経産省とIPA、情報処理技術者試験などの見直しについて検討状況を公開
経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、情報処理技術者試験および情報処理安全確保支援士試験の見直しの検討状況について情報を公開した。
両者は、2025年5月に公表された「Society 5.0時代のデジタル人材育成に関する検討会 報告書」を踏まえて、情報処理技術者試験における試験区分体系の見直しなどに向けた検討を行っている。今回の発表では、見直し後の試験区分体系、出題範囲などの案が公開された。
2027年度から移行する予定の新試験制度における見直しのポイントについて、次の内容が紹介されている。
新試験制度ではすべての試験区分がCBT方式で実施される予定。
新設された「データマネジメント試験」(仮称)は、AIの活用において求められる、主にビジネス部門を想定したデータの整備・管理に関するスキルを習得し、評価するための試験。ITパスポート試験の次のステップとして位置づけられており、幅広いビジネスパーソンの受験が想定されている。
出題分野が「ビジネス」「テクノロジ」「セキュリティ・倫理」の3分野に再整理される。DXで求められるマインド・スタンスや、データマネジメントの基礎に関する内容が新たに追加されるほか、AI時代に対応したセキュリティ・倫理に関する出題が強化される。
応用情報技術者試験と高度試験を大括り化したうえで内容を再編し、「プロフェッショナルデジタルスキル試験」(仮称)として、「マネジメント領域」「データ・AI領域」「システム領域」の3つの試験区分が新設される。
「情報セキュリティマネジメント試験」および「基本情報技術者試験」において、科目Aの出題範囲体系と、科目Bの出題範囲の一部が変更される。なお、試験で問う知識・技能の範囲そのものに変更はない。
「情報処理安全確保支援士試験」において、科目Aの出題範囲体系と、科目Bの出題範囲の一部が変更され、マネジメント分野が強化される。また、試験時間と科目Bの出題形式が変更される。
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2005年(平成17年)は、9月に行われた衆院選で自民党が大勝。この選挙は郵政民営化の是非を問い、郵政解散・郵政選挙とも言われたもので、小泉純一郎首相が掲げ続けていた郵政民営化が実現する運びとなる。
2月にはライブドアによるニッポン放送買収騒動が勃発。ライブドア社長の堀江貴文氏は、ニッポン放送の騒動に関連して、しばしば「想定内」と発言。騒動終結後は9月の衆院選に立候補するなど、この年、大いにメディアを賑わせた。
この年の新語・流行語大賞は「小泉劇場」と「想定内」の2つとなっている。このほか、2003年から話題になっていた「ブログ」がトップテン入り。翌2006年には「mixi」がトップテン入りし、インターネットそのものから、サービスに世間の関心が移っていくことを伺わせる。
このほか、3月から愛知万博(愛・地球博)が開催。4月にはJR福知山線脱線事故が発生している。海外ではロンドン、バリ島などでテロが相次いだほか、鳥インフルエンザの流行に注目が集まった。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2005年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。
▶「恋のマイアヒ」の“のまネコ”はモナーにインスパイア~エイベックス
この年、「恋のマイアヒ」という曲が発売され、ヒットした。もともとはモルドバ出身の男性音楽グループ「O-Zone」による「Dragostea Din Tei」という曲だが、歌詞が日本人には「飲ま飲まイェイ」など奇妙な日本語に聞こえることから、「空耳」の歌詞を付けた動画(当初はFlash動画)が流行り、エイベックスから「恋のマイアヒ」というタイトルで発売された。今でいう「ネットミーム」的な、初期の流行の1つと言える。
この際、エイベックスでは、2ちゃんねるで流行していたアスキーアートのキャラクター「モナー」に似たキャラクターを作成して「のまネコ」と命名し、グッズの販売なども行った。これがネットユーザーの反発を招き、エイベックスと権利管理会社であるゼンが「インターネット掲示板において親しまれてきた『モナー』などのアスキーアートにインスパイアされて映像化され、エイベックスネットワークとゼンが今回の商品化にあたって新たなオリジナリティを加えてキャラクター化したものだ」との見解を発表したのが、上記のニュース。
技術動向や製品レビューは「BroadBand Watch」が注力し、INTERNET Watchでは業界動向的なニュースを主に扱っていたこともあり、このニュースが2005年に最も読まれたニュースとなった。
当時、2ちゃんねるのほか、ブログやSNSといったソーシャルメディア(当時はCGM:Consumer Generated Mediaなどとも呼ばれた)が流行した中で、ユーザー発のコンテンツがヒットする現象が話題になりやすかったことと、企業がユーザーの流行に分かりやすく「ただ乗り」したように見えることが批判を集め、いわゆる「炎上」につながったことから、注目度が高まったと考えられる。
▶“Web 2.0”の導入、従来メディアは「恐る恐る」 ▶Web 2.0とYahoo!検索APIの関係~井上俊一・検索企画室長が語る 「APIでYahoo! JAPANをどんどんハッキングして」
海外で2004年頃から「Web 2.0」というキーワードが注目されだして、この年には国内でも話題に上がることが多くなった。
Web 2.0とは何か? というと、当時でも論点を整理するのが難しく、後年に「Web 3.0」が提唱されるようになってからはさらに話が複雑になっているが、2005年当時におけるウェブの大きな変化は、それ以前はプロ(企業)によるウェルメイドなコンテンツの影響力が大きかったのに対し、ブログやSNSなどにより、個人ユーザーが発信力・影響力を持つようになったことだと言える。
上記の2つの記事でも、個人の開発者やユーザーとどのように連携するか、個人の力をどのように取り入れるか、といったことが語られている。
▶どうなる「私的録音補償金制度」~iPodは補償金の対象になるのか
私的録音録画補償金制度(上記記事では音声のみの話題であることから「私的録音補償金制度」としている)とは、デジタル技術による録音・録画用媒体に補償金を設定し、権利者に還元する制度。対象に指定された媒体は、補償金分が価格に上乗せされることになる。
当時、CD-RやDAT、MDなどが私的録音補償金制度の対象となっていたが、これにiPodのようなデジタルオーディオプレイヤーを対象として加えるか? という「iPod課金」議論がこの年起こった。問題はHDDやメモリカードのような、録音のみに使われるわけではない汎用の機器に補償金を上乗せしてよいのか(ユーザーにしてみれば、録音に使わないのに補償金を取られる、ということにもなり得る)という点。権利者側であるJASRACは、iPodは主たる利用目的が録音である、と主張。メーカー団体のJEITAは、汎用機器を指定すべきでなく、制度を見直すべきとの主張。この後、2006年1月に文化庁はiPod課金見送りの報告書を決定している。
2月8日、ライブドアがニッポン放送株35%を取得。「ニッポン放送に命を懸ける」とし、ラジオ放送に、インターネット業界で培ったライブドアのノウハウを組み合わせてサービスを強化すると意欲を語った。
当時ニッポン放送は、自社よりも規模が大きなフジテレビの親会社という関係にあり、この関係の解消のため、フジテレビがニッポン放送株の公開買い付けを発表していた。
この後、4月18日にフジテレビがライブドアが持つニッポン放送株を(株を保有するライブドア子会社を買収することにより)買収し、ニッポン放送を子会社化。さらに、フジテレビがライブドアに資本参加し、協業する運びとなった。これを受けての堀江氏のコメントが「想定内の中でも良い方で決着できた」。この結果には、買収劇にフジテレビ側のホワイトナイト(友好的買収者)として参戦したSBI証券の北尾吉孝氏も、歓迎のコメントを寄せている。
この年には、堀江氏もしばしば口にした「放送と通信の連携」がキーワードとなり、10月には楽天がTBS株を取得、11月に提携合意、というニュースもあった。
▶「顧客情報を紛失しました」個人情報保護法の完全施行を前に公表相次ぐ
4月1日に個人情報保護法が完全施行された。個人情報を扱う事業者に取得・利用・管理に関する義務が課され、ウェブサイトにおけるプライバシーポリシーの公開や個人情報保護に対する問い合わせ窓口の設置、漏えい時の個人情報保護委員会への届け出など、さまざまな対応が必要になった。
上記記事は完全施行の前日となる3月31日に公開されたもので、みずほ銀行、みずほ信託銀行、アフラックが直前に顧客情報の紛失を発表したというもの。
▶「ファイルは暗号化した。デコードしたければ金を振り込め」攻撃の新手口
現在猛威を振るうランサムウェア攻撃の典型的な手口「ファイルを勝手に暗号化して、身代金を要求する」が、新手の攻撃として報告された記事。記事によれば、「トロイの木馬型ウイルス『Trojan.Pgpcoder』(シマンテックによる呼称)」は、暗号化したファイルのデコードツールを200ドルで売りつけようとしたという。
▶Winnyでウイルス発生、個人情報流出の可能性も~セキュリティベンダーも混乱
前年に開発者が逮捕されたP2Pファイル共有ソフト「Winny」ネットワーク上に、複数種のウイルスが蔓延しているというニュース。いずれもPCのファイルを流出させるもので、「欄検眼段」「仁義なきキンタマ」という通称だとしている。
Winnyからの情報流出はこの年に始まったことではないが、驚くような流出元のニュースが続発している。主なものを見ていくだけでも大学病院の検査結果、携帯電話基地局データ、小学校の児童の名簿、原子力発電所の内部情報、警察の捜査情報などがある。
▶はてな内のサービスと連携したオンラインRSSリーダー「はてなRSS」 ▶米Google、RSSリーダー「Google Reader」のベータ版を公開
「RSS」(Really Simple Syndication)とは、ウェブサイトの更新情報をXML形式で記述したデータ。「RSSリーダー」(あるいは「フィードリーダー」)と呼ばれるアプリ・サービスを用いて、自分が更新をチェックしたいウェブサイトを登録しておくと、RSSリーダーが巡回して更新チェックが行える。ブログの標準機能として搭載されたほか、ニュースサイトなどでも採用が増え、まだプッシュ通知が一般的でなかった時代の、効率的な更新チェック手段として普及した。
しかし、プッシュ通知やSNSによる更新告知などが広く使われるようになっていく中で、RSSリーダーはニッチサービスに留まることとなる。上記のはてなRSSは2010年6月にサービス終了、Google Readerは2013年3月にサービス終了となった。
