ヨーク・ホールディングス、3年で成長投資1500億円 スーパー改装に400億円上乗せ
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ヨーク・ホールディングス(HD)は18日、事業方針説明会を開いた。2028年度までに食品スーパーなどの新店や既存店改装に成長投資として約1500億円を投じる。当初計画から約400億円上乗せした積極投資でかねて目標とする新規株式公開(IPO)に向けて競争力を高める。
「構造改革が完了し、その結果をもとに成長戦略にかじを切る」。同日午前に開いた説明会でヨークHDの石橋誠一郎社長はこう強調した。25年9月に米投資ファンドのベインキャピタルの傘下に入ったヨークHDが事業方針説明会を開くのは初めて。事業説明会で打ち出したのは積極的な成長投資だ。
これまで約1100億円としていた投資額を当初計画から約400億円上乗せした。投資の中心はイトーヨーカ堂やヨークベニマルなどの食品スーパーだ。全体の85%を新規出店や既存店改装などに充て、総菜工場やデジタル分野への投資にも振り向ける。
ヨーカ堂は26年度に大森店(東京・大田)やアリオ市原店(千葉県市原市)など旗艦店を改装するほか、ヨークベニマルが持つ東北地方の10店舗を含め計30店舗を予定する。27年度以降は首都圏の大型店を対象に進め28年度までに2割強にあたる計100店規模を改装する計画だ。
食品売り場では陳列棚などの古い器具を最新の設備に変更する。ヨーカ堂では一部店舗で始めた「市場祭り」という豊洲市場から直送した鮮魚を対面販売するイベントがしやすい売り場にする。共働き世帯などの増加で需要が伸びている冷凍食品売り場の什器(じゅうき)も増やす。
ヨーカ堂とベニマルは24年度に計約40店舗を改装した。改装店舗の25年度の売上高は改装をしていない店舗と比べて、売上高が3~6%増えるなど成果が出始めており、積極的な改装で集客力を引き上げる。
商品面ではプライベートブランド(PB)の開発に力を入れる。物価高で節約志向が一段と強まるなか、マヨネーズなど日常生活で利用頻度が多い商品を対象に商品を増やす。メーカーの商品より平均1〜2割安い低価格PB「セブン・ザ・プライス」について、27年2月期に商品数を前期末比で約3割増の400品程度に拡大する。
ヨーカ堂とベニマルの低価格PBの売上高は28年度に25年度比3倍に拡大させる計画だ。PB全体でも3年間で売上高を3割増やす。
ロフトや赤ちゃん本舗、デニーズジャパンなど他の企業も新規出店や既存店投資を進める。ヨークHDは28年度の売上高を25年度(1兆5671億円)と比べ10%以上増やす方針だ。
ヨークHDが積極投資に舵(かじ)を切るのは、店舗閉鎖やリストラといった構造改革が一巡したためだ。業績低迷を背景にヨーカ堂は23年3月、26年2月期までに全国の店舗を2割超減らす構造改革を公表し、約2年間で茨城県や千葉県などで計34店を閉鎖した。
リストラ策が奏功しヨーカ堂の26年2月期の営業利益は前の期比7倍の222億円と22年ぶりの高水準となった。ロフトやデニーズジャパンも過去最高益を更新するなど、主要な傘下企業は軒並み好業績となった。
セブン&アイ傘下では設備投資は主力のコンビニエンスストア向けに偏り、スーパーの改装などへの成長投資が不十分だった。業績が回復するなか、ベイン傘下で久しぶりの積極投資に転じて再成長に向けてアクセルを踏む。
ただ首都圏を中心にライフコーポレーションなどの大手スーパーとの競争が激しさを増しているほか、イオンが運営する「まいばすけっと」などの小型スーパーも店舗を増やしている。実質賃金が伸び悩むなか、中東情勢を受けたメーカーの値上げも予定されており、個人消費の先行きは不透明だ。
今回の事業方針説明会では28年度の売上高を25年度と比べ10%以上増やす方針を掲げたものの、事業会社別の売上高や営業利益など具体的な業績数値の目標値は盛り込まれなかった。ロフトや赤ちゃん本舗、デニーズジャパンなど主要事業会社の成長戦略についての説明も乏しかった。約30社で構成するヨークHDの成長絵図は見えない。
かねて公言していた、最短で28年のIPOという計画についても説明会資料では、7月にIPO準備室を設置する方針を示したものの、時期については「現実的に最速のタイミングを目指す」との表現にとどまった。
積極投資に見合う再成長を実現しIPOに向けた道筋をつけることができるか。ヨークHD経営陣にとって正念場が続く。
(日高大、原欣宏)
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