ついにスマホが登場した ~ カラオケ背景映像のひみつ2025年改訂版
2018年の記事ではカラオケの背景映像にはこのような制限と心がけで製作されていることが分かった。
ハードウェアの制限 - 映像は本体ハードディスクに入っている
- 本体はスナックなどではそうそう入れ替えられないので10年使える映像にする
映像で気をつけていること - 映像は目立ってはいけない - 時代を感じさせない(携帯・お化粧・電化製品) - 場所が特定できない - 文字を出さない(看板に文字がある程度)
- 歌詞テロップが流れる方向にものを動かさない
まずはこれらが変わっているのかどうかを聞いていこう。教えてくれるのは前回同様、カラオケJOYSOUNDを運営する株式会社エクシングの金子さんと阿部さん。インタビュー場所も同じスタジオだ。
ごぶさたしております!お変わりなくて安心しました
林: 映像は本体のハードディスクに入っていて、スナックなどでは10年使うからそのあいだ映像がそのままというお話でしたが、そこは変わってないですか?
金子: 最近は変えまして、毎月映像を配信しています。どうしてもやっぱり10年経つと昔の映像っぽくなってしまうので。
林: すごく変わりましたね!
金子: ドラスティックに変えました
阿部: 一括搭載する映像もありつつ、追加映像もあります
ただ、映像を消すことはしていないので、本体に格納されている映像・配信されている映像は残ります。
だからやっぱりお化粧が古くならないようにという配慮はいる。
大きな変化
林: 毎月、どれほどの曲が追加されるんですか?
金子: 今のところは大体毎月1000曲以上ですね。
林: 楽曲が毎月1000本で、映像も毎月数十本ある。御社の作業としてはけっこう際限ないですね。
金子: 私たちもそれに気がつきました……
JOYSOUNDをはじめカラオケメーカーでは新規に追加する楽曲は人間が耳で楽譜を起こしてデータを作っている。月に1000曲、耳コピしていることになる。 再び背景映像の話に戻ります。
役者さんもいろいろになってる
林: 人が出てくるのはポイントとなるところだけという基本的なコンセプトは変わってないですか
金子: それはそれほど変わっていません。5年以上前の映像では出る回数が多い役者さんがいましたが、今はもうすこし多様性を持ってご出演いただいてます。
阿部: いつものヒゲのおじさんがいる!みたいなことはなくなった。
「いつものヒゲのおじさんがいる!」みたいなことはもうない
林: いつものヒゲのおじさん、気になります
スマホはありになった
林: 前回教えていただいたNGリストから変わったことってありますか。 NGリスト ・時代を感じさせる携帯、化粧、電化製品を登場させない。 ・場所を特定できない
・文字を出さない
金子: 携帯電話ですね。スマホが出てきます。
林: スマホが解禁された!
金子: 最近と言っていいのかどうか分からないんですけれども。
スマホが登場した背景映像
金子: こんな感じですね。いわゆるショートメッセージ。今、待ち合わせするのに携帯もスマホがないと不自然なんですね。 ですから、やっぱり使い始めています。
林: 思い出の写真を見るのもスマホのカメラロールですもんね。
金子: 携帯はもういわば解禁と言いますか、使わないとやっぱ成立しない。
カメラでボケさせることができるようになった
林: 看板などの文字を避けるという点はどうでしょう
金子: いまはカメラでぼけさせられるんですよ。ぼかしというか、フォーカスを手前だけにしてます。街中のシーンもありますが、気にならないぐらいのところまでぼかせている。
林: デジタル一眼レフの映像だとやりやすいですよね
金子: そういうのができるようになってきているので、そんなに昔ほどこだわらなくてもよいというのがひとつありますね。
林: 場所が特定できないのは昔も今も変わらないですか?
