【解説】 プーチン氏がイギリスに暗黙の脅し……ウクライナを支援する西側への作戦を拡大
スティーヴ・ローゼンバーグBBCロシア編集長 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、イギリスがウクライナに武器を供与したことへの報復として、ロシアがイギリスの軍事施設を攻撃する可能性はあるかという質問に、短い言葉で答えた。 「それは秘密だ。軍事機密だ」 軍事機密は「はい」でも「いいえ」でもない。宙ぶらりんの回答だ。 そして、おそらくそれが狙いなのだろう。 軍事機密という言葉は、ロシアからの心理的圧力のように感じられる。イギリスにロシアの意図を推測させ、不安にさせるとともに、イギリスにウクライナへの揺るぎない支持を再考するよう促すのを目的としたものだ。 この発言で私は、数日前に読んだ新聞記事を思い出した。政権寄りの新聞モスコフスキー・コムソモーレツは、イギリスのアンディ・バーナム首相はロシアを夢の中ではなく、「悪夢の中で見るべきだ」と示唆していた。 恐ろしい表現だが、その悪夢が具体的にどのようなものになるのかは、ほとんど説明がなかった。 現時点では、ロシアがイギリス国内の標的に対してミサイルを使用しそうだと断定することはできない。 しかし、ヨーロッパの他の地域で何が起きているかに、目を向ける必要がある。 ドイツは1日、東部ザクセン州の空港で先月、爆発物を搭載したドローンが見つかった問題について、ロシアに責任があると発表した。 これに対しプーチン氏は、ドイツが「証拠を捏造(ねつぞう)した」と非難した。ドイツのアレクサンダー・ドブリント内相は、これは「ヨーロッパで確立されているロシアのハイブリッド作戦のパターン」だと語った。 こうした「作戦」は、今後イギリスでも強化される可能性があるのだろうか? プーチン氏の記者会見で暗黙の脅迫を受けたのは、イギリスだけではなかった。 西側諸国全体も同様だった。プーチン氏は西側をサメに例えた。 「もし誰かが我々を食物連鎖の下位に引きずり下ろし、むさぼり食おうとするなら、真正面から殴られることになるだろう」と彼は述べた。「サメたちは急速に食欲と攻撃性を増しているが、ロシアにはその準備ができている」。 プーチン氏は、地政学の言葉と動物学の言葉をますます混同するようになっている。最近では、ウクライナへの侵攻を正当化するために、シャチが「ホッキョクグマを引き裂く」という話をした。 キルギスの首都ビシュケクで行われた記者会見は、プーチン氏の精神状態を垣間見ることができる興味深い機会だった。 プーチン氏は45分にわたり、ロシア人ジャーナリストからの質問に答えた。闘志にあふれ、勝利を確信し、活気に満ちているように見えた。最近のプーチン氏は、ロシアと西側諸国との地政学的対立やウクライナでの戦争について語る際に、最もいきいきとしているようだ。 だが、戦争は計画通りには進んでいない。ロシアは戦場で甚大な損失を被り、経済も相当な圧力にさらされている。 「敵が崩壊することは間違いない」とプーチン氏は断言した。しかし、戦争は4年半以上も続き、ウクライナは戦い続けている。 ロシア政府は現在も公式にはこれを「特別軍事作戦」と呼んでいるが、今やプーチン氏自身も「戦争」という言葉を使うようになっている。 この記者会見でも、プーチン氏は「戦争は残酷で予測不可能なものだ」と述べた。 一方で、紛争終結に向けた交渉には依然として前向きだとも主張した。そして、アメリカの現政権の中で誰と会談したいのかについても疑いの余地を残さなかった。ドナルド・トランプ大統領の特使だ。 「我々は、よく知っていて、おおむね信頼できる人々と仕事をすることに全く抵抗はない」と、プーチン氏は述べた。「(ジャレッド・)クシュナーと(スティーヴ・)ウィトコフはいつでも歓迎する。彼らとの仕事は楽しい」 先週モスクワを電撃訪問した米中央情報局(CIA)のジョン・ラトクリフ長官の名前は挙がらなかった。ロシア政府は、プーチン氏は先週、ラトクリフ氏と会談していないとしている。 プーチン氏が近いうちにウィトコフ氏やクシュナー氏と会う可能性は高いのだろうか? スケジュールには何も書かれていない。今のところは。 しかし、もしトランプ大統領の特使らがモスクワに向かうとしたら、彼らが会うのは、ウクライナにおけるいかなる和平もロシアの条件に基づくべきだと固く決意しているロシアの大統領だろう。 (英語記事 Rosenberg: Putin's veiled threat to UK part of Russia's campaign against West)
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