「令状なしに家宅捜索したようなもの」「韓国の民主主義と法治主義が死んだ日」 最高裁を現場検証した共に民主党議員らに法曹界絶句

【TV朝鮮】(アンカー)

 与党の司法府圧迫に、法曹界全体は騒然となるばかりです。きょうの「ニュースもっと」には、社会部法曹チームのイ・グァンヒ記者にお越しいただきました。イ記者、国会議員が大法院(最高裁)に直接行って資料を確保した前例はありますか?

【写真】現場検証に向かう共に民主議員

 (記者)

 はい。これまで国会議員が大法院に行って国政監査をした前例はあります。ですが、裁判の過程を確認するために記録を見て、大法官(最高裁判事)の執務室など内部施設を確認するという目的の現場検証は前例がありません。直近の現場国政監査は一昨年でしたが、大法院が用意した会議室の中だけで進められました。

 (アンカー)

 ところで、国会が議決したのだからと大法院内部を探し回ることはできますか?

 (記者)

 それはできません。大法院庁舎は統合防衛法上、国家重要施設に分類されています。大統領室、国会議事堂、国家情報院などと同じ最上位等級の「カ級」施設です。しかも大法院は司法府の最高裁判所で、主な民事・刑事裁判の記録やデリケートな個人情報が保管されています。大法院にある資料を確認しようと思ったら、捜査機関も家宅捜索の令状発布を受けなければなりません。国会は国会法128条に基づき国政監査に必要な資料の提出を要求できますが、国政監査法8条で「継続中の裁判や捜査中の事件の訴追に関与する目的で監査権を行使することはできない」となっています。

 (閔万基〈ミン・マンギ〉/成均館大学法学専門大学院教授)

「あの裁判所の裁判は継続中であるだけでなく、破棄差し戻しされて今では二審に降りたけれど、また再上告されることもあり得る。そういう状況ではありませんか? 当然、まだ進行中の事件と見るべきで…」

 (アンカー)

 進歩(革新)系の与党「共に民主党」はなぜこんなことまでやるのですか?

 (記者)

 はい。民主党は、今回の検証目的は李在明(イ・ジェミョン)大統領の公職選挙法事件を巡る破棄差し戻しプロセスの透明性と、大法官増員予算の妥当性を確認するものだとしました。ですが、大法官と裁判研究官が事件記録にアクセスした時期と閲覧・照会した記録全体を要求し、検討報告書の決済、回覧経路まで欲しいと言いました。現職大統領に対する裁判所の判断ルートをのぞき見したいというのは、政治的意図が明白で、三権分立を無視した動きだというのが野党の指摘です。

 (アンカー)

 法曹界の雰囲気はどうですか。

 (記者)

 はい。一言でいうと「見るに堪えない」という声が上がっています。ある法学者は、TV朝鮮の取材に「前例のないことなので絶句してしまうほど」と表現しました。これまで李在明大統領をはじめ韓国政府・与党は、選出権力が司法府よりも優位だという思考をあらわにしてきましたが、今回の現場検証もその延長線上にある、という指摘がなされています。

 (車珍児〈チャ・ジンア〉/高麗大学法学専門大学院教授)

「司法府の独立を完全に踏みにじって三権分立システムそのものを完全に壊す、韓国の民主主義と法治主義が死んだ日だと見ています」

 今回の現場検証のやり方が実定法において許容されるのかどうかも論争の的です。

 (アンカー)

 イ記者、よく分かりました。

(2025年10月15日放送 TV朝鮮『ニュース9』より)

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