ちょっと本数は言えないんですけど、毎年追加するのは10~20じゃないので、そうするとレギュレーションからはみ出すものも出てきちゃいますね。
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2018年の記事以降、JOYSOUNDにはカラオケ背景映像についての取材が増えたという。背景映像の注目度を感じたJOYSOUNDでは戦略的に背景映像について検討をしていたとのこと。
金子: 探っていくと、演歌は映像がいっぱいある。ポップスは少ないので同じ映像を見ることがある。実は定番曲に映像があまりない。そのような偏りが分かってきまして、そこに手を打っているのが、ここ5年ぐらいですね。
林: そもそもの質問なんですが、カラオケの映像ってなんのためにあるのでしょうか?
ミュージシャンがステージで歌うとき、照明、衣装、ステージセットで世界観を作るじゃないですか。カラオケルームの小さいステージで歌うときも何にもない状態ですと、やっぱり没入感がないんです。
林: 確かに何もないと照れます。
金子: そこをちょっと補佐するのがこの背景景像だったっていうのがなんとなくわかってきたんですね。
林: 聞いてる人も歌ってる人の背中にある映像を見てますね
阿部: そうですね、昨今だとプロジェクターで2面打ったりとかするんで、映像も歌ってる人向けだけではない。
プロジェクター2面のカラオケルーム
林: 確かに、新宿に映像もエコーも何もないスナックがあったんですが、聞いてるほうが恥ずかしかった
金子: そういったところをひとつずつ検証していって、じゃあ僕らが向かうところは何かとか、そういったことも実はこの何年間か考えてました。
カラオケ映像への注目度が高いことが分かってきた
林: 映像を作っているのはカラオケ映像専門のプロダクションですか?
金子: 専門ではないです。何社かございますが、コンテはこちらで作ってます。
林: え、そうなんですか。丸投げしてない。
金子: なかなかまるっきりは任せられないので。あと、撮るときに曲を流してますね。
林: それはどういう曲を?
曲のこの辺のところで男女入れ替わってとか、そんな感じでやってます。
林: ミュージックビデオみたいですね。
金子: カメラとかの技術の人にもそう言われます
とはいえ、カラオケ背景映像は想定した曲がありつつ、そうじゃない曲にもイメージが合えば流れる。ずいぶん難易度が高い映像だと思う。
専用映像を作っている
曲とカラオケ映像の組み合わせは、歌詞などのイメージに合わせて選定されているが、そうではない取り組みもしているという。
金子: 1対1映像というのがあるんです。本人映像がなくてすごく歌われる曲、その上位の曲については毎年何本か専用映像を作ってます。
林: イメージがぴったりの映像ってことですか? 本人はでないけど。
金子: 歌詞とタイトル、曲調、この辺のキーワードで作ってきます。
歌詞に電話が登場するヒット曲の映像の一部
金子: ダイヤル出てきます。
林: あ、止めた!
歌詞にぴったり合っている映像は気持ちいいので、ぜひカラオケで探してください。
人のガイドボーカルがボーカロイドの真似をしている
林: いったん映像から離れての質問ですが、最近の楽曲の変化はありますか?
阿部: ガイドボーカル(お手本のボーカル)は人気のある曲が選ばれることが多いんですけど、いわゆる歌い手系の人の曲が増えました。
林: めちゃくちゃうまくないすか。歌い手って言われる人たち。
阿部: そうですね。だから収録も結構大変だったりします。逆にアイドルがちょっと減ってきました。ボカロの曲を人間がガイドボーカルとして歌うっていうケースもあります。
林: 元の曲はボカロなんですよね?