インターネット以前に利用されていた「パソコン通信」。その国内最大手だったニフティ(NIFTY-Serve)が、サービスを終了するというニュース。同社は現在ISPとしてサービスを提供し、最近では個人ホームページサービスへの注力をアピールしている。
「現代用語の基礎知識2006」に、「はてなダイアリーキーワード」から105種のキーワードが収録されることになった、というニュース。「はてなダイアリー」は2003年に提供が開始された日記サービスで、キーワードの解説コンテンツ(Wikipediaのようなもの)を作成でき、キーワードを介してほかのユーザーの日記とつながる機能を持っていた(なお、2019年に「はてなダイアリー」はサービスを終了している。提供元の「はてな」は、「はてなブログ」を提供中)。
Web 2.0のムーブメントにより、ネットユーザーの言及するキーワードの世間的な認知が高まりやすくなったことによる現象と言える。上記記事では「現代用語の基礎知識」編集長のコメントとして、従来は「オタク系やWeb系の語句」は掲載しようがなかったが、前年からの「電車男」のヒットなどもあり、一般に浸透した、といった経緯を紹介するとともに、「はてなダイアリーキーワードには、言葉そのものの意味というより、その言葉が利用されているコミュニティで醸成されている雰囲気や関連性が記載されている」との見解を紹介している。
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2004年(平成16年)の大きな話題といえばアテネ五輪の開催。水泳の北島康介選手、レスリングの吉田沙保里選手、ハンマー投げの室伏広治選手、柔道の野村忠宏選手、谷亮子選手らが活躍したほか、レスリングの浜口京子選手の父であるアニマル浜口氏の「気合だ! 気合だ!」もメディアを沸かせた。
スポーツ関係では、プロ野球パ・リーグの再編があったのもこの年。近鉄バファローズとオリックス・ブルーウェーブが合併して「オリックス・バファローズ」となったほか、詳しくは後述するが、ソフトバンクがホークスを買収して「福岡ソフトバンクホークス」になり、新球団「東北楽天ゴールデンイーグルス」設立と、IT企業が親会社となる2球団が誕生している。
そのほかでは、10月に最大震度7を記録した新潟県中越地震が発生。前年より米英を中心としたイラクへの軍事攻撃が続く中、イラクで武装勢力により拘束された事件が複数回あり、拘束された人質が殺害されたこともあった。戦闘が続くイラクに行くのは「自己責任」との発言がテレビなどで繰り返され、新語・流行語大賞トップテンにも「自己責任」はランクインしている。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2004年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。
▶京都府警、Winny開発者逮捕~事情聴取では47氏が違法性を認める発言も
前年より流行し、著作権侵害やトラフィック圧迫で大きな問題となっていたP2Pファイル共有ソフト「Winny」の開発者である、47氏こと金子勇氏が著作権侵害ほう助の疑いで5月10日、京都府警により逮捕された。
同氏はこの後5月に起訴、前後して金子氏の支援団体が活動を始めるなどして、2009年の無罪判決まで続く裁判が始まる。
他方でこの後、Winnyを媒介とする数々のウイルスが登場したほか、情報流出事件も続発し、個人や企業に限らず、自治体や自衛隊なども流出元となった。詳細は2023年の映画「Winny」公開記念まとめ記事を参照のこと。
▶米Google、無料Webメールサービス「Gmail」のベータ版~容量は1GB
4月にGoogleが「Gmail」ベータ版を発表した。
これまで、シンプルな検索サービスのみを提供し、日本語サービスを開始した2000年の本誌では、何で儲けるのか? との疑問を呈したこともあったGoogleだが、実は2000年10月には検索連動型広告「Google AdWords」、2003年にはコンテンツ連動型広告「Google AdSense」を開始していた(現在は「Google広告」に統合)。
そして、Gmailを皮切りとしたかたちで、次々と新サービスを展開するようになる。上記記事でも言及している「Orkut」はSNSで、2014年にサービスを終了した。この年には、ほかにもGoogleニュースや、Google Desktop Search(2011年終了)を公開。翌2005年にはGoogle Maps、Google Analyticsを開始し、2006年にはYouTubeを買収するなど、今のGoogleのサービス群がそろっていく。
▶国内関係者が議論「これからのソーシャルネットワーキングとは」
2004年2月に田中良和氏が「GREE」、3月にイー・マーキュリーが「mixi」を立ち上げ、SNSが流行した。上記記事は、12月に開催された「Internet Week 2004」で実施されたSNS関係者らのセッションのレポート。個人の趣味としてGREEを立ち上げたという田中氏、イー・マーキュリー代表の笠原健治氏らがSNSに関心を持ったきっかけや、SNSによるコミュニケーションについて語り、“SNSは、友人や知人など信頼の置ける仲間を招待するサービスで、「人と人が信頼関係でつながるもの」だ。「SNSは、インターネット上で行なわれている悪い行為を防ぐ効果があるのではないか」”といった分析もされている。
前年に流行しだしたブログとあわせ、今でいうソーシャルメディアの活用が盛んになり、そこで活動する個人に注目が集まるようになる。BroadBand Watchでは当時、「みんなでつなげよう! ブログの輪」、SNSの入門連載「ソーシャルネットワークってなんだ?」を掲載したりもしている。
▶ソフトバンクBB、450万件超えるYahoo! BBの個人情報漏洩を認め謝罪
1月にソフトバンクBBはYahoo!BB顧客の個人情報242件が流出したと発表。しかし、2月に入って「Yahoo!BB加入者470万人分の個人情報」を入手したとして同社を恐喝しようとした人物が逮捕されたことから、より大量の漏えいが疑われ、2月末に同社は450万件超の漏えいを認めて謝罪した。これは、当時としては史上最大規模の個人情報漏えい事件。
原因は内部不正によるもので、ソフトバンクの元従業員や業務板城先の関係者がデータを盗み出したもので、業務委託の終了後も関係者が外部から顧客データベースなどにアクセス可能になっていたなど、ずさんな管理体制が明らかになった。
詳細な経緯などは、関連記事をまとめた特集も参照いただきたい。
▶楽天イーグルスがプロ野球へ新規参入。楽天では記念セールなどを実施 ▶ソフトバンク、球団名は「福岡ソフトバンクホークス」。企業ロゴも一新
近鉄バファローズとオリックス・ブルーウェーブの合併により1球団減ることになったプロ野球パ・リーグで、11月に「東北楽天イーグルス」の参入が決まった。また、12月にはソフトバンクがダイエーホークスを買収、「福岡ソフトバンクホークス」となった。
こうした動きの中で、ライブドアは6月に近鉄バファローズ買収の意思を表明している。その後新球団設立の動きもみせたが、楽天の新規参入で、どちらも実現しなかった。
▶ソフトバンクBB、1Gbpsの光ファイバサービス「Yahoo! BB 光」 ▶NTT東西、1GbpsのBフレッツ新プラン。戸建て向けに0AB~J対応IP電話も
ソフトバンクBBが10月に最大1Gbpsの光回線による「Yahoo!BB 光」の提供を開始した(ただし最大32ユーザーで共有)。11月にはNTT東西が1Gbps対応の「Bフレッツ」新プランを提供する方針を発表。2005年に提供を開始した。
▶軽量Webブラウザ「Firefox」の正式版v1.0が公開
Internet Explorer(IE)とNetscape Navigator(NN)の「ブラウザー戦争」は1999年頃にIEが大幅なシェアを獲得して終結の気配となったが、Netscapeは1998年に「Mozilla.org」で「Netscape communicator 5.0」のソースコードを公開(NPL:Netscape Public Licenseというライセンス条項による)するなど、オープンソースプロジェクトに活路を見出そうとした。
その後、2003年にNetscapeがAOLに買収されたのに伴い、7月にMozillaのプロジェクトを引き継ぐ「Mozilla Foundation」が設立され、2004年11月にウェブブラウザー「Firefox」の公開に至る。
公開の翌月には1000万ダウンロード突破が報告されるなど、Firefoxは確かな存在感を示した。
▶ドコモ、「iモード FeliCa」を7月上旬開始~携帯電話を“お財布”に
7月に、「FeliCa」チップ搭載の携帯電話をNTTドコモが発表。「おサイフケータイ」と命名された。FeliCaは交通系ICカードなどでも用いられる技術で、今では当たり前になったスマホ電子決済の元祖となる。
「1994年3月5日、Usenetの複数のグループに投稿された“U.S. Green Card Lottery - New Immigration Opportunity”という、アメリカのグリーン・カード抽選に関する広告が、インターネットで最初に問題になったスパム」だというニュース。ただし、最初のスパムが何であるかには諸説あるともしている。
5月25日のやじうまWatchで「独身男のよくある妄想を現実に体験した2ちゃんねらーの物語」として、2ちゃんねるまとめサイトが紹介されている。このハンドルネーム「電車男」の物語は後に書籍化され、2005年にはドラマ化・映画化までされて、大きな話題となった。インターネット発のコンテンツがメディアミックス展開するはしりであり、大きな事例と言える。
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2003年(平成15年)3月、イラクのフセイン政権が大量破壊兵器を隠し持っているとして米英が軍事攻撃を開始し、日本も自衛隊を派遣した。侵攻の直前頃から起きた新型肺炎「SARS」(重症急性呼吸器症候群)の世界的流行も、この年の大きな話題だ。
日本国内では、阪神タイガースの18年ぶりのセ・リーグ優勝が大いに盛り上がり、星野仙一監督の「勝ちたいんや!」が流行語に。小泉純一郎首相の人気で自民党が大勝した衆院選など、この年に行われた選挙から候補者・政党がマニフェスト(政権公約)を発表するようになり、「マニフェスト」は新語・流行語大賞となっている。
