トランプが「NATOのアメリカ離れ」を加速させている? 加盟国が行き着く「アメリカの敵国」とは

ドナルド・トランプ米大統領の傍若無人な言動が、NATO加盟国のアメリカ離れを加速させているかもしれない。 【画像】「NATOのアメリカ離れ」を示すグラフ 米ギャラップ社は、NATOに加盟している31カ国の人々を対象に、2025年3月27日から10月30日にかけて世論調査を行った。結果、2025年のアメリカへのイメージは大幅に悪化した一方、中国の好感度は上昇した。 本誌はNATOにコメントを求めている。 具体的には、アメリカへの支持率は前年比14ポイント減の21%と大幅減となった一方、中国への支持率は8ポイント増の22%と、アメリカを上回っただけでなく、過去最大の上昇幅を記録した。 アメリカへの支持率は、NATO加盟31カ国のうち18カ国で少なくとも10ポイント低下した。ただし、中国への支持率が劇的に上がったわけではない。実際、2桁上昇したのは、スペイン、イタリア、ベルギーの3カ国にとどまる。スロベニア、ギリシャ、ハンガリー、トルコでも大きな支持率の伸びを見せたが、他の国での変化は小さかった。 米中の支持率の差に注目すると、スロベニア、ルクセンブルク、トルコ、ブルガリア、スペイン、モンテネグロ、アイスランド、ギリシャの8カ国で、中国が10ポイント以上アメリカを上回る支持を得ている。 一方、アメリカが中国より高い支持を得ている国はポーランド、アルバニア、ルーマニア3か国に留まる。なお、他の20か国では、アメリカと中国の支持率はほぼ同程度だ。 ギャラップは、アメリカと中国の指導部に対する支持が再び同程度になったことについて、共和党政権下ではアメリカの支持率が下がる傾向にあり、今回も同じ状況になったと指摘している。

NATO加盟国による対米評価は、アメリカによるイランへの軍事攻撃の可能性をめぐる緊張にも左右されうる。 現在、イランの現体制を脅かす抗議活動が行われており、イラン政府はこれに弾圧をもって応えている。イラン政府の弾圧に対する報復として、アメリカ軍がベネズエラのニコラス・マドゥロ夫妻を拘束した記憶も新しい中、トランプが攻撃命令を出すか否かが問われている状況だ。 米首都ワシントンのシンクタンク民主主義防衛財団(FDD)で中国問題を専門とするクレイグ・シングルトンは、トランプがイランへの攻撃命令を出した場合、中国政府は「言葉での抑制的な対応にとどめるだろう」と本誌に語った。 その理由として、2週間という短期間にベネズエラとイランという2つの地域で軍事作戦が実施された場合、中国政府内の政策決定者にとっては、「アメリカの軍事力はいまだに圧倒的だ。アメリカは軍事作戦に伴うリスクを容認可能と判断すれば、確実に行動に移す」という基本認識が強化されることになるからだという。 中国は表向きには非難や自制を呼びかけるだろうが、中国政府は「アメリカが行動を決断したとき、中国が築いてきた各国との関係を用いても、アメリカの行動を抑止する力がない」という現実を痛感する。 「ベネズエラでそれは地域的に明らかになった。イランを通じて世界規模で再確認させられることになる」 2022年以降、NATOの結束は試され続けている。ロシアによるウクライナ侵攻に対しては、中国は中立を表明しつつも一定の支援を行ってきた。 また、米中関係も悪化の一途をたどっており、貿易戦争も継続中だ。南欧・中欧への中国資本が流入しており、トランプはNATOへの関与に対する疑念を示す発言を繰り返している。 今年に入って、トランプはグリーンランドを取得する意志を再表明した。これを受けNATO加盟国の世論はさらに動く可能性がある。トランプは軍事力行使の可能性も排除していない。これに対し、デンマーク政府は「グリーンランド取得のための軍事力行使はNATOの終焉を意味する」と警告している。

ブレンダン・コール、ジョン・フェン

ニューズウィーク日本版
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