阿部: はい、でもガイドボーカルとして人が歌ってる、ボカロっぽく歌ってる。
金子: ボカロを人間に歌っていただくためのお手本なので人間が歌わないといけないんですよね。なかなか厳しいですけどね。
林: 7年で変わりますね、いろんなことが。
金子: いや、もうすごいですね、世の中の進化が。もうひとつ変わったのは、楽曲が短くなってますよ。
阿部: そうです。なんだか短い。
金子: 90年代ってイントロがあってAメロ、Bメロ、サビ、みたいな構成だったんですけど、最近短いですよ。イントロはありますけどね、すごく短いんですよね。
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2018年の記事ではカラオケの背景映像にはこのような制限と心がけで製作されていることが分かった。
ハードウェアの制限 - 映像は本体ハードディスクに入っている
- 本体はスナックなどではそうそう入れ替えられないので10年使える映像にする
映像で気をつけていること - 映像は目立ってはいけない - 時代を感じさせない(携帯・お化粧・電化製品) - 場所が特定できない - 文字を出さない(看板に文字がある程度)
- 歌詞テロップが流れる方向にものを動かさない
まずはこれらが変わっているのかどうかを聞いていこう。教えてくれるのは前回同様、カラオケJOYSOUNDを運営する株式会社エクシングの金子さんと阿部さん。インタビュー場所も同じスタジオだ。
ごぶさたしております!お変わりなくて安心しました
林: 映像は本体のハードディスクに入っていて、スナックなどでは10年使うからそのあいだ映像がそのままというお話でしたが、そこは変わってないですか?
金子: 最近は変えまして、毎月映像を配信しています。どうしてもやっぱり10年経つと昔の映像っぽくなってしまうので。
林: すごく変わりましたね!
金子: ドラスティックに変えました
阿部: 一括搭載する映像もありつつ、追加映像もあります
ただ、映像を消すことはしていないので、本体に格納されている映像・配信されている映像は残ります。
だからやっぱりお化粧が古くならないようにという配慮はいる。
大きな変化
林: 毎月、どれほどの曲が追加されるんですか?
金子: 今のところは大体毎月1000曲以上ですね。
林: 楽曲が毎月1000本で、映像も毎月数十本ある。御社の作業としてはけっこう際限ないですね。
金子: 私たちもそれに気がつきました……
JOYSOUNDをはじめカラオケメーカーでは新規に追加する楽曲は人間が耳で楽譜を起こしてデータを作っている。月に1000曲、耳コピしていることになる。 再び背景映像の話に戻ります。
役者さんもいろいろになってる
林: 人が出てくるのはポイントとなるところだけという基本的なコンセプトは変わってないですか
金子: それはそれほど変わっていません。5年以上前の映像では出る回数が多い役者さんがいましたが、今はもうすこし多様性を持ってご出演いただいてます。
阿部: いつものヒゲのおじさんがいる!みたいなことはなくなった。
「いつものヒゲのおじさんがいる!」みたいなことはもうない
林: いつものヒゲのおじさん、気になります
スマホはありになった
林: 前回教えていただいたNGリストから変わったことってありますか。 NGリスト ・時代を感じさせる携帯、化粧、電化製品を登場させない。 ・場所を特定できない
・文字を出さない
金子: 携帯電話ですね。スマホが出てきます。
林: スマホが解禁された!
金子: 最近と言っていいのかどうか分からないんですけれども。
スマホが登場した背景映像
金子: こんな感じですね。いわゆるショートメッセージ。今、待ち合わせするのに携帯もスマホがないと不自然なんですね。 ですから、やっぱり使い始めています。
林: 思い出の写真を見るのもスマホのカメラロールですもんね。
金子: 携帯はもういわば解禁と言いますか、使わないとやっぱ成立しない。
カメラでボケさせることができるようになった
林: 看板などの文字を避けるという点はどうでしょう
金子: いまはカメラでぼけさせられるんですよ。ぼかしというか、フォーカスを手前だけにしてます。街中のシーンもありますが、気にならないぐらいのところまでぼかせている。
林: デジタル一眼レフの映像だとやりやすいですよね
金子: そういうのができるようになってきているので、そんなに昔ほどこだわらなくてもよいというのがひとつありますね。
林: 場所が特定できないのは昔も今も変わらないですか?
ちょっと本数は言えないんですけど、毎年追加するのは10~20じゃないので、そうするとレギュレーションからはみ出すものも出てきちゃいますね。