〈「あのとき」の歌会始〉歌会始 高円宮妃久子さまは「マウス(ねずみ)がいますから」と機転 皇族方も苦戦した「夢」のお題

「歌会始の儀」で朗詠を聞く高円宮妃久子さま=2025年1月22日午前11時15分、皇居 この記事の写真をすべて見る

 新年を祝う宮中の伝統行事である「歌会始の儀」が14日に開催される。今回のお題は「明(めい)」。読み手のその時の心理が現れる和歌。過去の歌会始の和歌を読み解いた記事を振り返る(この記事は「AERA dot.」に2025年1月26日に掲載された記事の再配信です。肩書や年齢等は当時のもの)。

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 新年恒例の「歌会始の儀」が1月22日、皇居の宮殿「松の間」であった。今年の題は「夢」で、国内外から寄せられた和歌は1万6000首余り。天皇、皇后両陛下をはじめ皇族方が詠まれた歌も披露された。皇族方の歌の御用掛を務める永田和宏さん(77)は、皇族方の和歌からも、それぞれの人柄がうかがえるという。

 天皇や皇族は、なぜ歌を詠むのか。永田さんによると、天皇が訪れた土地の川や山の名前を詠み込んで和歌を作るのは、その土地の暮らしへの祝福の意味を持つのだという。

 かつては天皇や皇族方に加えて、女官や侍従も参加した月次歌会(つきなみのうたかい)も盛んだった。そしてその文化は受け継がれ、今でも宮妃の方々は毎月、和歌を寄せているという。

 なかでも、エネルギッシュで、気さくな人柄で人気のある高円宮妃の久子さまは、多忙にもかかわらず、たくさんの和歌を詠まれるという。

 久子さまは今回、「夢」というお題に対して、2023年に長女の承子さまと訪れたヨルダンのパレスチナ難民キャンプでの人びととの触れ合いを詠んだ。

 ヨルダンの難民キャンプに若きらはこれからの夢を語りをりしが  

 医者や教師、政治家になりたいと、将来の夢を語っていた若者たちのいまに思いを馳せる内容だ。

 永田さんは、「夢を語りをりしが」と結んだ表現が印象に残ったと話す。

「この和歌の優れているところは、結句(けっく)の最後の一字となる『が』にあります。

 つまり、2年前に難民キャンプにいた若者たちは将来の夢を語っていたが、一歩を踏み出せただろうか、いまは無事でいるだろうか――。そう心にかける作者の思いが最後の一文字に凝縮されています」


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「歌会始の儀」を終え、会場を出る愛子さま、高円宮妃久子さま、承子さま=2025年1月22日午前11時43分、皇居

 長女の承子さまは、母の久子さまとの絆を感じさせる和歌だった。

『夢の国のちびっこバク』も三十年(みそとせ)をわが夢食(は)みつつおとなになりしか  

 承子さまは、「夢」というお題に、母の久子さまが執筆した絵本『夢の国のちびっこバク』を思い出し、むかし自分の怖い夢を食べてくれた主人公のバックンも大人になっただろうな、と思いを寄せた。

「今回の和歌も表現が瑞々しくこちらもハッとするような、いい和歌をお詠みになる」

 永田さんは、そう振り返りつつも苦笑する。

「ぜひもっとたくさん作ってください、といつもお伝えしているのですよ」  

 母の久子さまは多忙にもかかわらず、メールの返事が驚くほど速いそうで、「いつお休みになっておられるのか」と永田さんは首をかしげる。

 永田さんとは、こんなユニークなやり取りもある。

 永田さんは、自宅で2匹の仔を飼っている。

 あるとき、久子さまと和歌などについてメールでやり取りをしていると、遊んでほしい仔猫たちがパソコンのキーボードの上に乗ったり、パソコン画面の前に居座ったりし始めてしまった。

 困った永田さんが久子さまに「パソコンで仕事をしていると仔猫がジャマをして困る」とメールをすると、即座に返信メールが届いた。

「マウス(鼠)がいるからですよ」

 思わず笑いがこぼれたと、永田さんは振り返る。

「頭の回転の速い方でいつも感心します」  

紀子さま「二つ三つ」と花が咲く

 今回の歌会始で、秋篠宮家の次女の佳子さまは、時間を忘れるほど絵を描くのに熱中していた幼い頃の思い出を振り返る歌を詠んだ。 

 キャンバスに夢中になりて描きゐしかの日のことはなほあざやかに  

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