムンドに対し、フラヴィオ氏が弟と一緒にマイアミにいると説明した。

この時、BBCはフラヴィオ、エドゥアルド両氏に直接コメントを求めることはできなかった。

しかし、その後、アルゼンチンの出入国管理当局はソーシャルメディアへの投稿で、フラヴィオ氏と妻、娘2人が現地時間27日夜に陸路でアルゼンチンへ入国したと発表した。

BBCが検証したフライト追跡データによると、一家は28日午前0時18分、アルゼンチンのプエルト・イグアスからエクアドルのグアヤキルへ向かったとみられる。

このプライベートジェットは、グアキヤルで給油後、米マイアミのオーパロッカ・エグゼクティブ空港へ移動した。ここで、一家が28日午前9時30分より少し前に降機する様子が撮影された。

ボルソナロ氏の到着を待っていた報道カメラマンらは、空港を後にする同氏を取り囲んだ。ボルソナロ氏の関係者らは傘を使い、ボルソナロ氏の姿を隠そうとした。

弟エドゥアルド氏はその後、兄と一緒に写った写真をソーシャルメディアに投稿した。撮影場所は「アメリカ合衆国」となっている。

キャプションには、「再開した兄のフラヴィオ・ボルソナロと今日撮影した写真。昨日は長い一日だった。おそらく人生で最も長い一日だった。それでも私たちは成功した。国外にいても、私たちはブラジルを諦めたりしない」と書かれている。

アメリカへ渡ったボルソナロ一族は、フラヴィオ氏が初めてではない。

父ジャイル・ボルソナロ前大統領は2022年11月の選挙でルラ氏に敗れた後、ルラ氏の就任前にブラジルを離れてフロリダ州へ出国した。

2023年1月8日に、前大統領の支持者らがブラジルの政府庁舎や最高裁判所に乱入した時もアメリカにとどまり、2023年3月に帰国した。

2025年9月には、2022年の大統領選挙の結果を覆そうとしてクーデターを企てた罪で有罪となり、禁錮27年3カ月の刑が言い渡された。

弟エドゥアルド氏は、ブラジル連邦議会から休職の許可を得て、2025年に米テキサス州に移住した。エドゥアルド氏はアメリカ滞在中、父親のクーデター裁判に影響を与えようと、米当局者に働きかけた。こうした動きは、アメリカによるブラジルへの懲罰的関税や、当局者らに対する制裁につながった。

この件をめぐっては、ブラジルの最高裁判所が今年、エドゥアルド氏に対し、本人不在のまま有罪判決を言い渡した。

フラヴィオ氏の今後

フラヴィオ・ボルソナロ氏の最終的な行き先や、アメリカにどれくらい滞在するのかは明らかになっていない。

ボルソナロ氏は現在、連邦最高裁判所で係属中の事件2件で捜査対象となっている。

1件は、映画「ダーク・ホース」に対して民間銀行バンコ・マスターから約7000万ドルが送金された件をめぐる不正の疑いをめぐるもの。この映画は、フラヴィオ氏の父ボルソナロ前大統大統領を描いた伝記映画。

もう1件は資金洗浄疑惑に関するもので、ボルソナロ氏は両方の疑惑を否定している。

ボルソナロ氏は、8年間の上院議員任期が終わる来年1月31日に議員特権を失うことになる。

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