トランプ氏称賛の米中合意、代償伴う-リセットに過ぎぬとの指摘も
Catherine Lucey、Jennifer A Dlouhy
- 米主要産業が中国からのレアアース供給に依存している現状浮き彫り
- 中国の対米貿易黒字や米国が問題視する中国の貿易慣行などは未解決
米国と中国の代表団が今週ロンドンでの協議で合意した新たな貿易枠組みについて、トランプ大統領は形勢を一変させる突破口だと称賛している。しかし、トランプ氏が大きな成果に掲げる合意は先月の合意内容に立ち戻るのとほぼ変わりなく、代償さえ伴うものだ。
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9、10両日の計約20時間にわたる協議で合意が取りまとめられた後も、米中の関税率に基本的に変更はない。中国からのレアアース(希土類)供給は、トランプ氏が広範な貿易相手国・地域に対する関税措置を発表した4月2日以前の状態に戻る。
一方で、中国の多額の対米貿易黒字や米国が問題視する中国の貿易慣行などは未解決のままだ。
トランプ氏は12日に自身のSNSへの投稿で最新合意を「偉大!」と呼んだが、その多くの部分は引き続き謎に包まれ、米中が先月にスイスのジュネーブで合意した内容をおおむね正式化したものに過ぎない点を政権チームは認めている。
米国は新たな合意のために中国人留学生へのビザ規制強化の方針を撤回せざるを得なかった。さらに両国のやりとりは、主に中国から供給されるレアアースに米国の主要産業が大きく依存している現状を浮き彫りにした。
米デューク大学ロースクールのティム・マイヤー教授(国際通商法)は「政権は重要な合意と位置づけているが、基本的にはリセットに過ぎない」とし、「中国は将来的に一段と強い立場を確保する可能性がある」との見方を示した。
原題:For Trump, Resolving US-China Trade Fight Comes at a Cost(抜粋)
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