【彗星の最接近で地球の空気が5分間なくなる?】1910年に人々が本気で信じたデマと大騒動とは(スペースチャンネル)

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空気がなくなった気がして苦しみ出す人々 出典:スペースチャンネル(AI)

「彗星」と聞いて真っ先に思い浮かべる名前といえば、やっぱり「ハレー彗星」。76年周期で地球に近づくこの有名な天体は、古来より数々の記録に登場し、時に人々に感動を、時に混乱を与えてきました。本記事では、1910年の最接近時におきたデマと大騒動についてご紹介します。

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「この世の終わり」パニック──1910年、地球が“尾”を通過したとき

ハレー彗星 出典:NASA/W. Liller

ハレー彗星が最も強烈な印象を残したのは、1910年の接近です。

このとき地球は、彗星の“尾”の部分を通過すると予測されました。科学がまだ十分に普及していなかった時代、フランスの天文学者カミーユ・フラマリオンが「尾にはシアン化合物などの有毒ガスが含まれており、地球の生命は絶滅するかもしれない」と警告したことが、世界中で恐怖を呼び起こしました。

日本でも『大阪朝日新聞』が同様の説を報じ、「地球の酸素と尾の水素が化合して人類は窒息する」との噂が拡散。世界中で人々がパニックに陥りました。

息を止めて生き延びる!? ユニークすぎる対策グッズの数々

空気がなくなった気がして苦しみ出す人々 出典:スペースチャンネル(AI)

この「終末論」的な騒動のなか、彗星から逃れるための“対策グッズ”が続々と登場します。

  • ガスマスクや酸素吸入器が売れまくり、ローマでは酸素ボンベが飛ぶように売れた
  • 「彗星薬」なる謎の錠剤が流行
  • 自転車のチューブに空気を詰めて保存し、通過中に吸おうとした人もいたとか
  • 中には瓶詰めの空気を非常時に吸おうとする者もいたという

もちろん実際には、彗星の尾に含まれるガスは宇宙空間で極めて希薄。地球が通過しても何の影響もありませんでした。とはいえ、当時はインフルエンザが流行しており、その原因を彗星のせいにする声もあったほど。人類の“宇宙への恐怖”がいかに根深かったかを物語っています。

前回は1986年──次のハレー彗星は36年後!

ハレー彗星 出典:Kuiper Airborne Observator:

ハレー彗星は最後に1986年に地球へ接近しました。このときは世界中の天文ファンが空を見上げ、長い尾をたなびかせるその姿を写真やスケッチに残しました。そして、次の接近は2061年7月と予測されています。

ハレー彗星はただの天体ではありません。時代によって「災いの前触れ」とも、「科学の希望」とも受け止められてきました。次の接近時、私たちはこの星をどう迎えるでしょうか?望遠鏡やスマートフォンで簡単に空を見上げられる現代――でも、そのときの夜空に漂う不思議な輝きは、今も昔も変わらず、私たちの心に問いかけてくるのかもしれません。

皆さんは地球の空気が5分間なくなると言われたら、どう行動されますか?是非コメントお待ちしています。

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