豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出資案=関係筋

トヨタグループの中核企業の豊田自動織機が、非上場化を検討していることが分かった。写真はトヨタ自動車のロゴ。2024年11月、タイのバンコクで撮影(2025年 ロイター/Athit Perawongmetha)

[東京 26日 ロイター] - トヨタグループの中核企業の豊田自動織機(6201.T), opens new tabが、非上場化を検討していることが分かった。複数の投資ファンドから資産の有効活用などをたびたび求められる中、長期的に経営の自由度向上を図る。トヨタ自動車(7203.T), opens new tabやグループ企業が特別目的会社(SPC)を立ち上げ、株式を公開買い付け(TOB)する案が浮上している。関係者2人が明らかにした。
豊田織機はトヨタのルーツとなる企業で、トヨタのほか、デンソー(6902.T), opens new tabなどグループ企業の株式を多く保有する。ここ数年は株主の投資ファンドから親子上場や株式持ち合いの解消、資本コストや株価を意識した経営の実現など、さまざまな要求を受けてきた。

関係者の1人によると、豊田織機は非上場化によって経営資源を事業や投資に振り向けたい考え。別の関係者によれば、トヨタとしてはグループの企業統治(コーポレートガバナンス)を強化する狙いがある。

豊田織機の時価総額は25日時点で約4兆3000億円。TOBは一般的にプレミアム(上乗せ)を付けて株式を買い付けることから、買収総額は5兆円以上になる可能性がある。

豊田織機は26日、「資本効率の向上やSPCを通じた非公開化などのさまざまな提案を受けている中、企業価値向上のため、あらゆる可能性を検討している」とのコメントを出した。トヨタも同日、「一部出資することも含め、現在さまざまな可能性を検討」しているとした。

両社とも現時点で決定した事実はないとし、「開示すべき事項が生じた場合には、速やかに開示する」とした。

同関係者らによると、SPCにはトヨタやグループ会社が出資し、金融機関からも融資を受けて買収資金を調達することを検討している。ただ、出資する側の関係者は「投資効果が見込めないとわれわれの株主に賛同してもらえないかもしれない」とし、株主の理解も得る必要があると話している。

豊田織機は1926年、トヨタグループ創始者で自動はた織り機を発明した豊田佐吉氏が設立。佐吉氏はトヨタ自動車の豊田章男現会長の曽祖父に当たる。佐吉氏の長男・喜一郎氏が豊田織機社内に立ち上げた自動車部門が独立する形で37年、トヨタ自動車工業(現:トヨタ自動車)が誕生した。

豊田織機は49年に東京証券取引所に上場。現在は祖業である繊維機械のほか、フォークリフト、エンジンなど自動車部品の製造、トヨタのスポーツ多目的車(SUV)「RAV4」の生産なども手がけている。

2024年9月時点でトヨタが筆頭株主として約24%の株式を保有する一方、豊田織機もトヨタ株を9・07%、デンソー株を5.41%保有するなどしている。

トヨタグループでは22年以降、エンジンや車両の型式などでの認証不正が相次いで発覚し、トヨタの豊田会長が主導してグループの統治改革を進めている。豊田織機でも、フォークリフトや自動車用エンジンの認証で不正行為がみつかった。

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