モスの「のり弁バーガー」なぜヒット? お店で売らない、なるほどなワケ
モスフードサービスが2025年7月に発売した冷凍商品「モスライスバーガー のり弁」(6個3540円)が好調だ。初回の販売分は1週間で完売するなど、同社のECサイト史上最大のヒット商品となった。のり弁がけん引する形で、2025年7~12月の売り上げは前年同期比で約1.5倍に達した。 【画像】「モスライスバーガー のり弁」じっくり見る(9枚) なぜ、モスバーガーが「のり弁」を出したのか。そして、なぜ店舗ではなく、ECのみで販売しているのか。背景を聞いた。 同社は2020年、ハンバーガー以外の収益源を確保するためMD(マーチャンダイジング)事業を立ち上げ、2022年にECサイトを開設した。EC向け食品として、最初に挑んだのはハンバーガーの冷凍化だったが、技術的な壁にぶつかった。 商品開発部の寺本和男氏は「バンズは加熱直後、一瞬ふわっとするが、すぐに収縮して硬くなる。電子レンジ調理に対応できなかった」と振り返る。2026年2月現在も、ECでハンバーガーは扱っていない。 そこで目をつけたのが、ライスバーガーだ。1987年に開発されたライスプレートは、元々レンジ調理に対応した設計だったことから、バンズと違い冷凍にも耐えられると判断し、焼肉やしょうが焼きの冷凍ライスバーガーからEC展開を始めた。
のり弁の商品化は、MD事業部部長の中野秀紀氏の提案から始まった。冷凍食品市場では、おにぎりや焼きおにぎりなど、米を使った商品が根強い人気を持つ。中野氏は「ライスバーガーにのりを使えば、おにぎりのイメージに近づけられるのではないかと考えた」と狙いを語る。 ただ、開発を担う寺本氏は、既存のライスバーガーにのりを巻くだけでは必然性に欠けると考え、EC専用の新商品としてイチから開発した。「のり弁をバーガーにすれば、のりで巻く理由が生まれる」(寺本氏) 開発にあたり、弁当チェーンやコンビニ、高級専門店ののり弁を幅広く食べ比べた。誰もが思い浮かべる「のり弁」をバーガースタイルで再現するには何が必要か。最終的に、白身魚フライ、きんぴら、おかか煮、マヨソースといった定番の具材に絞った。 その理由について、寺本氏は「下手に奇をてらうと、のり弁らしさがなくなる」と語る。当初は、ちくわ天も候補に挙がったが、冷凍からレンジ加熱すると硬くなるため断念した。 ライスバーガーにのりを巻くのは、1987年の発売以来初の試みだ。それだけに、のりの選定には苦労したという。冷凍で割れない強度と、加熱後も残る風味の両立が必要だった。専門業者と産地の異なるのりを何種類も比較して厳選したほか、のりを巻いた状態で冷凍できる工場の確保にも時間を要した。 どこから食べても、のり弁と感じられるよう具材の配置にもこだわり、試作は数十パターン、開発期間は約1年に及んだ。