このほか、同年の新語・流行語大賞およびトップテンには、当時のテレビ番組の影響力を感じさせる「ビフォー アフター」「へぇ~」「なんでだろう~」などが並んでいる。養老孟司氏の著書から「バカ本」ブームを起こしたとして「バカの壁」も入った。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2003年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。
▶ぷらら、「Winny」や「Win-MX」のトラフィック制御を11月より開始~上りトラフィックの60~80%をWinnyなどが占めているのが現状
P2Pファイル共有ソフト「Winny」は2002年12月に正式版を公開、INTERNET Watchでは、翌2003年1月に公式サイト閉鎖を報じたのが、初めてのWinnyに関するニュースとなる。
2004年に開発者の金子勇氏が逮捕され、いわゆる「Winny事件」となるが、2003年時点では、著作権侵害の問題、Winnyを介して感染するウイルスと、WinnyをはじめとするP2Pファイル共有ソフトによるトラフィック増加の問題が話題になっていた。
上記は、ISP「ぷらら」がWinnyなどのアプリケーションのトラフィックを制御するとのニュースで、「ごく一部のぷららユーザーが起動しているWinnyやWin-MXに対する外部からのダウンロード要求が、ぷらら全体の上りトラフィックの約50~70%」を占め、看過できない状況であるとしている。
P2Pファイル共有ソフトによるトラフィック圧迫問題は、その後の総務省統計の取り組みにもつながっている。
Winny関連では、11月の京都府警が著作侵害により2人のユーザーを逮捕したニュースも、大きな話題となった。
2006年になると、ぷららがWinnyの完全規制を発表。これに関し、総務省は、Winnyによる通信かどうかを判断するため、ISPが通信の内容の一部を監視するのであれば、違法性が認められるとの指摘を行っている。ぷららでは、通信のパターンから判定していて通信内容の監視は行っていないと説明しており、6月に通信遮断機能の提供を開始した。
▶米Tripod、有料加入者に対してBlog作成サービスを開始
1月に、米国で話題になっている「Blog」サービスを大手のTripodが開始した、というニュース。この後、11月からNTTデータの「Doblog」、オン・ザ・エッヂの「livedoor Blog」、シーサーの「Seesaa BLOG」、ニフティの「ココログ」と国内でブログサービスの提供が相次いで始まり、日本でもブログが盛り上がり始める。
▶gooとGoogle、インターネット検索の技術・マーケティング分野で提携~「日本語検索において最高のものを提供する」NTT-X中嶋社長
1997年に登場した「goo」は高性能な日本語検索サービスとして当時話題となり、1999年にはYahoo! JAPANと提携し、Yahoo! JAPANの持つデータベースに該当するウェブサイトが見つからなかった場合はgooの検索結果を表示するかたちで、サービスを提供していた。
1998年に登場し1999年に正式サービスを開始したGoogleは、画期的なアルゴリズムによる検索結果で世界中から高い支持を集め、2000年には米Yahoo!のデフォルト検索エンジンとして採用。さらに2001年には、gooとの提携を終了したYahoo! JAPANがGoogleを採用した。
gooは2003年にGoogleと提携、それまではInktomiの技術をベースにした検索エンジンだったが、Google検索のデータベースからの検索の前後に独自処理を行う検索サービスとなった。2000年代前半は検索サービス間の競争が激しかったのに加え、ユーザーのインターネット利用の起点となるポータルサイト(多数のサービスを提供する総合サイト)としての競争も激しく、Yahoo! JAPANとgooは、どちらもポータルサイトとしてサービスを展開しており、競合の関係になっていた。
米Yahoo!およびYahoo! JAPANはこの後、2004年に独自の検索エンジン「YST」(Yahoo! Search Technology)に移行したが、2010年に再びGoogleを採用している。
▶Yahoo!とMSN、「迷惑メール対策連絡会」設立~増加する迷惑メール対策で提携
ウイルス感染を広げるために送信されるメール、詐欺などの犯罪メールなどの迷惑メール撲滅を目指した団体が、「Yahoo!メール」を提供するヤフー、「MSN Hotmail」を提供するマイクロソフトという、当時のフリーメール大手2社により設立されたというニュース。
「マイクロソフトが対策すれば、ヤフーへと流れるというように、メール送信者の標的は巧みに移り変わる。ISP同士で取り組まなければならない問題になった」と、共同で取り組むことの重要性が語られている。なお、現在のもう1つの大手フリーメール「Gmail」は、2004年に提供が開始される。
2003年の最終更新日となる12月26日に、総務省調査でFTTH(光回線)が80万加入を突破したとのニュース。この年12月時点でのDSL加入数は1000万を突破しており、ブロードバンド回線の普及が進んでいる。
ADSLサービスはこの年、下り40Mbps以上にまで高速化が進んでおり、12月にはNTT東西が下り最大40Mbpsの「フレッツ・ADSL モアII」を発表、Yahoo!BBは下り最大45Mbpsとなる「Yahoo! BB 45M」を翌年1月から提供すると発表している。
▶Windowsの重大な脆弱性を攻撃するウイルスを危険度を上げて警告~感染するとDoS攻撃を仕掛け、外部からも操作可能に
ウイルス(マルウェア)で、この年最も大きな話題となったのが「Blaster」。Windows XP/Windows 2000の脆弱性を突いて感染し、感染したPCでは、ほかのPCへの感染行動やDoS攻撃が行われるというもので、「インターネットに接続しているだけで(ユーザーが何も操作をしなくても)感染の可能性がある」点が特徴。
▶米AppleのiTunes Music Store、楽曲販売数が1,000万を突破
2003年4月に、Appleの「iTunes Music Store」がサービスを開始した(日本での開始は2005年)。当時はMac用ソフト「iTunes 4」から利用し、Windowsには未対応。iPhoneは当然まだなく、2001年に発売された携帯音楽プレイヤー「iPod」がヒットし、第3世代モデルがこの年に発売される。
上記のニュースは、サービス開始から約4カ月で楽曲販売数が1000万を突破したというもので、毎週の平均ダウンロード数は50万曲だとしている。また、スティーブ・ジョブズCEOの「4カ月で1000万曲をオンラインで合法的に販売したということは、音楽業界、ミュージシャン、世界中の音楽愛好家にとって歴史的な出来事だ。iTunesとiPodによって、Appleはデジタル音楽のための唯一にして完璧なソリューションを提供していく」とのコメントを紹介している。
▶法務省他、長崎男児誘拐殺人事件の書き込みに対し2ちゃんねるに削除要請
7月に、長崎市で男子中学生による男児誘拐殺人事件が発生。その後「2ちゃんねる」に個人情報を含む書き込みが行われたとして、法務省などが削除要請を行ったというニュース。
逮捕された生徒を特定しようという動きが起こり、書き込みが行われたことで、法務省人権擁護局に対して対応を求める情報提供が複数寄せられた。これを受け、法務局が削除依頼を行ったが、発表時点では削除が行われていないとしている。
このような問題に対し、2005年にはネットの人権侵害情報に対し、法務省が1年間で18件の削除依頼を行ったことを紹介している。
プロバイダ責任制限法を改定し、2025年に施行された情報流通プラットフォーム対処法では、大規模プラットフォーム事業者として指定する事業者に対し、侵害情報送信防止措置の実施手続きの迅速化、実施状況の透明化などの義務を定めた。
10月1日、メルコが持株会社制に移行し、ネットワーク機器やPC周辺機器メーカーとして知られるバッファローが誕生した。バッファロー(BUFFALO)はもともとメルコのブランド名として使用されていたもので、「BUFFALOブランドは、同社の製品『プリントバッファ』の愛称『バッファ郎』に由来しているという」と紹介されている。
バッファローの誕生などについては、元メルコ社員である奥川浩彦氏のレポート「大塚家具元社長の大塚久美子氏が、バッファローの親会社メルコHDの社外取締役に~株主&元社員として株主総会に参加してきました~」にも詳しい。
「出会い系サイト」に関し、児童買春の禁止など児童の保護を目的として、出会い系サイト規制法(インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律)がこの年の6月に可決。9月に施行された。
この後、2008年末に同法は改正が行われ、事業者の届け出義務付け、18歳未満利用禁止の明文表示などが定められた。現在のマッチングアプリ事業者も、同法の規制を受けている。
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2002年(平成14年)には日韓共催によるサッカーW杯が行われた。また、小柴昌俊氏と田中耕一氏がノーベル賞をダブル受賞したことにも、日本中が湧いた。
そのような華やかなニュースの一方、国内ではデフレや「貸し剥がし」が深刻な問題となり、相次いだ「食品偽装」問題も話題になった。
国際的には、1月にジョージ・W・ブッシュ米大統領が一般教書演説にて北朝鮮・イラン・イラクの3国を「悪の枢軸」と呼び、翌2003年には米国を中心としたイラクへの軍事侵攻に至る。そうした中、この年9月に小泉純一郎首相と金正日国防委員長との日朝首脳会談が実現。日本人拉致被害者5名が帰国した。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2002年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。
▶ヤフー、下り最大12MbpsのADSLサービスの詳細を発表~「イー・アクセスの小畑氏の言動は営業妨害に該当する」孫社長 ▶NTT、最大12MbpsのADSLサービス「フレッツ・ADSL モア」を発表
2001年6月に下り最大8Mbps/上り最大900kbpsの「Yahoo!BB」を立ち上げたソフトバンクグループのビー・ビー・テクノロジー(BBT)が、8月に下り最大12Mbpsの「Yahoo!BB 12M」を発表した。
NTT東西は2000年12月に上り最大512kbps、下り最大1.5Mbpsの「フレッツ・ADSL」を開始していたが、2001年10月には下り最大8Mbpsのメニューを追加。この年の9月には下り最大12Mbpsとなる「フレッツ・ADSLモア」を発表した。
そのほかでも次々と高速なADSLサービスを打ち出しており、7月には「第二次ADSL戦争勃発!?」という記事を公開し、8Mbps超のADSLサービスを特集している。
