ホストの広告宣伝に規制「〇億円プレイヤー」「指名数No.1」「覇者」「神」→全部ダメです、警察庁通達

恋愛感情につけこんで高額な料金を請求する悪質なホストクラブ問題をめぐり、営業行為への規制を強化した改正風営適正化法が6月28日から施行される。

改正法では、威迫や誘惑による料金の支払いのための売春やAV出演の要求が禁止される。また、ホストの広告や宣伝も規制される。

施行前に発出された警察庁の通達では、具体的にどのような広告や宣伝が違反か示されている。

たとえば「〇億円プレイヤー」「指名数No.1」といった営業成績を示す文言や、「覇者」「神」「レジェンド」などもアウトとなり、「〇〇を推せ」といった言葉も規制される。

東京の新宿・歌舞伎町など夜の繁華街で見慣れたポスターに影響が現れそうだ。

●これもダメ「ソープランドで働いてもっと店に来てほしい。そうしたら一緒に住もう」

このたびの法改正は、ホストクラブなど接客を伴う飲食店の客が、高額な売掛による借金を背負わされ、その返済のために性風俗店などで働かされたりする事例が社会問題となったことをうけたもので、客の恋愛感情につけこんだ飲食の要求などが「してはならない行為」として規定された。

接待飲食営業を含む風俗営業者の遵守事項として、次の行為が追加された。

・料金に関する虚偽説明 ・客の恋愛感情につけ込んだ飲食等の要求

・客が注文していない飲食等の提供

また、次の行為が「禁止行為」として追加され、違反した場合の罰則が設けられた。

・客に注文や料金の支払等をさせる目的での威迫 ・威迫や誘惑による料金の支払いというのための売春、性風俗店勤務、AV出演等の要求

さらに、性風俗店が女性を紹介したスカウトに見返りとして「スカウトバック」(紹介料)を支払うことも禁止された。

これらの禁止行為に違反した場合、6月以下の拘禁刑か100万円以下の罰金が科される。

警察庁は施行を前に通達を出して、どのような行為が規制対象となるのか具体的に示した。

たとえば、「誘惑」の事例として、「ホストとして成功したら(客と)結婚したい。そのためには、売春してもっと売上げに貢献してほしい」「ソープランドで働いてもっと店に来てほしい。そうしたら一緒に住もう」などの言葉が該当するとしている。

●ホストの競争や客の応援をあおるような広告はアウト「売上バトル」「〇〇に溺れろ」

また、ホストクラブなどの広告や宣伝にも規制が入る。

警察庁の6月4日付けの通達(接待飲食営業における広告及び宣伝の取扱いについて)によれば、改正法の遵守・禁止事項の趣旨を踏まえて、客の遊ぶ意欲をそそり、ホストなどの間で競争意識を生じさせたりして、「営業に関する違法行為を助長するような歓楽的・享楽的雰囲気を過度に醸し出すもの」が規制違反にあたるとされた。

通達では、実際の事例として、次のような言葉があげられた。

(1) 接客従業者の営業成績を直接的に示すもの

「年間売上〇億円突破」「〇億円プレイヤー」「指名数No.1」「億超え」「億男」

(2) 営業成績に応じた役職の名称等の営業成績が上位であることを推認させるもの

「幹部補佐」「頂点」「winner」「覇者」「神」「レジェンド」「総支配人」「新人王」

(3)「ランキング制」自体の存在、接客従業者間での優位性を裏付ける事実等の接客従業者間の競争を強調するもの

「売上バトル」「カネ」「SNS総フォロワー数〇万人」

(4)客に対して自身が好意の感情を抱く接客従業者を応援すること等を過度にあおるもの

「〇〇を推せ」「〇〇に溺れろ」

新宿・歌舞伎町のホスト看板(2025年6月19日/弁護士ドットコム)

このような広告や宣伝の規制違反が認められた場合、違反状態の是正を求めて行政指導もなされるという。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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