令和にふさわしいエレガントなクーペ──新型ホンダ プレリュード詳報

1.24年ぶりの復活

新型ホンダ プレリュードの先行情報が7月31日、公式ウェブサイトで公開された。

6代目となる新型ホンダ プレリュードは、歴代モデルと同様に2ドアクーペだ。ただし、大型のテールゲートを備えること、そしてハイブリッド専売モデルとなる点は大きく異なる。

Hiromitsu Yasui

ホンダが配布した資料の最後には「24年ぶりに復活します」との文言で締め括る。

24年前は、RV全盛期だったので、すでにプレリュードのようなスペシャリティカーは、マイナーだった。ゆえに、街中でプレリュードを見かけた印象は薄い。

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ただし、あらためて見た5代目はカッコいい。初代を彷彿とさせるスタイリングが、ノスタルジックで惹かれる。加えて、ATTS(Active Torque Transfer System)を開発し、Type Sグレードに搭載したのもトピックだった。ATTSは、従来は左右輪に均等にしか伝えられなかった駆動力を旋回状態に応じて左輪と右輪に異なった量配分するシステムだ。その後、2代目「NSX」が採用したSH-AWDに基となる技術である。

5代目プレリュード、ただカッコいいだけではなく、スペックも極めて気合の入ったモデルだったのだ。

2.美しいエクステリア

24年ぶりに再デビューするプレリュードも、相当気合の入ったモデルだ。

まず流麗なエクステリアに、心おどる。エクステリアデザインコンセプトは「GLIDING CROSS STANCE」。空飛ぶグライダーを彷彿とさせるデザインが特徴だ。

グランドコンセプトは「UNLIMITED GLIDE〜どこまでも行きたくなる気持ちよさ×非日常のときめき〜」。

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低くシャープなフロントノーズは、グライダーが滑空するような高揚感を生み出すという。抑揚のあるなめらかなボディラインが、美しい4色のボディカラーを引き立てる。用意されるのは「ムーンソリッドホワイトパール」、「メテオロイドグレーメタリック」、「クリスタルブラックパール」、「フレームレッド」だ。

フレームレッドを用意したのは往年のプレリュードファンへのアピールもあるだろう。デートカーとして一世を風靡した3代目プレリュードの訴求色は“赤”。赤いプレリュードが、4WS(四輪操舵システム)をアピールするテレビCMを懐かしむ人たちも多いと思われる。フレームレッドをまとった新型プレリュードを見ると、グッとくるはずだ。

3.クオリティの高いインテリア

インテリアは、グライダーが滑空するような高揚感を感じさせるデザインに仕立てたという。

メインカラーは「ブルー×ホワイト」。インパネにはさりげなく、プレリュードロゴの刺繍を施す。

Hiromitsu Yasui

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助手席側のダッシュボードには、プレリュードの刺繍が施される。

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現行ホンダ「シビック」をベースとしながら、プレリュードらしさを演出しているのは見事。

デジタルメーターもプレリュード専用デザインだ。

プレリュードのグラフィックが特徴的な、フル液晶メーター。

Hiromitsu Yasui

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新型ホンダ プレリュードは、実用性も高い。リヤシートの居住性は、まずまずだが、割り切った結果だ。ラゲッジルームの使い勝手は良く、リヤシートを倒せばゴルフバッグを2セット、ソフトスーツケース(大)を2個。さらには235/40R19のタイヤは4本積載可能。コンビニフックや床下収納も備える。

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通常時の荷室には、ハードケース大中サイズを1つずつ積める。

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加えて、歴代モデルで一番、“高級”な雰囲気が漂う。たとえば手の触れるところに表皮素材を採用。フロントは「パーソナルシート」と呼ぶ専用品だ。しかも、運転席と助手席で座り心地を変えているというから手がこんでいる。せっかくなら、初代プレリュードのXRとXEタイプに設定された、コノリーレザーも選べたらいいのになぁ……と、思ったが、それはちょっと欲張りか。

もっとも新型ホンダ プレリュードは、歴代モデルを彷彿とさせる装備があまりない。コノリーレザー以外にも電動開閉式サンルーフやリトラクタブルヘッドライト、運転席側に向けられた助手席のリクライニングレバーなど……。

実は、採用見送りにはきちんとした理由があった! 後編で触れる。

次ページ:「復活のワケ」

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By 稲垣邦康(GQ)

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文と編集・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.)

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