MicrosoftがOpenAIとの交渉から撤退の準備を開始か
MicrosoftとOpenAIはここ数週間にわたり、OpenAIがIPOを行った場合の条件について協議を行っていますが、なかなか合意には遠い状態です。経済紙のFinancial Timesは、Microsoftが交渉から撤退する準備に入っていると報じています。
Microsoft prepared to walk away from high-stakes OpenAI talks
https://www.ft.com/content/072e90fe-1c8c-415c-8024-5996b1ebb3cbMicrosoft prepared to abandon high-stakes talks with OpenAI, FT reports | Reuters
https://www.reuters.com/business/microsoft-prepared-walk-away-high-stakes-talks-with-openai-ft-reports-2025-06-18/Microsoft could ditch OpenAI's high-stake for-profit talks: “Holding out is Microsoft’s nuclear option, and they are just making OpenAI sweat" | Windows Central
https://www.windowscentral.com/microsoft/microsoft-could-ditch-openais-high-stake-for-profit-talks-holding-out-is-microsofts-nuclear-option-and-they-are-just-making-openai-sweat OpenAIは「非営利組織の下に営利部門子会社がある」という体制にあり、サム・アルトマンCEOらは営利企業化する計画を進めていましたが、2025年5月に計画を断念しています。OpenAIが営利企業化を断念して引き続き非営利団体による管理を維持することを決定 - GIGAZINE
この計画のうち、「営利部門子会社の部分を公益目的会社(PBC)に移行する」という部分は生き残り、PBCはIPOが可能であることから、将来的にOpenAIのPBCがIPOを行う場合のパートナーシップの内容改定について、Microsoftとの協議が行われてきました。
OpenAIが将来のIPOを見据えてMicrosoftと交渉中 - GIGAZINE
MicrosoftはこれまでOpenAIに対して2兆円規模の出資を行っており、今後もOpenAIの開発する次世代技術へアクセスしたいと考えています。一方、OpenAIはMicrosoftの影響力を下げたいという意図があり、意見が対立。OpenAIの幹部は「Microsoftが独占禁止法に違反していないか規制当局に審査を求める」という選択肢も検討していることが報じられています。
OpenAIとMicrosoftの関係に亀裂か、不満を募らせたOpenAI側が独占禁止法違反を申し立てる構えも - GIGAZINE
両社の関係が悪化しているという報道に対し、両社は「我々には長期的で生産的なパートナーシップがあり、すべての人々に素晴らしいAIツールを提供してきました。協議は続いており、今後も何年にもわたって協力関係を築いていけると楽観視しています」という共同声明を発表しました。 しかし、協議がうまく運ぶようになったわけではなく、Financial Timesは関係者の情報として、MicrosoftはOpenAIとの協議で合意が得られないようであれば、この話から撤退する構えだと報じています。
Microsoftとしては、OpenAIの開発する技術へのアクセスや、得られる収益の一部を諦めることに抵抗があるようで、「2030年まで続く現行の契約のままでも構わない」という姿勢です。 OpenAIの営利部門がPBCへの転換を完了するには、主要出資者であるMicrosoftの承認が必要となります。そして、OpenAIはPBCへの転換を2025年内に行わなければ、ソフトバンクなどからの数千億円規模の出資を失うことになるということで、難しいかじ取りを迫られています。
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