▶「2002年最悪のウィルスはKlez」、英Sophosが調査結果を発表
前年から目立ち始めたウイルス(マルウェア)の話題は、2002年に入って大幅に増えた。一例としては、URLに間違えやすいファイルを添付してくる「W32/MyParty@mm」、JPEGファイルを媒介として(実行ファイルとJPEGファイルの組み合わせにより)感染を広げる「W32/Perrun」など。「Gigger」はメールのほか「IRCを利用して自身のコピーを頒布するワーム活動」を行うという点に時代を感じさせる。
そうした中で「Klez」は、2002年終わりの各社が、この年最悪のウイルスとして名前を挙げており、感染報告数が最も多かった。Klezはさまざまな亜種を持つウイルスで、Microsoft Outlookなどでメールをプレビューするだけで感染し、PC内のファイルを破壊したり、ユーザーの個人情報を収集したりした上、メールを自動送信して感染を広げる。
▶今秋にもIP電話に「050」を割り当て~総務省がIP電話サービスに関する改正案を公表
IP網(インターネット)を利用して電話をかけるIP電話に対し、公衆電話網から発信できるようにするため、「050」で始まる電話番号を割り当てることを総務省が発表した。
この頃、通信サービスや通信デバイスを積極的に取り上げる「BroadBand Watch」(BB Watch)や携帯電話に関する話題を取り上げる「ケータイWatch」もある中で、INTERNET Watchは固定回線を中心とした業界動向的なニュースや、セキュリティなどのサービスやデバイスと直接関係しないニュースが多くなっていく。IP電話に関しても、各社のサービスが始まってからはBroadBand Watchで取り上げることが多くなっていて、2003年3月にはIP電話サービスの比較特集がBroadBand Watchに載っている。
これまで自治体ごとにバラバラだった住民基本台帳の情報を標準化・ネットワーク化し、全国どこででも本人確認できるようにした住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)が、2002年8月5日に稼働を開始した。現在のマイナンバーカードの基盤ともなっているシステムだが、稼働前~稼働開始当時の評判は悪く、上記やじうまWatchの記事では郵送された住民票コードに関するトラブルが紹介されている。
INTERNET Watchでは、稼働開始前に実施されたシンポジウムのレポートや、翌2003年に発表された侵入テストの結果レポートも紹介している。
▶総務省、Yahoo!BBとNTT東西に対し業務改善指導文書を発出~Yahoo!BBには“回線にぎり”、NTTには工事期間の遵守について
総務省がYahoo!BBを提供するビー・ビー・テクノロジー(BBT)とNTT東西に、それぞれ回線指導を行ったというニュース。「回線にぎり問題」とは、利用者が解約の申し込みを行っても放置し、実際の契約解除を行わない(他社サービスに移転できないよう、回線をずっとYahoo!BBと契約した状態にしてしまう)問題のことで、2001年11月に掲載している「Yahoo!BBのエピソード募集」の記事では「総務省を通して再度YBBに解約を申し込んだ」などのエピソードも。
NTT東西に対しては、他の事業者の申し込み工事よりも自社サービスの工事を優先していないか調査すること、本人確認の仕組みを改善することを指導している。
無料ISP事業を展開していたライブドアが10月に民事再生法を申請した。このとき、「ホリエモン」こと堀江貴文氏のオン・ザ・エッヂがライブドアの営業権を譲り受けた。
オン・ザ・エッヂは2003年に「ライブドア」に社名を変更する。
▶BluetoothがIEEE標準規格「802.15.1」として採択される
マウスやヘッドホンなどの周辺機器の接続で使われる、近距離・低消費電力を特徴とする無線通信規格「Bluetooth」が、この年「IEEE 802.15.1」としてIEEE標準規格に採択された。Bluetoothはエリクソンが立ち上げ、1998年にインテル、モトローラ、ノキアなどが参加してBluetooth SIGが設立されて、多くの機器で採用が進んだ。
当時リクルートが提供していたコミュニケーションサービス「ボトルメール」が1月サービス終了とのニュース。どこかの海岸にたどり着くことを期待して、ボトルに手紙を入れて海に流す、というボトルメールに見立てたもので、誰かの手紙が誰かのもとに届くという、非常にのどかなサービスだった。
2002年のINTERNET Watchでは、このサービスの動向を頻繁に追いかけており、同年4月には最初の開発者らのボランティアによる復活、9月には情報建築がサービスを正式再開したことを紹介している。
現在、ボトルメールはサービスを終了しているが、2006年にはブログパーツ化したこともあった。
▶JEITA、ホームネットワークと情報家電を備えたモデルハウスを公開
社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が「情報家電モデルハウス」、今でいう「スマートホーム」を公開したというニュース。ソニーのロボット犬「AIBO」の、丸っこいデザインの2001年モデルや、今では見る機会のなくなった「IEEE1394(i-Link)」など、懐かしい要素も紹介されている。
2002年9月20日は、IBMの研究者であるScott E. Fahlman氏が顔文字「:-)」を発明してから20周年、という記事。当時、カーネギーメロン大学でコンピュータ科学の研究に従事していたFahlman氏は、「ある人が掲示板に投稿した冗談や皮肉が、別の人にまじめに受け取られるという場合があり、誤解を防ぐための手段として思いついた」としている。
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2001年(平成13年)は、21世紀の最初の年でもある。4月に小泉純一郎氏が総理大臣に就任し、「聖域なき改革」「自民党をぶっ壊す」などのキャッチーなフレーズが連日テレビや新聞をにぎわせた。「ワイドショー内閣」との批判もあったが、その人気で同年7月の衆院選にも圧勝している。
海外では、9.11米国同時多発テロが発生。翌10月より、米英軍がアフガニスタンに侵攻した。
無線LAN(Wi-Fi)の話題が出てくるのもこの年。ネットワーク機器関係の情報は当時運営していた「BroadBand Watch」(BB Watch)に掲載しているが、最古の無線LAN親機としての機能を持つ(持てる)ルーターの記事として確認できたのは、8月23日掲載のメルコ(現バッファロー)の、無線LANカードを内蔵できるルーター「BLR2-TX4」の記事。
この年の流行語大賞は小泉語録が受賞。トップテンには「e-ポリティックス」(インターネットを活用した政治)や「ブロードバンド」が入っている。「ブロードバンド」においては、この年に「Yahoo! BB」の提供を開始し、街頭でADSLモデムを無料配布するなどして大きな話題になったソフトバンクの孫正義氏が受賞している。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2001年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。
▶NTT東西、地域IP網をDSL他社にも開放へ ダークファイバー使用料も値下げ
NTT東西は電話サービスのために全国規模の電話回線網を保有しているが、「フレッツ・ISDN」などのため、新たにIP(インターネットプロトコル)による都道府県ごとの基幹ネットワークを運用していた。これが「地域IP網」と呼ばれるもので、やがて、ほかのADSLなどによる常時接続サービス事業者に解放され、各社のサービスが相互接続できるようになる。
このニュースは、2001年5月にNTT東西が、地域IP網の解放と、ほかの通信事業者に提供するダークファイバーの使用料値下げについて、総務大臣に認可申請を行ったというもの。この後、2003年に地域IP網の県間接続が認可され、2006年には、次世代ネットワークとして「NGN」(Next Generation Network)が発表に。2008年3月からはNGNを使用した「フレッツ 光ネクスト」の提供が開始され、現在、かつての地域IP網の役割は「NGN」あるいは「フレッツ網」と呼ばれるネットワークが担っている。
▶Yahoo! JAPANがADSLサービスに参入 最大8Mbpsで月額2,280円から
ヤフー株式会社が8月にADSLによる常時接続サービス「Yahoo! BB」の提供を開始。低料金かつ高速なサービス設計で注目を集めた。同年9月には、予約申込数が100万件を突破したが接続完了ユーザーは約4万件とのニュースもあり、「お問い合わせの7~8割ぐらいは『ウチはいつつながるの?』というご質問」といった状況が紹介されている。
2026年現在、ソフトバンクグループのインターネット接続サービスとしては「SoftBank 光」「SoftBank Air」が提供されている。
日本のインターネットにおける番号資源の管理を行う日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)が、JPドメインを管理する民間会社として、株式会社日本レジストリサービス(JPRS)を2000年末に設立。汎用JPドメイン(.jp)の移管を行うと発表した。
当時のJPNICは社団法人(2026年現在は一般社団法人)であり、公益法人としてドメインの登録・管理業務を行っていたが、ドメイン名に商業的価値が高まってきたこと、公益法人の体制では増大する業務に対応した設備投資が困難なことなどから民間法人への移管を計画。汎用JPドメインの運用開始とあわせて実施した結果、設立されたのがJPRSとなる。
汎用JPドメインの登録申請受付は2001年2月から開始され、1か月で約7万件の申請が行われた。
▶NTT東西、最大10Mbpsの光アクセスを月額6,100円で提供 8月より「Bフレッツ」として本格提供へ
NTT東西は、2000年12月から試験提供していた「光・IP通信網サービス」を8月から「Bフレッツ」として本格提供。上記の記事タイトルでは最大10Mbpsが月額6100円としているが、同時に最大100Mbpsで月額1万100円のプランも用意され、当初のサービスエリアは東京と大阪の一部で、早いタイミングでのエリア拡大予定も発表されていた。
Bフレッツは、現在の「フレッツ 光ネクスト」を後継サービスとして、2018年にサービスを終了している。
▶内閣メールマガジン、創刊号は78万部 ~登録は91万件を突破
小泉総理は5月の所信表明演説で内閣メールマガジンの発刊を発表。6月より登録受付が開始された。人気を反映して創刊号は78万部となり、「創刊号は14日の午前7時から配信を開始し、配信トラブルを避けるため何回かに分けて配信」された。
