満タン後の「ちょい足し給油」何が“ダメ”なの? 夏の「セルフ式ガソリンスタンド」は注意が必要! やってはいけない「NG行為」の数々とは

セルフサービスのガソリンスタンドは、手軽で便利な存在として定着しました。しかしそこで扱われているガソリンが消防法上の「危険物」であることを忘れてはなりません。ささいな不注意が大事故につながるリスクを高めるのです。

夏は特に危険! セルフ給油の「うっかり」が招く大事故の「リスク」とは

 気温が上昇する夏本番、多くのドライバーが利用するセルフ式のガソリンスタンドには、思わぬ危険が潜んでいます。

 多くの人が無意識にやってしまいがちな“NG行動”とは、はたしていったい何なのでしょうか。

セルフ給油の「うっかり」が大きな事故に!?[画像はイメージです]

 まず、季節を問わず絶対に守るべき基本中の基本は「エンジン停止」です。

 給油レーンに停車したら、必ずエンジンを切りましょう。エンジン作動中は排気システムが高温になっているほか、電装品が火花を発生させる可能性があり、気化したガソリンの“着火源”となるおそれがあります。

 また、万が一の誤発進による燃料漏洩や設備破壊といった重大事故を防ぐためにも、エンジン停止は必須の行動です。

 もちろん「火気厳禁」も絶対です。

 ガソリンは摂氏マイナス40度という極低温でも気化するほど揮発性が高い、消防法上で「危険物」に指定されるもの。その蒸気は空気より重く、地面のくぼみに滞留しやすい性質があります。

 タバコやライターなどの裸火の使用は厳禁です。

 そして、セルフ給油で最も目に見えにくく、頻発する火災原因が「静電気」です。

 衣服とシートの摩擦などで人体に蓄積された静電気は、ガソリン蒸気に引火させるには十分すぎるエネルギーを持っています。

 給油前には、必ず備え付けの「静電気除去シート」に素手で触れる習慣を徹底してください。

 消防庁の事故事例によれば、静電気除去シートに一度触れた後でも、給油作業を中断して歩き回ることで再び身体が帯電し、火災に至ったケースが報告されています。

 給油作業を始めたら、完了するまで車内に戻ったり歩き回ったりせず、もし中断してしまった場合は、作業再開前にもう一度必ず静電気除去シートに触れることが重要です。

 ここからが、夏に特に注意すべきポイントです。

 実は、市販のガソリンにはJIS規格に基づき「夏用」と「冬用」があるのをご存じでしょうか。

 夏用ガソリンは、高温で燃料が沸騰する“ベーパーロック現象”を防ぐため、冬用に比べて蒸発しにくい(蒸気圧が低い)ように調整されています。

 しかし、ここに「夏の罠」が潜んでいます。「蒸発しにくいなら安全」と考えるのは早計で、夏場の高い外気温がガソリンの気化を強く促進するため、結果的に給油口の周囲には非常に濃度の高い可燃性蒸気が発生しやすい環境が生まれます。

 そんな状況で絶対にやってはいけない行為が、オートストップ機能が作動した後の「継ぎ足し給油」です。

 継ぎ足し給油は、燃料の吹きこぼれや、ガソリン蒸気を回収する車両システムの故障原因となるため、季節を問わず禁止されています。

 これに加えて、夏はガソリンの「熱膨張」という物理現象が大きなリスクとなります。ガソリンは温度が1℃上がるだけで体積が約0.00135倍に膨張し、その膨張率は水の約16倍にも達します。

 たとえば、気温10℃の地下タンクから汲み出したガソリンを、炎天下の気温30℃のタンクに50リットル給油すると、その体積は約1.35リットルも増加する計算になります。

 もし、オートストップ後も無理に給油口ギリギリまで継ぎ足し給油をしてしまうと、タンク内に膨張の“逃げ場”がなくなります。

 その後、クルマを炎天下に駐車すると、膨張したガソリンが給油口や関連部品の隙間から液体のまま溢れ出し、極めて危険な状態に陥る可能性があります。

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