免許不要の電動モビリティ 日本の電気屋が「ペダルなし電動バイク」を開発 パナソニック初の特定小型原付「MU」2025年12月発売

パナソニックサイクルテック株式会社は、同社初となる電動モビリティ、特定小型原付の「MU(エム・ユー)」を2025年12月上旬に発売します。16歳以上で免許不要、自転車メーカーのノウハウを活かした着座式構造の漕がずに走れるママチャリ(シティサイクル)スタイルが特徴です。

 パナソニックサイクルテック株式会社(以下、パナソニック)は、同社初となる電動モビリティ、特定小型原動機付自転車(以下、特定小型原付)の「MU(エム・ユー)」を2025年12月上旬に発売します。16歳以上で免許不要、自転車メーカーのノウハウを活かした着座式構造の漕がずに走れるママチャリ(シティサイクル)スタイルで、パナソニックとしてはフル電動モビリティの第1弾モデルとなります。

パナソニック初の特定小型原付「MU(エム・ユー)」

 近年、とくに都市部で多く見られるようになった、ちょっとした移動に便利な特定小型原付として電動キックボードが普及していますが、「MU」では自転車用タイヤ(前後20インチ)、電動アシスト自転車(e-BIKE)と共通仕様の大容量バッテリーを採用するなど、自転車のような安定走行と日常での扱いやすさを重視した設計がなされています。

 また、警察庁でも違法運転や誤解を招く販売で注意喚起を促している「ペダル付き電動バイク」(いわゆる電動モペット)とは異なり、特定小型原付の車体構造および保安基準を満たした車体は、「ペダルなし」で電気モーターの動力で走行します。

「MU」開発の背景には、都市部を中心に短距離移動のニーズが高まり、多様なモビリティが活用されるなかで、2023年7月1日に施行された改正道路交通法によって、特定小型原付という車両区分が新設されたことがあります。

 同社独自の意識調査では、電気の動力を利用した「電動マイクロモビリティ」の認知・利用状況はe-BIKEが「便利そう」と最も多く、一方でキックボード型の特定小型原付(いわゆる電動キックボード)には「危なそう」という印象が最も多かったといいます。

「パナソニック」のルーツは1918年の「松下電器具製作所」創業者、松下幸之助の時代までさかのぼり、1952年に「ナショナル」ブランドで自転車を世に送り出しています。家電メーカーとして「電気屋らしい自転車を作れ」という創業者の言葉をもとに、1980年には国内第1号となる電気自転車「Electric Cycle DG-EC2」を発表しました。

 1996年にナショナル自転車初のe-BIKEを発売し、以降市場規模の拡大にともない、現在パナソニックでは多彩な商品ラインナップを誇り、ここで「自転車型」の特定小型原付を新商品として開発することは自然な流れと言えるでしょう。

国内第1号となる電気自転車、ナショナル「Electric Cycle DG-EC2」(1980年)

 なお、特定小型原付は車道走行(最高速度20km/h)が原則ですが、「MU」は「特例特定小型原付」の機能も搭載しており、例外的に歩道走行も可能な「歩道モード」(最高速度6km/h)も備えています。さらに「押し歩き」の際は、電源を切った状態でも暗い環境ではヘッドライトを点灯することが可能です。

 スロットルを開けて走り出しの際の穏やかな出力特性は年配の利用者も配慮したもので、また上り坂で停止状態からの発進では、なかなかブレーキレバーをリリースできないことを考慮して、ブレーキを握った状態でもモーターは稼働します。

「漕がずに走れる」利便性でe-BIKEとの棲み分けを図っており、また2025年11月より排気量50ccの原付バイクが実質上の生産終了となることから、その代替としてのニーズも視野に入れています。

 パナソニック初の特定小型原付「MU」は、低床U型フレームにコンパクトな車体、3タイプの車体色を用意し、価格(消費税10%込み)は23万4000円となっています(日本製)。

<仕様一覧> 品名:MU タイヤサイズ:20×2.125HE 質量:24kg 寸法:全長1610mm×全幅585mm モーター出力/250W 最高速度:20km/h(車道モード)、6km/h(歩道モード) 走行距離:約40km(1充電あたり・電動アシスト自転車業界統一テストに準ずる条件) バッテリー:リチウムイオンバッテリー バッテリー容量:16.0Ah

カラー:パールジェムホワイト/ナチュラルブラック、シャインライトグリーン/ナチュラルブラック、マットソイルベージュ/マットジェットブラック

【特定小型原動機付自転車とは】 2023年7月1日に施行された改正道路交通法により、原動機付自転車に新設された車両区分。定格出力0.6kW以下の電動機を使用し、最高速度20km/h以下、長さ190cm以下、幅60cm以下の電動モビリティ。AT機構や最高速度表示灯を備えた構造が条件。通行は車道の左端が原則。運転の条件は16歳以上で運転免許は不要。ヘルメット着用は努力義務。自賠責保険への加入、ナンバープレートの装備が義務。例外的に歩道通行が可能な特例特定小型原動機付自転車は、最高速度6km/hで表示灯を点滅させる構造などの条件を満たすことが必須。

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