その後の内閣にもメールマガジンは引き継がれ、2009年の民主党政権誕生時にも鳩山内閣メールマガジンが配信されている。また、菅内閣ではブログ「KAN-FULL BLOG」の内容が配信されるようになった。
本誌では2021年の「やじうまWatch」で、内閣メールマガジンの流れを汲む首相官邸メールマガジンが人知れず終了していたことを紹介している。
11月、P2Pファイル交換(ファイル共有)ソフト「WinMX」で、「Adobe Photoshop」などを交換した2人の日本人男性が、京都府警ハイテク犯罪対策室・山科署・五条署の家宅捜索を受け、逮捕された。これを、ファイル交換ソフトによる著作権侵害で世界初の刑事摘発として報じている。
2000年には音声ファイルに特化したP2Pファイル共有ソフト「Napster」に米連邦地裁からサービス停止命令が出るなどしていたが、WinMXではユーザーから逮捕者が出たことになる。当時説明を行った社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)によれば、10人程度の被疑者の中から「付加価値の高い、ビジネス向けアプリケーションソフトを扱っている」「公開しているソフトの本数が多い」「常時的に継続して公開を行っている」といった、特に悪質および故意であったユーザーとして2人の逮捕に至ったという。
P2Pファイル交換ソフトに関してはこの後、2004年に「Winny事件」と呼ばれる大きな事件が起こる。
▶“プロバイダー責任法”が成立 権利侵害トラブルにおけるISPなどの損害賠償責任を制限
11月に「プロバイダー責任法」(プロ責法)が成立。これは、ISPや各種サービス提供者に対し、インターネット上に公開されている情報によりプライバシーや著作権などの侵害があった場合に負うべき賠償責任の範囲を規定するもので、サービスのユーザーが著作権侵害やプライバシー侵害などのトラブルを起こした際、提供者側の賠償責任を制限し、「被害者は正当な理由がある場合には情報発信者の氏名や住所などの情報開示をプロバイダーに対して求めることができる」と、いわゆる発信者情報開示請求についても規定している。
同法は2025年4月より情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)として改定された。誹謗中傷や違法・有害情報の投稿といったトラブル対処の迅速化と、措置の実施状況の透明化のために、「大規模プラットフォーム事業者」を指定して、対応の義務を定めている。
インターネットを介してPCやスマートフォンなどのデバイスの時計を正確に合わせるために使われる「NTP」(Network Time Protocol)サーバーの実験が、通信総合研究所(CRL)とNTT、IIJ、インターネットマルチフィードの共同で行われた。
この後、2005年に独立行政法人情報通信研究機構(NICT)やインターネットマルチフィードが、NTPサーバーのサービスを正式に開始している。
▶音声ファイルになりすますメール送信ウィルス「Nimda」に注意
大量のメールを送信するワーム(ウイルス/マルウェア)「Nimda」が9月に確認された。Internet Explorerで感染したウェブページを表示する、Outlookでメールを閲覧するなど、複数のルートから感染し、強力に感染を広げる機能を持っており、同年末に公開された9月の振り返り記事では「史上最強のウイルス」と呼ばれている。
▶日本科学未来館に「インターネット物理モデル」の巨大オブジェ
7月10日、日本科学未来館が、東京都江東区青海(お台場)にオープン。この記事では、展示のひとつ「インターネット物理モデル」を紹介している。「IPパケットが配達される仕組みを“物理的に”表現したもの」であり、ゴルフボール大の球の動きで、インターネットにおける情報通信のイメージを具体的に見られるもの。同モデルは、2025年2月まで展示されていた。
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2000年(平成12年)5月に「西鉄バスジャック事件」が発生。17歳の少年による犯行で、犯人逮捕の場面などがテレビ中継され、大きな注目を集めた。
この犯人による犯行予告の書き込みが、1999年に開設された匿名掲示板サービス「2ちゃんねる」に残されていたことが判明し、2ちゃんねるが広く注目されるようになる。この年にはほかにも17歳による大きな事件が相次いだことで、「17歳」が新語・流行語大賞のトップテンに入っている。
シドニーオリンピックが開催された年でもあり、柔道の田村亮子選手、マラソンの高橋尚子選手らの金メダル獲得が話題になるなどして盛り上がった。社会では、ITを業界内だけに限らず仕事や生活において広く活用し、さまざまな変革を起こそうとする「IT革命」がキーワードとして注目され、新語・流行語トップテンにも。森喜朗首相がIT戦略会議にて「イット」と読んだとのエピソードが、当時のネットミームとして流行した。
なお、これらのキーワードを押さえてこの年の新語・流行語大賞となったのは、「おっはー」。香取慎吾さんがテレビ番組で扮していた「慎吾ママ」が受賞している。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2000年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。
▶「今年は2ch.netの年だった」~JARのネット視聴率レポート~
「2ちゃんねる」(2ch.net)は、1999年5月に「ひろゆき」こと西村博之氏が開設した匿名掲示板サービス。2017年には「5ちゃんねる」となっている。
先述した西鉄バスジャック事件などでも話題になっており、INTERNET Watchで初めて名前が挙がるのが、2000年12月のこの記事。2000年4月以降に大幅躍進し、「掲示板のサイトとしては、今年は2ch.netの年だった」としている。また、レポートの「政治家や経営者や投資家が血眼になって掲示板の発言を読み『便所の落書き』が社会を動かす時代がもう目の前に来ているのかもしれない」とのコメントも残されている。
これまで、インターネットにおける活動は、実名あるいは活動名(ハンドルネーム、ペンネームなど)を名乗って行うのが一般的で、そうした顕名ユーザーの発言が注目を集めやすかった。しかし、匿名が基本となる「2ちゃんねる」が存在感を増し、その中の書き込みが注目を集めることで、「インターネットは匿名の場」との印象が強まり、広がるようになる。こうした匿名の書き込みを批判的な意味で指したのが「便所の落書き」という言葉で、当時しばしば使われた。
▶NTTの「IP接続サービス」、7月より全国の主な都市へエリア拡大
7月15日、NTT東西が試験提供中だった定額制の「IP接続サービス」を、「フレッツ・アイ」(FLET'S・Isdn)と改称し、本(商用)サービスとして提供開始。後日「フレッツ・ISDN」と改称された。現在の「フレッツ光」に続く、常時接続サービスの始まり。なお、フレッツ・ISDNは2026年1月にサービス終了となった。
7月のフレッツ・ISDNに続いて、12月に「フレッツ・ADSL」が提供開始。これまでのISDNが最大64kbps(上り/下りとも)であるのに対し、「フレッツ・ADSL」は上り512kbps、下り1.5Mbpsと大幅に高速化され、「ブロードバンド」という言葉が広まる。Watchシリーズでは「BB Watch」(BroadBand Watch)を2001年7月に創刊している(2009年12月に休刊し、バックナンバーはINTERNET Watchに統合された)。
フレッツ・ADSLは2023年1月にサービス終了している。ISDN、ADSL、光と短期間に次々と回線サービスが登場することになった背景としては、IIJの視点でのコメントも合わせてお読みいただきたい。
なお、この年の12月には、後の「フレッツ光」となる光回線サービスの試験提供も始まっている。
第二電電株式会社(DDI)、KDD株式会社、日本移動通信株式会社(IDO)の3社が10月1日に合併。株式会社ディーディーアイ(通称:KDDI)となった。2001年4月にはKDDI株式会社に正式社名を変更している。
▶米連邦地裁、音楽交換ソフトのNapsterにサービス停止命令
Napsterは、MP3ファイル(音声ファイル)に特化したP2Pファイル共有ソフト。1999年に公開され、2000年にはMetallicaに訴えられるなどしていた。後年の「Winny」事件などに先駆けて、著作権侵害で問題視されたP2Pファイル共有ソフトだといえる。
Napsterは2002年に倒産したが、その後に同名の音楽配信サービスが立ち上がるなどしている。こうした経緯は槻ノ木隆の「BBっとWORDS」 その74「Napsterの歴史」も参照のこと。
1998年に創立したGoogleが、この年の8月に日本語サービスを開始した。なお、同年末のニュース振り返りでは「トップページに表示されるのはロゴと検索窓だけという異常なシンプルさが余計に新鮮にうつった(中略)しかし『何で儲けんの?』という疑問はあるところ」とコメントされている。
同社の広告サービスなどはまだ生まれておらず、検索サービスだけでほかの収益化が見込めそうな展開も見えないことから、そのような素朴な疑問が当時はあった。
▶通信ベンチャーのイー・アクセスがADSLサービス ▶アッカ・ネットワークスがADSLの無料モニター募集
1999年末に、NTT東西の電話回線網を利用した初のADSLサービスとして東京めたりっく通信がサービスを開始した後、2000年にはイー・アクセスがADSLサービスを開始し、同年末にはアッカ・ネットワークスがモニター募集と、初期のADSLサービスが続けて立ち上がった。
後に、東京めたりっく通信はソフトバンクBBと合併、イー・アクセスとアッカ・ネットワークスは合併した後、さらにイー・モバイルに合併され、現在は3社ともソフトバンク(ワイモバイル)に合流している。
▶メールで広まる「I Love You」マクロウィルスに注意
現在では「マルウェア」(悪意のあるソフトウェアの総称)と呼ばれるのが一般的だが、当時はウイルス(ウィルス)と呼ばれた。これまでにもウイルスのニュースはあったが、数が増えてくるのは2000年頃からだ。
5月のこのニュースでは、Outlookユーザーをターゲットとしており、知人などのアドレスから「ILOVEYOU」というタイトルのメールが送られてきて、添付ファイルを開くと悪意のあるスクリプトが実行されるマクロウイルスへの注意を呼びかけている。現在の「ロマンス詐欺」のはしり、とも言えるもので、これを受け、Outlookに添付ファイルの実行を警告機能が実装された。
