新たなトランプ関税発動-木材製品対象で住宅建設コスト上昇招く恐れ

米国は14日、木材やキッチンキャビネット、洗面化粧台、布張り木製品に課す関税措置を発動した。米国内での住宅リフォーム費用上昇や新築住宅の購入抑制につながる可能性がある。

  キッチンキャビネットや洗面化粧台、布張り木製品の輸入に米東部時間14日午前0時1分(日本時間午後1時1分)から25%の関税が賦課され、木材の輸入に対しては10%の関税が課される。

  トランプ米大統領の布告に基づき、これらの関税は来年ほとんどの製品を対象に引き上げられる予定。例えば、2026年1月1日以降、布張り木製品は30%、キッチンキャビネットと洗面化粧台は50%に関税率が引き上げられる。

  日本と英国、欧州連合(EU)からの木製家具の輸入品については米国と結んだ個別の合意に基づき税率が割り引かれる。具体的には、英製品には10%、日本およびEUの製品には15%の関税が課される。

  トランプ氏は製造業を国内に回帰させることを目的に関税を設け、世界経済を揺さぶり続けている。10日には、11月1日から中国に対して100%の追加関税を課すとともに、すべての重要ソフトウエアに対中輸出規制を導入すると発表した。

  こうした特定国からの輸入品に対する関税措置は、引き続き合法性が問われ得るリスクがある。連邦特別行政高裁はこうした措置は大統領の非常事態権限の範囲を超えていると判断。連邦最高裁は11月、政権による上訴を受けて口頭弁論を開く予定だ。

  ただし、今回のような特定の産業を対象にした関税は、法的根拠が強固だ。通商拡大法第232条では国家安全保障を理由に関税を課す権限を大統領に与えている。

  トランプ氏は木材や家具への関税が「サプライチェーンの強化、産業の耐久力向上、質の高い雇用創出、木材製品の国内生産能力の活用拡大」に寄与すると主張。しかし、エコノミストや建設各社は、トランプ氏が掲げる目標である住宅建設と販売の活性化を関税が阻害する可能性があると指摘している。

  連邦準備制度理事会(FRB)が利下げして住宅ローン金利が下がったとして、関税によるコスト増がその効果を帳消しにする恐れがある。

  全米住宅建設業協会(NAHB)は24年のデータに基づき、新築住宅に使われる資材の約7%は海外からの輸入品だったと説明。また、関税がなくても建材価格は20年12月以降で34%上昇しているという。

原題:Trump’s Lumber Tariffs Take Hold, Threatening to Hike Home Costs(抜粋)

— 取材協力 Malcolm Scott

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