プーチン氏、停戦要求無視か-欧州諸国は追加制裁に向け米国とも調整
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアのプーチン大統領に週内の直接交渉を呼びかけた。トランプ米大統領によるウクライナの平和確保の取り組みに、決定的瞬間が訪れそうだ。
これより先、プーチン氏はロシアとウクライナの直接交渉を15日にイスタンブールで行うことを提案していた。これに対しゼレンスキー氏は、首脳の直接会談へと提案を一段と引き上げた格好になる。
だが、不信や未解決の問題が渦巻き、和平に向けて前進するかはなお不透明だ。ゼレンスキー氏と欧州のウクライナ支援国はロシアに12日から30日間の停戦を求め、それが拒否されれば、対ロシア制裁を大幅に強化すると警告。この取り組みには米国も加わるとしているが、トランプ氏は公にそれを明言せず、プーチン氏は停戦要求を無視した。
ゼレンスキー氏は11日、毎晩恒例の国民向け動画演説で「15日にトルコに行く」と述べ、「今回こそは、プーチン氏が理由を付けてやっぱりできないと言い出さないことを望む。ウクライナはこの戦争を終わらせるため、交渉の用意がある」と続けた。
トランプ氏は10日、プーチン氏とゼレンスキー氏に停戦に応じるよう呼びかけ、外交的解決への気運を盛り上げた。ロシア軍が停戦に違反すれば新たな制裁を科すとし、交渉の席に着くよう促した。
「直ちに会談しろ!!!」と自身のソーシャルメディアプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。
関連記事:トランプ氏、ウクライナ「直ち」に会談を-プーチン氏協議提案で (1)
トランプ氏に近い共和党のグラム上院議員は今月初め、ロシアを「粉砕する」ほどの新たな制裁案に上院で幅広い支持を確保したと主張。ロシア産の石油や石油製品、天然ガス、ウランを購入する国に対して500%の関税を課す措置などが盛り込まれていると説明した。
We await a full and lasting ceasefire, starting from tomorrow, to provide the necessary basis for diplomacy. There is no point in prolonging the killings. And I will be waiting for Putin in Türkiye on Thursday. Personally. I hope that this time the Russians will not look for…
— Volodymyr Zelenskyy / Володимир Зеленський (@ZelenskyyUa) May 11, 2025
一方、英国と欧州諸国は初の安全保障担当閣僚による会合を開く。ラミー英外相は12日、対ロシア追加制裁を発表する見込みだ。
戦争終結に向けプーチン氏に対する圧力強化を図るトランプ氏はここ数週間、欧州の同盟国やウクライナとの連携を強めている。それでも、トランプ氏の公の発言は欧州諸国ほど強いものではなく、同氏に大規模な追加制裁を実行する用意があるのか疑念を呼んでいる。
ドイツのメルツ首相、フランスのマクロン大統領、英国のスターマー首相、ポーランドのトゥスク首相は10日にそろってキーウを訪問。ゼレンスキー氏への支持を表明するとともに、ロシアがウクライナへの攻撃を停止しなければ12日から新たな制裁手続きを開始する意向を示し、プーチン氏に事実上の最後通告を突きつけた。
事情に詳しい欧州政府の当局者によれば、トランプ氏はこの共同声明を承認し、必要であれば米国も欧州と協調し、追加制裁も辞さない姿勢を非公開のやりとりの中で明確にした。当局者は匿名を条件として語った。
ウクライナと欧州諸国が停戦開始期限とした12日午前0時が過ぎた時点で、ロシアが攻撃の手を和らげた兆しはない。ウクライナ空軍は12日朝、ロシアがウクライナ全土に対し無人機(ドローン)を108機発射し、このうち55機を撃墜したとソーシャルメディアのテレグラムで明らかにした。
フランス大統領府の発表によると、マクロン氏は11日午後に今後数日間の重大な局面を前に協調を図るため、欧州諸国と電話で会談。続いてゼレンスキー氏、トランプ氏朝会話したという。
原題:Trump’s Ukraine Push Comes to a Head With Challenge to Putin (1)(抜粋)