同年には、2月に米司法省がサイバー犯罪対策予算を3700万ドル計上したというニュースや、6月に郵政省(当時)が「サイバーテロ対策検討会」の中間報告を発表というニュースなども公開している。
▶W3C、XMLベースの次世代HTML仕様「XHTML 1.0」を勧告として発表
ウェブページの構造を記述するマークアップ言語(HTML)として、従来のHTML 4.0の後継にあたる「XHTML 1.0」の勧告(Recommendation)が発表された。HTMLを汎用性が高いマークアップ言語であるXMLとして再定義したことが特徴で、より厳密な文法となり、機械での処理しやすさなどが特徴とされた。当時はMacの標準機能としてもホームページ作成機能が提供されるなどしていた。
この後、XHTMLの継続的な開発は行われず、2014年には「HTML5」が勧告される。
▶ICANN、「.info」など7つの新gTLDを決定 登録開始は2001年春ごろの予定
それまでの「.com」「.net」「.org」といったgTLD(グローバルトップレベルドメイン)に、新たに「.info」「.name」「.biz」「.pro」「.museum」「.aero」「.coop」が加わることになった。運用開始は2001年の春頃とされている。
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1999年(平成11年)は「1999年7の月に人類が滅亡する」とする「ノストラダムスの大予言」の年だった。またIT業界の話題としては、2000年以降の運用を想定せず、年を西暦の下2桁の数字だけで計算していたソフトウェアが、「99」から「00」になることで問題を起こす可能性を指摘する「西暦2000年問題」(2000年問題/Y2K問題)も大きな話題になった。
インターネットが大きく成長する中、NTTドコモが携帯電話向けインターネットサービス「iモード」を開始。また、2000年以降に普及するブロードバンド(高速・広帯域)回線「ADSL」もこの年から立ち上がり、現在も広く使われている高速・常時接続の回線サービスが始まっていく。
新語・流行語大賞となったのは「雑草魂」(読売ジャイアンツ・上原浩治選手)、トップテンには「リベンジ」(西武ライオンズ・松坂大輔選手)と、プロ野球の話題も盛り上がった1年だった。「ブッチホン」「カリスマ」(店員、美容師など)や「ミッチー・サッチー」「だんご三兄弟」なども、この年のトップテン。話題の支配力はまだまだマスメディアが強く、テレビで繰り返されたキーワードが、新語・流行語に強く反映されている。「西暦2000問題」と「iモード」もトップテンに入っている。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から1999年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。
▶NTTドコモが「iモード」の詳細発表、発表会にはヒロスエも登場
NTTドコモ(当時の正式社名はエヌ・ティ・ティ移動通信網株式会社)が、同社の携帯電話向けインターネットサービス「iモード」を1月に発表。2月に提供を開始した。発表会にはCMキャラクターに選ばれた広末涼子さんも登壇しており、「携帯からインターネットを使えることに感激しました」「飛行機の空席だけじゃなく、映画館の空席情報もわかるようになればいいですね」といったコメントをしたと記されている。
この後、携帯電話の盛り上がりを受け、Watchシリーズでは1999年10月に「Mobile Central」というサイトを立ち上げ、2000年4月に「ケータイWatch」を創刊する。なお、iモードは2026年3月31日に終了する。
▶長野県で国内初の商用ADSLインターネット接続サービス開始
長野県の川中島町有線放送(KUHK)と、同県内のISP「JANISネット」が、9月1日から商用ADSL高速インターネット接続サービスを開始すると発表。これが、ADSL技術を利用した商用の接続サービスとしては国内初となる。ブロードバンド立ち上げ期の歴史は、こちらの特集記事にまとめられている。
▶NTTの定額制「IP接続サービス」、月額料金は8,000円 プロバイダー47社順次対応を開始
11月1日、試験サービスとしてISDNによる定額制の「IP接続サービス」を開始した。同サービスは本サービス開始後に「フレッツ・ISDN」と改称し、現在の「フレッツ光」に続く、常時接続サービスの始まりとなる。当初の月額料金は8000円だが、同年6月にはbn報告書が郵政省(当時)により取りまとめられたりしている。
なお、NTTグループは同年7月1日に持株会社制に移行し、NTT東日本、NTT西日本は、このときに誕生している。
▶MP3音楽配信を開始した「P-MODEL」の平沢進氏に聞く
テクノポップバンド・P-MODELが7月6日に、MP3ファイルの販売を開始した。同バンドはこの年に結成20周年を迎えており、この年にレコード会社との契約を打ち切り、インターネット上での音楽配信を始めたかたちだ。INTERNET Watchでは、平沢進氏にインタビューを実施し、MP3形式での配信ならインターネット上の音楽配信が現時点で可能だろうと思ったが、(当時は)メジャーレーベルとの契約があると無理なため、ネットワーク配信を選択した、などのコメントを掲載している。
違法MP3ファイルや音楽データ流通の問題については1999年よりも前からたびたび報じており、この年には坂本龍一氏へのインタビューも行っているほか、海外イベントにおけるパネルディスカッションのレポートなども掲載している。
Microsoft「Internet Explorer」(IE)とNetscapeの「Netscape Navigator」(NN)が中心となったシェア争い「ブラウザー戦争」に終了ムードが漂った。11月のこの記事では、IEが64%、NNは36%のシェアとなり、調査開始時点では2%対71%だった両者のシェア比が逆転。その要因は、企業の決めたブラウザーを社員が使わなくてはならないとする「ブラウザーポリシー」にあったとしている。この後、現在トップシェアのウェブブラウザーである「Google Chrome」が登場するのは2008年9月のこととなる。
インターネット広告市場の成長を受け、3月に「インターネット広告推進協議会」発起人会が発足、5月に正式発足した。同協議会は、2015年に改称し、現在、一般社団法人日本インタラクティブ広告協会(JIAA)となっている。
▶「Internet Explorer 5日本語版」公開――ストリーミングメディア対応を強化
3月18日、Microsoftのウェブブラウザーの最新版「Internet Explorer 5」(IE5)の日本語版がリリース。新バージョンの最大のポイントはストリーミングコンテンツ対応とされ、各社の音声コンテンツが「ラジオツールバー」を利用して再生できた。
1998年に創設されたAkamaiがVCなどから出資を受け、順調な滑り出しであることを報じている。同社は2月に商用サービスを開始しており、INTERNET Watchでは、1999年中は同社のサービスを「コンテンツ配信技術」と呼んでいる。本誌では初めて「CDN」(Content Delivery Network)というキーワードが登場するのは、2000年8月にCiscoがCDNを発表し、普及団体を設立したというニュースとなる。
▶ネット上の違法情報を24時間態勢で監視 警視庁、“サイバーパトロール”開始
5月に、警視庁は「ハイテク犯罪対策センター」を開設し、インターネット上で「サイバーパトロール」を開始した。当時の監視対象は、「インターネット上のわいせつ画像や薬物売買などの違法情報」であるとしている。なお、同じく5月には愛知県警が違法MP3に関して全国初の摘発を行っている。
インターネットイニシアティブ(IIJ)が、商用インターネットサービスとしては日本初だとする実験サービスを開始した。現在INTERNET Watchのバックナンバーで確認できるIPv6関連記事は、1997年6月のNetWorld+Interop 97 Tokyoで行われたIPv6デモの記事が最も古い。その後、1999年7月には、IPv6フォーラム設立を報じている。
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1998年(平成10年)2月に、長野オリンピックが開催された。日本選手の活躍では、原田雅彦選手、船木和喜選手らのスキージャンプ、里谷多英選手のフリースタイルスキー(モーグル)などの活躍が大々的に報道されたが、オリンピックは、大会運営や情報発信などにおいて、最新の通信技術が活躍する場にもなっており、INTERNET Watchでも関連ニュースを報じている。
FIFAワールドカップに、日本が初出場したのもこの年(フランス大会)。野球も国内外で盛り上がり、プロ野球セ・リーグでは横浜ベイスターズが38年ぶりのリーグ優勝を成し遂げ、日本一に。高校野球では、松坂大輔投手を擁する横浜高校が春夏の大会を連覇した。そして、大リーグでは、マーク・マグワイア選手とサミー・ソーサ選手のホームラン王争いが話題となった。流行語大賞は、横浜ベイスターズの佐々木主浩投手のニックネームである「ハマの大魔神」。
「平成」の元号を発表した人としても知られる小渕恵三氏が、自民党総裁・総理大臣となった年でもある。この年の新語・流行語大賞トップテンには政治・経済関連の言葉が多く、総裁選に立候補した小渕氏と梶山静六氏、小泉純一郎氏の3氏を田中真紀子氏が評した「凡人・軍人・変人」、前年からの金融機関の破綻などに象徴される不況下での「貸し渋り」「モラル・ハザード」「日本列島総不況」、小渕氏を評した「冷めたピザ」「ボキャ貧」が入っている。
この年の9月には、Googleが設立されている。INTERNET Watchで現在確認できる最も古いGoogleに言及したニュースは、1999年6月のNetscapeがGoogleと提携した新しい検索サービスを公開したというもの。1999年9月にはGoogleの正式サービス開始を報じている。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から1998年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。
長野オリンピックの公式サイト「1998 Nagano Olympic Winter Games」のヒット数が、当時の世界記録としてギネスブックに認定された。2月7日~22日の期間中の総ヒット数は約6億3500万。インターネット白書1998では、「技術もまた、長野で金メダルを獲得した」とのIOC事務総長のコメントを記録している。
長野オリンピック冬季競技大会組織委員会(NAOC)が公開したオリンピックの情報システムの記事なども、当時のINTERNET Watchで公開している。
