「強い時の川崎Fは…」課題見つめた鹿島FW鈴木優磨、天皇杯0-3敗退に「シンプルに醜い試合」
鹿島アントラーズは天皇杯準々決勝でFC町田ゼルビアに0-3で敗れ、2018年から8年連続での国内カップ戦無冠が決まった。フル出場したFW鈴木優磨は試合後、「シンプルに醜い試合。酷い試合をしてしまった。見にきてくれた人に申し訳ない気持ちでいっぱい」と反省の弁を口にした。
前半にCKとスローインから2失点を喫し、反撃を試みた後半の立ち上がりに中盤でのパスミスからスーパーゴールを喰らって3失点目。鈴木は「失点も安いし、失点してからもチームとしてやられてしまった。そういう雰囲気のチームは優勝できない。こういうカップ戦は一発勝負なので、安い失点をしない、隙を与えないチームが勝つと思っている。たくさん隙を与えてしまった」と大量失点に課題を見出した。攻撃ではボールを握る時間帯もあったが、狙いどおりにフィニッシュに持ち込めていたのは前半の立ち上がりのみ。枠内シュートは前半8分にFW田川亨介が放った1本のみに終わった。鈴木は2トップの一角で先発し、前半途中からハーフタイムまでは左サイドハーフでプレーしたが、周囲と噛み合わない場面が続いた。
鈴木が問題提起したのはピッチ上での対応力だ。 「こうやっていこうというチームの狙いは必ずどのチームもあるけど、試合中にやるのは僕たちで、相手がその通りにきているかどうかを判断しないといけない。そこに対して指示通りに相手が来なかった時、『監督、次の指示はなんですか?』とやっている選手は僕は一流の選手だとは思わない。相手がこう来ているからやってみて、どういう変化があるかを見てみたり、自分たちでそれを感じてやらないといけない」そう切り出した鈴木は鬼木達監督が昨季まで率いたライバルチームを例に挙げ、「引き合いに出して言えば、強い時の川崎フロンターレは必ずそうやってきたと思う」と指摘。「相手も一辺倒にやってくるわけではないので、それに監督がいちいち全部を指示をすることはできない。僕たち選手が感じ取りながらああやってみよう、こうやってみようというのは鬼さんからも許容されているので、そこに対しての臨機応変さがちょっと足りなさすぎると感じる。言われたことをやろうという意識はいいけど、そこだけでは勝てないのがサッカーだし、そこで自分で解決できる選手が上に行くと思う。そこで変化を与えられる選手があまりに少ない」と厳しく指弾した。
そこで報道陣から鹿島の常勝軍団を築いた小笠原満男氏の名前が挙がると、鈴木は「満男さんはいま何をすればいいかを全部やってくれるので選手はついていくけど、そういった意味では僕がそれをできていないと思っているので、そこの責任感は感じている」と自身にも矢印を向けた。その上で「かといって一人で変えられない部分があるので、みんなで一つの方向に向かっていくしかない」と改善を誓った。
今季の鹿島はすでにルヴァン杯も敗退しているため、残るタイトルはJ1リーグの一つのみ。J1リーグは現在、首位から6位までが勝ち点3差にひしめく大混戦となっており、11試合を残す鹿島は首位の京都と勝ち点で並ぶ2位につけている。 鈴木は「今日に関しては非常にもったいない、情けない試合をしてしまったと感じている。負けても何か得られる試合、進歩している試合もあるけど、今日に関しては何も得られない。無駄にしてしまったと感じている。見に来てくれたサポーターに申し訳ないと思っている。これを取り戻すにはリーグ戦しかないので、一人一人が何がチームに必要かを考えないといけない」と強調。その上で、自身が考える現状の課題を「いい時と悪い時ではコンパクトさが攻撃も守備も違って、あまりにオープンになりすぎていると感じる」と指摘し、「何個かのことを整理さえすればいい方向に行く可能性があるので、もっともっと選手たちが話し合う必要がある」と改善していく構えを見せた。 (取材・文 竹内達也)●第105回天皇杯特集▶話題沸騰!『ヤーレンズの一生ボケても怒られないサッカーの話』好評配信中