経営難だった地方のゴルフ場…インバウンド殺到「厄介」価値に変えた [北海道]:朝日新聞
基幹産業の衰退で人口減少が深刻な地方都市。美しい自然や歴史もあるが、全国区の知名度はなく、冬は深い雪に閉ざされる。
そんなまちの外れにあるゴルフ場は、冬季は休業が前提で、長年、経営難が続いていた。
ところが近年、地元で「厄介者」とみなされていた豪雪を武器に、インバウンド客でにぎわう施設へと変貌(へんぼう)をとげ、収支面も改善。地域活性化につなげようと官民連携も活発化している。
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客の9割超がインバウンド
JR札幌駅から特急で35分の北海道美唄市(人口約1万8千人)。かつては有数の産炭地として栄えたが、大手炭鉱の閉山後は人口激減にあえぐ。主要駅の美唄駅は、夏季なら降車する人はまばらなことの方が多い。
ただ、雪の季節になると一転、数十~100人ほどが一斉に降車し、駅周辺は観光客の外国語であふれる。対応のため、通訳や警備員が冬季限定で増強されるほどだ。
彼らの目当ては、冬の間だけ営業するレジャー施設「Alpen SNOWLAND(アルペン スノーランド)美唄」。夏は27ホールのゴルフ場が、雪遊びのフィールドに生まれ変わる。雪化粧の山々に囲まれた東京ドーム27個分(面積:125万平方メートル)の雪原で、スノーモービル、ホーバークラフト、熱気球……。多彩な乗り物や体験をそろえる。ゴルフ場の起伏をいかしたソリ滑りも楽しめる。
2017年開業。1年目にわずか800人ほどだった来場者は、コロナ禍をのぞけば右肩上がりの成長が続き、昨シーズンは前年比2.8倍超と、過去最高の約2万人を記録した。常に9割以上がインバウンド客で、大半を「雪が降らない」地域の人たちが占める。
初年度からツアーを組んでいるマレーシアの旅行会社「アップルバケーションズ」の担当者はこう語る。
「雪に触れる。自国でできない遊びですから、それだけで最高の体験なんです。そしてもう一つ、スキーは初心者にはとても難しい。でも、ここのアクティビティーは誰でもすぐに、簡単に楽しめる。だからお客様の満足度は非常に高い」
オーストラリアから来た夫婦は「人生で初めて雪を見られて、最高の気分。広大な雪原を歩いているだけで楽しい」。フィリピンから家族で来た女性は「到着以来、子どもたちはずっと笑いっぱなし。混雑していないのもいい」。取材日はこの地域にしては少雪だったが、誰もが満足そうな表情を浮かべていた。
つながりが生んだ快進撃 街あげた「希望」に
「私たちのゴルフ場『ゴルフ5カントリー美唄コース』は、スノーランド事業が成長するまで、1995年のオープン以来、厳しい経営環境が続いていました」
収支改善の立役者、支配人の小水隆史さんは振り返る。
豪雪のため、冬になるとゴルフ場は閉鎖となる。かつて従業員は、冬になると運営会社「アルペン」(本社・名古屋市)が展開する本州のスキー場などに「応援にいく」という働き方だった。数カ月、家族と離れて暮らす。それがネックで転職していく仲間もいた。優秀な有期雇用のスタッフがほかの職場に流出する懸念もある。
「なんとかして、この地域で通年働けるようにできないか」
そう考えていた時、新千歳空…