3月に、不正アクセスによって他人になりすましたり、詐欺や破壊行為を行ったりする悪質巧妙な事例が増えているとの報告書を警視庁情報システム安全対策研究会がまとめた。現在の不正アクセス禁止法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律)につながるもので、11月には郵政省が素案を発表、1999年4月に法律案がまとまり、8月に公布、2000年2月に施行された。
12月、日本音楽著作権協会(JASRAC)らで構成される「デジタル問題対策会議」が、「違法MP3ファイル撲滅プロジェクト」を発足。独自に開発した検索エンジンを利用した、違法サイトの情報収集を開始した。音声ファイルは、高速通信ができない時代でも高音質のデータを小さなサイズに圧縮して送受信可能だったため、インターネット普及初期から違法なデータの流通が問題化していた。
同年8月には日本レコード協会が違法MP3コンテンツの排除を要請、海外では10月に米国レコード産業協会が携帯用MP3プレイヤーの販売会社にクレーム、といった動きもあった。
インターネット黎明期のメッセンジャーアプリとして知られる「ICQ」Windows版を日本語化できるソフトウェアが公開されたというニュース。ICQは1996年に公開され、友達の一覧から選んでメッセージをやり取りでき、一覧にはステータス(離籍中、作業中、など)が表示されるなど、今のメッセンジャーアプリに通じる機能を備える。
ICQは同年6月にAOLに買収された。2016年にはICQの20周年を報じている。2024年、ICQはサービスを終了した。
個人情報の保護について一定の基準を満たしていることを認定するプライバシーマーク(Pマーク)制度の運用が4月に開始。申請受付が開始された。
▶オリンピック選手村のある長野市川中島町でxDSL公開利用実験開始
長野オリンピック期間中に、選手村がある長野県川中島町でxDSL(x Digital Subscriber Line:電話線など銅線を利用した高速通信技術の総称)の公開利用実験が行われた。使われた回線網は地域の有線放送電話施設のもので、「有線放送電話網とは、昭和30年代から主に農山村地域での通信媒体として利用されているもの」と説明されている。
翌年、川中島町有線放送は同県内のISP「JANIXネット」と国内初の商用ADSLサービスを開始する。
7月に、ソフトバンクと米ONSALEがオンセール株式会社を設立。当時注目を集めていたオークション事業に参入した。本件は、ソフトバンクにとってECへの初参入でもあり、孫社長は「エレクトロニックコマースでも、確固たる地位を築いていきたい」とコメントしている。
この後、ソフトバンクグループでは「Yahoo!オークション」を1999年9月に開始。オンセールは2002年8月にガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社に商号変更している。
2月に「56kbpsモデム」の標準仕様「V.90」が決定したというニュース。モデムとはデジタル信号とアナログ信号を相互に変換する通信機器で、アナログ電話回線を通じてインターネットにダイヤルアップ接続する時代に使われた製品。56kbpsモデムの標準仕様は、上り33.6kbpsのV.90のあと、上り48kbpsの「V.92」が2000年7月に策定されたのが最終。
近年ではなかなか見かけなくなったモデムだが、2025年には56kbpsモデム12台でブロードバンド接続を実現するという動画が話題になるなどもしている。
▶「オンラインショッピング経験者が増加」日経BP社がユーザー調査の結果を発表
1月に発表されたインターネットユーザーを対象とした調査結果で、回答者の40.7%がインターネットショッピングに対して「すでに買い物したことがあり、今後も利用したい」と回答しており、初めて40%を超えたという。
2026年現在における主要なECサイトでは、「楽天市場」が1997年5月にサービスを開始している。「Yahoo!ショッピング」は1999年9月、Amazon.co.jpは2000年11月と、この調査以降の開始となる。
▶アクトンテクノロジィが宮村優子の声でしゃべるイーサネットハブを発売
アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」で惣流・アスカ・ラングレー役を務めた声優の宮村優子さんの声で「冷却ファン異常停止」「1番ポート、リンク不能!」などとトラブル発生を知らせる、100BASE-TX×8ポートのハブが1月に発売された。
当時の「新世紀エヴァンゲリオン」は1996年にテレビシリーズが終了した後、1997年に劇場版「シト新生」「Air/まごころを、君に」が公開されている。さらに、1998年3月には、これらの総集編的な内容となる劇場版「DEATH (TRUE)2 / Air / まごころを、君に」が公開された。
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1997年(平成9年)4月に消費税が5%になり、11月には山一證券が自主廃業を発表し、北海道拓殖銀行が経営破綻。1990年代初頭に起きたバブル崩壊の影響が広がり、景気が悪化する中で、インターネットとIT業界は盛り上がっていく。
総務省の「平成11年版 通信白書」によれば、1997年のインターネット利用人口は1155万人で、世帯普及率は約6.4%とされている。
この年の新語・流行語大賞は「失楽園」。「たまごっち」や「マイブーム」「もののけ(姫)」などがトップテンに入っている。世間を騒がせた事件としては、神戸児童連続殺傷事件が2月に発生。海外では7月に香港が中国に返還され、8月にはフランスでダイアナ英国元皇太子妃が死亡する事故があった。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から1997年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。
▶NTTアドが日本語検索エンジンサービス「goo」を3月27日より開始
検索サービスといえば「Google」が代名詞とも言える存在になっているが、1997年にはまだ登場していない。1996年までには「ODIN」「AltaVista」などが存在していたが、この年新たに登場した「goo」は、国産の高性能な日本語検索エンジンとしてまたたく間に人気を獲得、この年に編集部が選んだ10大ニュースでも1位となっている。
なお、2025年11月にgooはサービスを終了した。
▶米司法省がMicrosoftを反トラスト法違反で提訴 違反を続ければ1日100万ドルの罰金
Netscape対Microsoftによる「ブラウザー戦争」と呼ばれたウェブブラウザーのシェア争いもあった中、MicrosoftがWindows 95に「Internet Explorer」をバンドルしたことが反トラスト法違反であるとして、米司法省が同社を提訴した。この訴訟は、2001年の和解、2011年の訴訟終結まで続く。
ドメイン名とIPアドレスを対応させ、ウェブサイトなどへのアクセスのために欠かせないDNS。その大元である「ルートサーバー」の1つ、アルファベットで13番目のMルートサーバーが日本に置かれることになった。現在もルートサーバーはA~Mの13個であり、日本のMルートサーバーはWIDEプロジェクトとJPRSが共同管理している。
▶ヤフー株式会社が株式店頭公開 初値は募集価格の2.85倍の200万円
1996年1月にソフトバンクと米Yahooとの合弁で設立し、同年4月から「Yahoo! JAPAN」の提供を開始していたヤフー株式会社が、この年の11月に株式を店頭公開。募集価格の70万円を大きく上回る200万円の初値が付いた。
同社は2019年に持株会社体制に移行してZホールディングス株式会社となり、事業会社は2023年よりLINEヤフー株式会社となった。
今ではごく当たり前のサービスであるインターネット電話(IP電話)の実験を、国内・国外を対象にNTTが開始したというニュース。「今のところは事業化の予定はないが、将来の技術に向けてノウハウを蓄積するため」とのコメントが紹介されている。
この後、INTERNET Watch誌上では、1999年の「CiscoWave+Networkers'99」のレポートで、「VoIP」(Voice Over IP)のキーワードが初めて登場する。
通商産業省(現:経済産業省)が、民間企業等が取り扱う個人情報の適切な保護のための規定「個人情報保護ガイドライン」を改定。国内外での個人情報侵害事例や保護強化の動向のほか、「インターネットなどの開放型ネットワーク利用者の加速的増加など、個人情報保護を巡る状況の変化」も踏まえたものとされる。「個人情報」の定義が明確化され、個人情報の収集に関する措置などが詳細に規定された。
この後、2003年に「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)が交付され、2005年に施行される。
▶アプリックスがKDDらと新会社「ビットキャッシュ」を設立 少額決済用のプリペイドカードを販売
インターネットの普及初期は、電子マネーや電子決済、電子商取引といったサービスの立ち上げ期でもあった。ビットキャッシュ設立のニュースは、そういった動向を報じたニュースの1つ。同社は現在でもサービスを続けている。
「インターネット白書1997」では、ECサイトなどの当時の動向として「サイバービジネスの現状」を紹介しており、クレジットカードの利用が少ないこと、暗号化技術が普及していないことから、銀行決済やプリペイドカード方式など、ほかの方式の確立も待たれるとしている。
▶米Netscape社が「Internet Explorer」削除キャンペーン開始
ブラウザー戦争当事者の一方であるNetscapeは、1997年にはウェブブラウザー「Netscape Navigator」にメールクライアントなどの機能を加えた「Netscape Communicator 4」を公開。年末に実施したキャンペーンで、Internet Explorerを削除してNetscape NavigatorをOSのデフォルトブラウザーに設定する方法などを解説した。なお、このキャンペーンは米国で行われたもので、当時のニュースでは、日本語での展開は未定とされている。
▶文部大臣が2003年までにすべての学校をインターネットに接続する方針を表明
当時の町村信孝文部大臣が、2003年までにすべての学校をインターネットに接続する方針を表明した。当時は、1994年より始まった、全国の約100の小中高校でインターネットの活用を試行する「100校プロジェクト」が実施中。
「インターネット白書1997」の「教育とインターネット」のパートでは、当時の教育利用として「ネットワーク会議、ネットワークコンテスト、情報交換といった活動が展開された」とレポートしている。
