【大河ドラマ 豊臣兄弟!】主演の仲野太賀さんに聞く 「100人のうちの1人ではなく、99人の側に立つのが秀長」

2026年の大河ドラマ「豊臣兄弟!」(1月4日スタート※初回15分拡大版、NHK総合 夜8:00~ほか)で、主演を務める豊臣秀長役の仲野太賀さんが、放送開始を前に報道各社の取材に応じ、現在の心境を語りました。豊臣秀吉の弟で、天下人の名補佐役として知られた秀長について、「人と人との間(あいだ)に立っていた人。秀吉に見えない景色を見ていたと思う」とその人物像の魅力を表現しました。(取材・美術展ナビ編集班 岡部匡志)

仲間を大切にするのが小一郎のモットー

「ここまで積み上げてきたものが繋がった」

――改めて大河ドラマの主役をオファーされたときの心境と、現在の意気込みについてきかせてください。

仲野さん 「役者として、以前からいつかは大河ドラマの主役に、という思いはありました。しかし大河ドラマの出演の機会を重ねるごとに、先輩方の演技などを目の当たりにして、その責任の重さや求められるものの大きさを実感することになり、自分にとってはむしろ遠い夢になっていました。そうしたところに突然、夢が現実になり、驚きが大きかったです。これまでに積み重ねた様々な仕事と、出会いとがすべて繋がってここにようやく到達できた、と感じました。恩を受けた方々の顔が次々に頭に浮かびました」

兄・秀吉の運命の人となる寧々(ねね)は浜辺美波さん

――座長として心掛けていることはなんですか。

仲野さん 「憧れの『ザ・座長』像には急になれないので、あくまで自分らしく、ということを意識しています。緊張しがちな現場を明るく、楽しく、和やかにして、キャストやスタッフの皆さんがリラックスできる空気作りに努めています」

兄、秀吉との関係がドラマの軸になっていく

「兄が見えなかった景色を見ていた秀長」

――実際に演じてみて、秀長の人物像について今はどういう人とイメージしていますか。

仲野さん 「秀長は、秀吉のような100人に1人のカリスマではなく、どちらかといえば99人の側にいたと思います。兄と、家臣や市井の人々との間に立って寄り添い、支えていたのではないかと想像しています。秀吉には見えなかった景色を見ていたように思います」

――どうしてそのように感じましたか。

仲野さん 「先日、奈良県にある秀長ゆかりの壺阪寺というお寺に伺い、秀長像に対面してきました。その像が作られたのは寛永7年頃(1630年)だそうで、豊臣家が滅び、徳川の世になってしばらくしてから作られたものでした。豊臣家にまつわる事物がタブーに近い時代に、そうした像が作られたところをみても、秀長の人柄が偲ばれると思いました」

きょうだいとの触れあいもドラマのみどころ

キャラクターが生き生き、脚本の魅力

――小一郎(秀長の青年期)の演技はどのように組み立てていますか。

仲野さん 「百姓出身という出自や、家族や友人を大切にする人という脚本の設定を大切にしながら、受け身ではなく、物語を推進する人物として演じようと考えています。貧困や階級差に直面しつつ、生きるエネルギーにあふれたキャラクターになるよう意識しています」

――八津弘幸さんの脚本の魅力について。

仲野さん 「史実として知られていることはありますが、この先兄弟が困難を突破して世界を拡げていく光景を思うと、夢が膨らみます。キャラクターが生き生きしていますし、軽やかな青春活劇と、戦国絵巻の緊張感が両立していて、演じていても胸が熱くなります」

秀吉役の池松壮亮さんとは常に話しあう

小栗さんの「圧」、圧倒的

――共演者について。

仲野さん 「秀吉役の池松壮亮さんは長い付き合いで何でも言える間柄。とにかく対話を欠かしません。『今、この作品を作る意味』やあるべきリーダー像について一緒に考えて、熱気のある兄弟のストーリーを目指しています。小栗旬さんの信長の『圧』は圧倒的です。対峙するたび、自分にも覚悟が求められます。小栗さんはあらゆることにストイックで、現場では精神的に支えてもらっています。」

直との触れあいにぜひ注目

――物語の序盤では、小一郎と幼馴染の直(白石聖さん)との関係にスポットが当たります。

仲野さん 「直は小一郎の本質を見抜き、人生の節目で小一郎の背中を押す重要人物です。白石さんは本当に誠実なお芝居をする方。直との向き合いによって、小一郎の新たな表情が生まれてきます。小一郎と直の関係性にぜひ、注目してください」

幼馴染の直は、小一郎の背中を押してくれる大切な存在

――大河ドラマの主役となると、制作は1年半の長丁場ですね。どのように日々を過ごしていますか。

仲野さん 「大河ドラマは短距離走ではなくマラソンです。最近はしっかり休みを取る体制ができていて、土日は休み、月曜日にリハーサル、火曜日以降に撮影、という一定のリズムを刻みます。休息と役に向けた仕込みの循環が集中力とパフォーマンスを支えてくれます。力み過ぎることなく、休みの日はリラックスすることを心掛けています」

仲野太賀(なかの・たいが)さん 1993 年生まれ、東京都出身。2006 年に俳優デビュー。近年の主な出演作は、ドラマ『新宿野戦病院』、映画『十一人の賊軍』など。公開待機作に映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ』(2026327日公開)がある。連続テレビ小説『虎に翼』では猪爪家の書生である佐田優三を演じた。大河ドラマは『風林火山』『天地人』『江~姫たちの戦国~』『八重の桜』『いだてん〜東京オリムピック噺〜』に出演。 <あわせて読みたい>

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