見た目はかわいいのに走りはキビキビ! フィアットの新コンパクトSUV「グランデパンダ」に試乗 “48Vハイブリッド”の実力と惜しいポイントとは?

 フィアットのコンパクトカー「パンダ」の歴史に、新たな1ページが加わりました。

 1980年に誕生した初代「パンダ」は、“誰もが気軽に使える、シンプルで実用的なクルマ”という考え方から生まれたモデル。その後、2代目、3代目と代を重ね、「パンダ」の名を冠した最新モデルとして登場したのが、先ごろ日本に上陸した新型「グランデパンダ」です。

 コンパクトなハッチバックから、ひとまわり大きな“Bセグメント”SUVへと姿を変えた「グランデパンダ」。車名の“グランデ”には、大きくなったボディと、広がった用途が表れています。

 とはいえ、ボディが大きくなっても、歴代「パンダ」が大切にしてきた考え方は変わっていません。

 初代「パンダ」のデザインを手がけたのは、イタリアの名匠ジョルジェット・ジウジアーロです。

 ジウジアーロは初代「パンダ」だけでなく、フォルクスワーゲンの初代「ゴルフ」も手がけたカーデザイン界の重鎮。どちらも限られたボディサイズで室内空間を効率よく確保するため、合理的なパッケージングとシンプルな造形を追求していました。

 ただし、同じデザイナーの作品でありながら、初代「ゴルフ」と初代「パンダ」は、ひと目で違うクルマだと分かります。

 初代「パンダ」は、直線を基調としたスクエアなボディに独特の愛嬌がありました。機能を優先した合理的なデザインなのに、どこかかわいらしい。単なる道具に終わらないこの個性が、「パンダ」らしさの原点です。

 新型「グランデパンダ」には、そんな初代のデザイン要素がふんだんに取り入れられています。

 例えば、スクエアなヘッドライトや、中央からズラして配置された「FIAT」ロゴなどがそれです。直線基調でまとめたフロントまわりは、初代「パンダ」を思い起こさせます。

フィアット新型「グランデパンダ」

 なかでも、筆者(西川昇吾)が注目したのは、AピラーとCピラー、そしてルーフで形づくられるサイドシルエットです。

 フロントウインドウを支えるAピラーと、リアシート後方に位置するCピラーは、サイドから見たときのキャビンの形を決める重要な要素。新型「グランデパンダ」は、これらのピラーとルーフの位置関係を工夫することで、初代を思わせる四角いシルエットを表現しています。

 SUVらしい高めの車体や張り出したフェンダーを備えながら、ひと目で「『パンダ』だ!」と思わせるのは、フロントマスクを似せただけではないのです。

 ボディサイドには、大きな「PANDA」の文字をプレス加工で表現しています。Cピラー基部には、見る角度によって「FIAT」ロゴと往年のフィアットを思わせる4本ストライプが見える凝ったグラフィックを採用。さらに、各所に4本ストライプのアクセントが配置されるなど、細部を眺めるほど新たな発見があります。

 もちろん、昔のデザインをそのまま再現しているわけではありません。

 フロントのLEDヘッドライトには、小さな四角形を並べたピクセルデザインを採用。1980年代のデジタルカルチャーを思わせるグラフィックで、レトロな雰囲気に現代的な要素を加えています。

 一方、内外装には楕円形のモチーフが取り入れられています。

 これは、イタリア・トリノにあるフィアットの旧工場「リンゴット」の屋上にあったテストコースに着想を得たもの。かつて完成したクルマを建物の屋上まで運び、楕円形のコースで走行試験をおこなっていたという、フィアットの歴史を象徴する施設です。

 新型「グランデパンダ」は、この楕円のモチーフをダッシュボードやディスプレイまわり、ステアリングなどに採用しています。直線的なエクステリアとは対照的な、やわらかく親しみやすい室内です。

フィアット新型「グランデパンダ」

 新型「グランデパンダ」のボディサイズは、全長4010mm、全幅1765mm。全高は「アイコン」グレードが1585mm、ルーフレールを備える「ラプリマ」が1630mmとなっています。

 日本で販売されていた3代目「パンダ」の標準モデルは、全長3655mm、全幅1645mmでした。新型「グランデパンダ」は、それよりも355mm長く、120mmワイドになっています。それでも全長は約4mと、日本の道路で日常的に使うには十分コンパクトなサイズです。

 大きくなったボディの恩恵は、キャビンの広さなどで感じ取ることができます。

 ホイールベースは2540mmで、荷室容量は後席利用時で412リットル、後席の背もたれを倒せば最大1366リットルまで広がります。

 スクエアなボディ形状を生かしたラゲッジスペースは、日常の買い物だけでなく、旅の荷物やレジャー用品を積むときにも便利そう。また車内各部には、合計13リットルの小物収納スペースも用意されています。

 新型「グランデパンダ」の基本骨格には、ステランティスグループの小型車向け“スマートカープラットフォーム”が採用されています。これは、シトロエン「C3」などと共通のもので、同じフィアットのコンパクトSUVでも「600」とは異なるものです。

 日本仕様のパワートレインは、1.2リッター直列3気筒ガソリンターボエンジンに電動モーターを組み合わせた48Vマイルドハイブリッド。システム最高出力は110psで、トランスミッションは6速DCT(デュアルクラッチ式トランスミッション)が組み合わされます。

 このハイブリッドシステムは、一般的なマイルドハイブリッドよりも積極的にモーターを使うのが特徴です。条件が整えばモーターだけで走行でき、30km/h以下では最大約1kmのEV走行が可能です。発進や低速走行では電動モーターが働き、加速が必要になるとエンジンが力を発揮します。燃費はWLTCモードで20.8km/Lと優秀です。

 グレードは、装備をシンプルにまとめた受注生産の「アイコン」と、快適装備を充実させた「ラプリマ」の2種類。価格(消費税込)は「アイコン」が369万円から、「ラプリマ」が409万円からとなっています。

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