テスラの「ロボタクシー」始動-マスク氏の自動運転構想、実用化へ
電気自動車(EV)メーカーの米テスラは22日、イーロン・マスク氏が約10年にわたり構想をアピールしてきた自動運転タクシー「ロボタクシー」のサービスを少数のユーザー向けに開始した。
同日午後のロボタクシー運行開始に向け事前に選ばれたオンラインインフルエンサーの数人が、最初の乗車体験を動画で配信した。
X(旧ツイッター)で「ビアデッドテスラ(Bearded Tesla)」を名乗るユーザーは、赤いスポーツタイプ多目的車(SUV)「モデルY」で10分強の走行中、運転席に誰もいない様子を映し出した。
実際にロボタクシーに乗り込んだ1人は乗車後、動画内で「スムーズだった」と語った。
今回始まったロボタクシー運行は今のところ、テスラが本社を置くテキサス州の州都オースティン市のごく一部の地域に限られ、車両の助手席には安全を監視するスタッフが同乗している。
マスク氏はこの日、利用者には1回当たり一律4.20ドル(約615円)の料金が課されているとXに投稿した。サービス開始時は、ごく少数の車両に限られる控えめな展開だが、投資家の間では大きな注目を集めている。
売上高低迷や最高経営責任者(CEO)であるマスク氏への消費者からの反発に悩まされてきたテスラにとってロボタクシーは、新たな収益源として期待されているためだ。
マスク氏は、同社の将来を自動運転技術や人工知能(AI)、人型ロボットといった話題性があるものの実用化にはまだ課題の多い分野に託している。
ディープウォーター・アセット・マネジメントのマネジングパートナー、ジーン・マンスター氏は「本当の意味で初めてのテストだ」とインタビューで指摘。「特にネガティブなことなど、起こること全てが大きく報じられる。多くが懸かっている」と述べた。
テスラはサービス展開の詳細をあまり明らかにしていないが、利用した人によれば、ロボタクシーは毎日午前6時から深夜0時まで、空港を除く市内の特定区域内で利用可能だという。
悪天候時にはサービスが制限されるか停止される可能性もあり、安全を監視するスタッフのほか、遠隔でロボタクシーが操作されることもあるという。
22日に投稿された動画では、自動運転車が路上駐車や歩行者のための停止といった、日常的な運転動作を問題なくこなす様子が確認できた。また、一部のライブ配信や投稿では、乗車中の利用者が車両に停止や車線内停止、サポートへの連絡を指示できるボタンが備えられていることも紹介された。