「まだ伸びしろある」 藤井聡太名人が目指す棋力アップと3連覇

名人戦3連覇を目指す藤井聡太名人=東京都渋谷区で2025年3月10日、内藤絵美撮影

 7冠を持つ藤井聡太名人(22)に永瀬拓矢九段(32)が挑戦する第83期名人戦七番勝負(毎日新聞社、朝日新聞社主催)が9日、東京都文京区のホテル椿山荘東京で開幕する。

 くしくも、藤井名人が4連覇を果たした第74期ALSOK杯王将戦七番勝負と同じ顔合わせで、将棋AI(人工知能)を使った研究の最先端を行く2人による頂上決戦となった。

 3連覇を目指す藤井名人に、深化する研究の最前戦と、名人戦への意気込みを聞いた。

【新土居仁昌、丸山進】

 挑戦者・永瀬拓矢九段のインタビューはこちらです 「強くなった」永瀬拓矢九段 藤井聡太名人と交わした盤上の会話

角換わり、相掛かりの定跡は

 ――今期のA級順位戦を振り返っての印象は。

 藤井名人 今期のA級は混戦が続いた印象です。その中で永瀬九段が安定感を発揮して、充実ぶりを感じました。

 ――タイトルの防衛戦が続き、対戦相手が限られてくるジレンマはあるか。

 ◆同じ相手と指したからといって同じ展開にはならない。対戦相手にかかわらず、一手ごとに工夫をしながらということになりますし、その点についてもやりづらさはないです。

 ――将棋AIの最先端の研究はどこまで掘り下げているか。以前は定跡を究めたいと話していたが。

 ◆「角換わり」は一番、定跡化が進んでいる。知っている人は知っている変化がたくさんあって、公式戦に出ていない手であっても、ある程度共通認識になっているところがある。そこから更に工夫をしていけるかどうかが現状かなと思います。

 ――「相掛かり」はどうか。

 ◆定跡は整備されているが、角換わりと比べると、序盤から手の組み合わせが広い特徴がある。角換わりのように「詰む、詰まない」の局面まで定跡化されている感じではない。

 相掛かりは、先手と後手双方がわずかなところを求めて突っ張ると激しくなって、その変化は定跡化もされているが、逆に、穏やかな駒組みを指向すると力戦に近いような展開になり、どう進むかで性質が分かれてくるような感じかなと思います。

 ――相掛かりの研究を深める時は、実戦をAIにかけて考察を深めるのか。

 ◆相掛かりで激しくなりやすい展開というのは一つのパターンがあって、先手が飛…

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