ゴールドマン、レアアースや重要鉱物の供給途絶リスク指摘
[21日 ロイター] - ゴールドマン・サックスは20日付のリポートで、レアアース(希土類)、その他重要鉱物の世界的サプライチェーン(供給網)へのリスクが高まっていると指摘した。採掘と精錬における中国の優位性を強調し、独立したサプライチェーンを構築する上での課題を挙げた。
<中国独壇場のサプライチェーン>
中国は10月9日、レアアースの輸出規制を強化した。
ゴールドマンは、中国は世界のレアアース採掘の69%、精錬の92%、磁石製造の98%を支配していると述べた。
レアアースは電池から半導体チップ、人工知能(AI)、防衛装備品など、用途が多岐にわたる。昨年の市場規模は60億ドルと、銅よりはるかに小さいが、レアアースに依存する産業で10%程度の調達難が起きれば、インフレ圧力となり、1500億ドルの経済損失につながると警告した。
<さらなる輸出規制リスク>
ゴールドマンは、サマリウム、黒鉛、ルテチウム、テルビウムが輸出規制に対し特に脆弱だと指摘した。サマリウムは高温耐性のあるサマリウム・コバルト磁石の原料。同磁石は航空宇宙機器に使用されている。
<独立サプライチェーンの課題>
各国は独立したレアアースと磁石のサプライチェーン構築を目指すが、地質学的な希少性、技術の複雑さ、環境問題など、さまざまな課題や障害があるとゴールドマンは指摘する。
重希土類は、中国とミャンマーが主たる産出地で、それ以外の既知の鉱床はほとんどが小規模で低品質。新規の開発には8─10年を要する。
また精製には高度な専門知識とインフラが必要で、インフラの建設は通常5年かかる。
磁石の生産は、米国、日本、ドイツで拡大しているものの、サマリウムなどの原料は中国が管理しており、制約に直面している。
<投資と商品リスク>
磁石の製造に不可欠なネオジム・プラセオジム酸化物の供給不足を予測。1キログラム当たり85─90ドルの長期価格が、精製施設新設を正当化する最低ラインだとした。またレアアース以外で、コバルト、石油、天然ガスなどのコモディティーについて地政学的緊張による供給途絶リスクが高まっていると指摘した。
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Anmol reports on commodities markets, focusing on metals, energy, and agriculture. Beyond journalism, he has a keen interest in geopolitics and enjoys exploring global power dynamics through geopolitical strategy books and political thriller movies.