トヨタ超えのキオクシア、半値になったフジクラ 同じAI銘柄なのに明暗が分かれた理由
キオクシアホールディングス(以下、キオクシア)とフジクラ。どちらも、日本のAI相場を象徴する「主役株」である。AIデータセンターの爆発的な投資ブームに乗り、両社とも2026年3月期に過去最高益を叩き出した。しかし、ここにきて両社の株価は別方向に進み始めている。 【画像】キオクシアとフジクラの株価パフォーマンス。5月以降、反対の動きをしている キオクシアの時価総額は6月3日に45兆円をつけ、トヨタ自動車を抜いて国内2位に躍り出た。かたやフジクラは、過去最高益を更新した直後の5月14日にストップ安を喫し、史上最高値からわずか1週間でほぼ半値に沈んだ。同じ「AI関連・最高益」の看板を掲げながら、株価は天と地に分かれたのだ。 まず事実を押さえる。キオクシアの2026年3月期決算は、売上収益2兆3376億円(前期比37.0%増)、純利益5544億円と、AIサーバー向けNAND型フラッシュメモリの特需で過去最高を更新した。 フジクラも負けてはいない。2026年3月期は売上高1兆1824億円(同20.7%増)、営業利益1887億円(同39.2%増)と、こちらも過去最高益だった。2024年には株価が年間で約6倍に化け、日経平均構成銘柄の上昇率トップを記録したこともある。 業績だけ見れば、両者に大きな差は見られない。そうであるにもかかわらず、株式市場は一方を時価総額45兆円まで押し上げ、もう一方を高値から半値以下の7兆円まで叩き落とした。 両社のビジネスモデルと、その関係性について見ていこう。
「サプライチェーン」と聞くと、連想されるのは、川上から川下へ一本でつながり、上流の富が下流にも流れ落ちるといった構図ではないだろうか。 だがキオクシアとフジクラの関係はそうではない。両社の間に売り買いの直接取引はほぼ存在しないと考えてよい。キオクシアはフジクラから何かを仕入れているわけではないし、その逆もない。 この点については、AIデータセンターの中身を分解すると構造が見えてくる。 データセンターの大部分を構成する半導体装置といえばGPUなどの演算装置だ。演算装置には超高速のメモリが必要となる。そして、演算装置とサーバー、ラック、データセンター同士を結ぶのが光ファイバーケーブルだ。 キオクシアが担うのはストレージ(記憶容量)の層だが、フジクラが担うのは光ファイバーケーブルといった接続の層である。 両社は縦につながった鎖の輪ではなく、横に並んだ別々の要素とみる方が妥当である。巨大なITインフラ企業によるデータセンター投資という水源は同一にしつつも、各々が扇状に枝分かれした先にいる存在だ。 水源が潤えば両方が潤うのは確かだが、本流と支流では流れる水、つまり富の量に差が生まれることは想像に難くないだろう。