超長期金利が急低下、発行減額巡る報道で 円安/株高に波及
3月から上昇基調を辿っていた超長期金利にようやくブレーキがかかった。
財務省は6月中下旬にも市場参加者と協議し、需要次第で超長期債の減額も視野に対応を詰めると伝えられており、市場では「早ければ7月から超長期国債の発行減額が行われる」との受け止めから、20年金利2.310%・30年金利2.830%・40年金利3.285%といずれも5月初旬以来3週ぶり水準に急低下。一方、超長期債の発行を減額する代わりに発行が増えるとの見方から、中期債はアンダーパフォームした。
円債市場では「きのう夕方に財務省からアンケートが配布されたので、国債市場特別参加者会合(PD懇)が開催されるのは知っていた。きょうも朝からそうした情報が出ていたようで、超長期ゾーンはしっかりしていた」(国内銀行の運用担当)など、耳が早い一部参加者は少し前から動いていたとの指摘もあった。
財務省は明日に40年債入札を実施予定で、20年債入札の二の舞を演じて不調となれば超長期債市場のさらなる混乱もあり得ると不安視されていたが、きょうの報道がアナウンスメント効果となり、入札に向けた警戒ムードは一気に和らいだ。
また超長期債の主要投資家である大手生保からは「投資家目線では金利が高いこと自体は悪くはなかったが、6月の市場参加者会合を経て超長期債の発行減額が正式に決まってマーケットが落ち着くなら、金利急騰のリスクが減るという意味でも望ましいことだ」(運用担当)など、概ね好感する声が聞かれた。
一方、財務省の国債管理政策を評価しながらも、膨張する債務残高の問題は残っているとして、財政規律の緩みを警戒する声もある。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、国債市場の安定という面ではいいことだが、国の債務管理の観点では不安が残ると話す。
「発行減額はあくまでもひとまずの対策で、肝心の債務残高が減るわけではない。財務省としてできることはしたので、あとは政治家サイドに債務残高を増やさないことが求められる」と指摘した。
(植竹知子、坂口茉莉子 編集:橋本浩)
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