【地球の中心に位置する未知の「最奥核」の正体とは?】地震波が解き明かす内核のさらに内側“第5の層”(スペースチャンネル)

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地球内部のイメージ 出典:スペースチャンネル(AI)

私たちの足元、地球の深部には、これまで知られていなかったもう一つの核が存在しているかもしれません。最新の研究により、「内核のさらに内側」に位置する金属質の球体、通称「最奥核」の存在が、地震波の詳細な解析によってこれまでになく明確に観測されました。

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地震波が描き出す“地球の心臓部”

地球の構造 出典:Washiucho

地球の内部構造といえば、一般的には「地殻」「マントル」「外核」「内核」の4層構造として知られています。そして今回、研究チームが注目したのは、地球の中心から半径650km程度に広がる、新たな高密度の鉄を主成分とする球状構造「最奥核」です。これは2002年に存在が初めて提唱されて以降、断続的に研究されてきました。しかし、内核が初めて提唱された1936年の後、教科書に取り入れられるまで時間がかかったように、最奥核の概念も定着には時間がかかるかもしれません。オーストラリアの研究チームは、2017年にソロモン諸島で発生したマグニチュード7.9の地震を含む複数の大規模地震の記録を解析し、地球の直径を縦断する地震波(P波)が、最大5回も往復していたことを確認しました。これは、従来の記録(2往復)を大きく更新するものです。

地球内部のイメージ 出典:スペースチャンネル(AI)

地震発生時、地球内部ではP波やS波といった地震波が発生し、それらが地球の層構造によって屈折・反射・変形されることで、地球内部の密度構造を読み取ることができます。その進み方の違いから、核の構造や物質の性質を推定することが可能となっています。

今回の観測によると、最奥核では地震波の進行が、地球の自転軸に対しておよそ50度傾いた方向で最も遅くなる傾向があると推定されています。これは、鉄の結晶構造が内核外層とは異なる可能性を示唆しています。

地磁場の鍵を握る「成長の痕跡」

地球内部のイメージ 出典:スペースチャンネル(AI)

最奥核の存在と構造は、地球がどのように形成され、どのように進化してきたかを理解する上で極めて重要です。

内核の成長は、周囲の液体の外核に対流を生み出し、その動きが地球の磁場を維持しています。この磁場は、地球の生命環境を保つ上で不可欠なバリアとして機能しており、最奥核の状態が磁場の強弱や反転周期にも関係している可能性があるのです。

また、最奥核がどのように形成されたかという問題は、地球形成史における「転換点」の存在を示唆します。研究者たちは、地球の初期段階での劇的な変化――例えば、核の急速な冷却や組成変化、または天体衝突などが、最奥核の誕生につながった可能性もあると指摘しています。

今回の研究では、世界中の地震観測網から得られた膨大なデータを重ね合わせて信号を増幅し、初めて3回、4回、5回と地球の中心を貫通する「地震波の反響」を観測することに成功しました。これは「地球の心臓部」に対する観測精度の飛躍的な向上を意味しており、最奥核の存在に対する確かな証拠となり得ます。

果たして地球の内部奥深くには一体何が眠っているのでしょうか?是非コメントお待ちしています。

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