トランプ関税ついに発動へ…中国の人気レトロゲーム機メーカーが米国への輸出を一時停止

ゲームボーイ(左)と、Anbernic RG35XX(右)。(Image: Andrew Liszewski - Gizmodo US)

関税の影響で、レトロゲーム機のあり方も変わってしまうのかも。

米国のトランプ政権による関税の影響はあらゆる分野に及んでいて、愛すべきチープなレトロゲーム機もしっかり対象に。

その影響が最初に顕在化してるメーカーのひとつが、ポピュラーなAnbernicです。彼らは少なくとも米国での中国製品への関税額が明確化するまでの間、米国の購入者への直接配送を一時停止すると発表しました。

Anbernicが米国への直接配送を一時停止

Anbernicは、ハンドヘルドゲームエミューレーターの多彩なモデルで知られています。これらハンドヘルドゲーム機には、プレステやファミコンなどのゲームコンソールの機能がソフトウェアとして搭載されており、往年のゲームタイトルのコピー(いわゆるROM)や、ホビイストによる自作タイトルをプレイできます。

Anbernicは新たな配送ポリシーの説明ページにこう記しています。

米国の関税政策の変更により、本日以降、当社は中国から米国へ配送するすべての注文を停止します。(訳注:これから当社製品を購入するユーザーには)当社の米国内倉庫から出荷される製品を優先することを強く推奨します。

これまでAnbernicのサイトでは、製品購入の際に中国から直送するか、米国の倉庫から購入するかを選択できてました。米国の倉庫を選んだ場合、在庫は限られるのですが、配送はより早くなるので、ユーザーが状況に合わせて選べるようになっていたんですね。

でも中国からの配送が停止された今、米国にある在庫もいつまで持つかわかりません。米GizmodoからAnbernicに状況を問い合わせましたが、すぐに回答はありませんでした。彼らはユーザーに対して、「輸入関税に関してのアップデートを確認でき次第」報告すると説明しています。

幸い、Anbernicのゲーム機を買う方法は公式サイトからだけではなく、AmazonやAliExpressといったサイトからも可能です(記事執筆時点)。一般にAliExpressだと他の経路よりかなり安く買えて、たとえばゲームボーイ風のAnbernic RG3XX Plusは、AliExpressでは48ドル(約6,800円)、Anbernicでは50ドル(約7,100円)、Amazonでは80ドル(約1万1000円)で販売されています。

ただ米国内の在庫が減るにつれて、これらの価格もどんどん上がっていくものと思われます。

「少額取引は関税免除」も撤廃

トランプ大統領は中国製品に145%の関税をかけて、ひいてはユーザーの払う金額を押し上げているわけですが、関税についてはもうひとつ大きな変更があります。今までは800ドル(約12万円)以下の輸入品には関税がかからなかったんですが、そのルールが2025年5月2日から撤廃されるんです。

TemuやSheinといった中国の激安Eコマース企業を狙い撃ちするようなこのルール撤廃。この結果、米国からTemuなどで買い物をした場合、5月からは100ドル(約1万4500円)、6月からは200ドル(約2万9000円)が購入金額に転嫁されると予測されています。

こうした変化を受けて、TemuとSheinはほとんど異口同音に、「国際通商ルールにおける最近の変化」により、4月25日からは「価格調整」を行うと発表していました。New York Timesでは、「今まで10ドル(約1,400円)だったTシャツが、これからは24.5ドル(約3,500円)になるかも」と伝えられています。

アメリカに住む人たちにとっては、チープだったあれこれが値上がりしてしまいそうなんですが、とくにゲーム機は中国製が多いので先行き不安です。

Anbernicは2017年頃に事業を開始して以降、毎年多数のハンドヘルドゲーム機をローンチし続け、2020年のRG350や2021年のRG351Vから、今年のゲームボーイクローン・RG34XXまで、多数輩出してきました。最近では、より強力なプロセッサーと有機ELディスプレイを搭載した最新モデル・RG556を発表したばかりでした。

もし米国でこうしたゲーム機の価格が大幅に上がってしまうとしたら、今までのように比較的手ごろな端末を次々に打ち出すやり方が難しくなってしまうのかもしれません。

Image: Retroid / Discord

Anbernicだけでなく、ゲーミングコミュニティ全体が打撃を受けています。MiyooやAyaneo、TrimUI、Retroidといった他のメーカーも、Anbernicに追随して配送停止に踏み切るんでしょうか…?

ちなみにRetroidは公式Discordで「すべての配送業者は4月25日以降、中国から米国への配送物を受け入れないだろう」と発言していました。

Retroid Pocket Classicは米国でオーダーした人に配送されていましたが、一部の色は配送が2025年4月28日以降になると発表されていたこともあり、該当の色で注文した人は、別の色に変更せざるを得なかったといいます。Retroidは今後の製品に関する対応はまだ発表しておらず、不安な状況が続いています。

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