▶ペットが飼えるメールソフト「PostPetDX」がいよいよ発売
ピンクのテディベア「モモ」がメールを運ぶメールソフト「PostPetDX」が11月に発売され、大ヒットに。現在もSo-net内でポストペットは展開している。
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1995年11月23日に、インターネットに簡単に接続できる機能を備えた日本語版「Windows 95」が発売され、インターネットの普及に弾みがつく。そうした中でINTERNET Watchは有料メールマガジンとして12月1日にプレ創刊。翌1996年2月1日に正式創刊した。
阪神・淡路大震災、オウム事件など、歴史に残る大事件の多かった1995年だが、「インターネット」は同年の新語・流行語大賞トップテンにも選出されている。大賞は、この年東京都知事選で当選した青島幸男氏、および大阪府知事選で当選した横山ノック氏を表した「無党派」、および「NOMO」「がんばろうKOBE」。
翌1996年はスポーツの話題が目立った年で、アトランタ五輪女子マラソンで銅メダルを獲得した有森裕子選手の「自分で自分をほめたい」、プロ野球セ・リーグで、大逆転優勝を遂げた読売ジャイアンツの長嶋茂雄監督による「メークドラマ」が印象深い言葉として、新語・流行語大賞にもなっている。そのほかには、O-157による食中毒事件、薬害エイズ裁判が続く中で菅直人厚生大臣やミドリ十字が被害者に謝罪、ペルー日本大使公邸占拠事件、といった出来事があった。
当時のインターネットの利用状況については、「インターネット白書」の第1号である「インターネット白書1996」を参照したい。「日本のインターネット、インターネットこの1年の動き」の中で、インターネットユーザー数について「95年はざっと125万人」と推計されている。同年の日本の人口は約1億2557万人で、1%程度のインターネット利用率となる。
【記事訂正:11:00】 1996年の出来事に関して初出時「菅直人首相」と記述していましたが、「菅直人厚生大臣」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは、プレ創刊した1995年12月および1996年のメールマガジンバックナンバーの記事を、2026年の視点で10本取り上げ、当時を振り返る。
▶Internet Explorer 3.0とNavigator 3.0、どっちのWWWブラウザーが優秀か? NetscapeとMicrosoftが、ホームページで互いの製品を名指しで比較検証
現在ではインターネット利用の中心はアプリになっているが、当時は、インターネットといえばPCでウェブブラウザーを使っての「ネットサーフィン」が中心になりつつある状況だった。そのような中、後に「ブラウザー戦争」と呼ばれるようになるウェブブラウザーのシェア争いが起こる。
当時、圧倒的なシェアを誇っていたウェブブラウザー「Netscape Navigator」(NN)に対抗し、Microsoftは「Internet Explorer」(IE)をWindows 95にバンドルし、最大シェアを持つOSの標準機能とした。このニュースは、NNと同等の機能をうたう「Internet Explorer 3.0」の公開直後に、両社が火花を散らしたというニュース。
余談だが、当時はウェブのことを「World Wide Web」の略で「WWW」と表記することが多く(読むときは「ダブダブダブ」と発声するケースもあった)、本誌でもこの表記を採用していた。そのため、当時のウェブ関連ニュースは、後年の絵文字文化を経た感覚だと「大草原」(あるいは背の高い草原)を想起させる文字面となっている。
▶あのYahoo!が日本上陸。ソフトバンクと合弁で「ヤフー株式会社」を設立 日本語に対応したwww.yahoo.co.jpを4月より一般ユーザーに提供
「Yahoo! JAPAN」は1996年4月1日にサービスを開始している。このニュースは、米Yahooと合弁でヤフー株式会社を設立する合意がなされたことを報じるもので、当時は、現在のようなキーワードによるウェブ検索はまだ定着しきっておらず、カテゴリーごとに分類された一覧の中からウェブサイトを探す「ディレクトリサービス」もよく使われていた状況で、米国の「Yahoo!」もディレクトリサービス大手として知られていた。
記事中にあるTim Koogle氏とJerry Yang氏のインタビューはこちら。
▶M-BoneとStreamWorksで坂本龍一のコンサートを生中継 ライブを見逃した人もRealAudioでコンサートが2時間聴ける
1995年12月1日、INTERNET Watchプレ創刊号の1本目のニュース。11月30日に坂本龍一氏が日本武道館で行った「三菱電機スーパーセレクション 坂本龍一ツアー'95D&L With Daizaburo Harada」のライブ中継が行われたことを報じており、編集部では128kbpsの専用線とダイヤルアップ接続で視聴を試みたが、かなり厳しい状況であったことが記されている。
▶インターネット1996ワールドエキスポジションが4月16日にグランドオープン
インターネット上(仮想空間上)で開催されたイベント「インターネット1996ワールドエキスポジション」のため、国内に「45Mbps」のバックボーンが引かれたというニュース。同年末の振り返り記事ではこのことを「国内バックボーンにも45Mbps回線が使われ、今年はインターネットのキャパシティが大幅に増えた年といえる」としており、隔世の感がある。
なお、「インターネット1996ワールドエキスポジション」の内容については、インターネット白書1997」に詳細なレポートがある。
▶超強力サーチエンジン登場! 日本中のWWWサーバーの全文を対象に検索できる
こちらもINTERNET Watchプレ創刊号より。東京大学のサーバーで試験運用されたいた「ODIN」(Open Documentary Information Navigator)は、「jpドメインのWWWドキュメントの全文を対象」としてロボットがデータを収集し、日本語による検索ができると紹介しており、「これはまさに日本のサーチエンジンの決定版だ」としている。
Yahoo! JAPANの項目でも紹介したように、当時、ウェブサイトを探す方法には検索だけでなくディレクトリサービスもあったが、ディレクトリサービスでは手動でのメンテナンス(新しく公開されたウェブサイトの追加など)や目視で探すことが難しくなっていく。そうした中でキーワードによる検索サービスも登場していたが、日本語で使いやすいサービスが待たれていた。
1995年12月13日には、NTTが「NTT DIRECTORY」を公開。当時、NTTは毎日新しいウェブサイトを紹介する「日本の新着情報」を運営していたが、これをベースにキーワード検索とディレクトリサービスを提供するものだった。さらに、12月21日にはDECのAltaVistaを紹介しており、米国のサービスだが「日本のサーバーを検索すると、説明の中の一部の日本語は、文字化けせずにきちんと表示される」としている。
1995年12月20日に、日本社会党(当時)がインターネットで新党名を募集しているとの記事。当時は自由民主党・日本社会党・新党さきがけによる「自社さ連立政権」の時代で、社会党はこの後、1996年1月に「社会民主党」となった。
1996年1月1日に自由民主党がウェブサイト開設とのニュースもあり、こちらでは「6月に新党さきがけが開設したのをはじめ、7月に社会党、新進党が同時に開設し、今回の自民党開設で主要4党が全てホームページを持ったことになる」としている。
1996年4月の、「インターネットを使ってパソコン購入者を募集しながら、商品を発送せずに代金をだまし取っていたとして、詐欺の疑いで新聞販売員(25)を逮捕した」とのニュース。インターネットの利用が広がるにつれて犯罪も増え、本件は、INTERNET Watchが初めて報じたネット詐欺のニュースとなる。
インターネット上の犯罪による逮捕としては、同年1月にあった、わいせつ画像提供による逮捕が、国内初とみられる。同年末の振り返り記事では、これらについて「警察・国家によるインターネットへの介入」と題し、「逮捕の基準が明確でなく、法律の整備もされていないため、各省庁では研究会などを設けて、対応をはかっている」と述べている。
今では「常時接続」という言葉も使われないほど、インターネットに常時接続し、いつでも利用できるのが当たり前だが、一般家庭向けの常時接続サービス「フレッツ・ISDN」が登場するのは2000年のことで、1996年当時は、インターネットを使いたいときにISP指定の電話番号に(モデムと呼ばれる接続用の装置から)電話をかけるダイヤルアップ接続が主流で、接続時間に応じて通話料金がかかっていた。特定の電話番号に対して23時~翌8時の間だけ定額で利用できる「テレホーダイ」というサービスがあり、長時間インターネットを利用したい人は、これを利用していた。
ここで紹介されているのは、ISPが電話回線増強を行ったところ、NTTの都合で電話番号が変更されてしまった(しかも、当初変更される予定の番号とは違う番号になってしまった)、これに対応するにはテレホーダイの対象の電話番号を変更しなければならないが、テレホーダイの電話番号の変更は1カ月単位でしか受け付けされない、という事件。当時のインターネット利用急増に、システムが追いついていけなかったトラブルの一例と言える。なお、テレホーダイは2023年まで提供されていた。
▶WIDEプロジェクトが世界初のIPv6広域ネットワーク運用実験開始
WIDEプロジェクトが、1996年6月9日に、世界で初めて専用回線を使ったIPv6の広域ネットワークを構築し、米仏およびデンマークの仮想的なIPv6ネットワークとも接続。世界規模の実験用IPv6ネットワーク「6bone」に参加した。
それまでのIPv4アドレスでは世界でIPアドレスが不足することなどから検討が始まったIPv6は、1995年末に最初のRFC(RFC 1883など)が策定されたところ。当時の議論などはインターネット白書1997の「新しいインターネットプロトコルIPv6への移行」にも掲載されている。
▶Windows用オンラインソフト情報が満載! 最新情報も、FTPサービスもある「窓の杜」が10月15日正式オープン
東北大学のサーバーでひぐちたかし氏が運営していたオンラインソフト配布サイト「秋保窓」(あきうまど)を、1996年10月に「窓の杜」として公開した、というニュース。当時の経緯などは、2001年公開の窓の杜の記事に詳しい。なお、INTERNET Watchでは同年5月に東北大学サーバー上の秋保窓が停止したというニュースも報じている。
この年、7月には「PC Watch」が創刊している。