自民が単独で300議席超を獲得へ、与党で3分の2超に 衆院選
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日本の衆議院選挙が8日、投開票された。日本の複数報道によると、自由民主党が単独で3分の2(310議席)を超える316議席を確保した。一つの政党が単独での3分の2超を獲得するのは戦後初。高市早苗首相(自民党総裁)が政権を安定的に継続する見通しとなった。中道改革連合は公示前(167議席)を大幅に下回った。
自民党が連立政権を組む日本維新の会(公示前34)は、36議席を確保した。対する中道改革連合は、49議席に落ち込んだ。立件民主党出身の幹部が相次ぎ落選した。
今回の選挙では、小選挙区289、比例代表176の計465議席が争われた。高市氏は、与党で過半数を割り込めば退陣すると表明していた。公示前の与党勢力は計232議席だった。
与党で「絶対安定多数」と呼ばれる261議席に達すると、常任委員会の委員長のポストを独占したうえで、委員の過半数も確保できる。さらに、定数の3分の2の310議席を獲得すると、提出した法案を参院で否決されても、衆院で再可決して成立させることができる。憲法改正の国民投票の発議も可能になる。
野党ではほかに、国民民主党(公示前27)が28議席、共産党(同8)は4議席となった。参政党(同2)は15議席、チームみらい(同0)は11議席と大きく伸ばした。
れいわ新選組(同8)と減税日本・ゆうこく連合(同5)もそれぞれ1議席に減った。日本保守党(同1)と社民党(同0)は議席を獲得できなかった。
投票日には、首都圏を含め国内の広い範囲が雪に見舞われた。一部の投票所では投票開始時間を遅らせたり、終了時間を繰り上げたりする対応が取られた。
トランプ氏がエール
外国の首脳としては異例の形で投票日前に高市首相を応援していたアメリカのドナルド・トランプ大統領は、総選挙の結果を祝し、高市氏は「非常に尊敬されていてとても人気の高い」指導者だとたたえた。
トランプ氏は自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で、「力を通じて平和を実現するという、あなたの保守派としての政策目標を実現するにあたり、大成功を願っている」と高市氏にエールを送った。
さらにトランプ氏は、「これほど熱心に投票した日本の素晴らしい人たちを、私は常に強力に支援し続ける」とも書いた。
スコット・ベッセント米財務長官も、高市氏の「大勝」をたたえ、「日本が強ければ、アジアにおいてアメリカは強い」と自民党圧勝を歓迎した。
インドのナレンドラ・モディ首相も、高市氏による「画期的」な勝利をたたえ、日本とインドの友好関係は今後「いっそうの高み」に達するはずだとの考えを示した。
高市氏の人気を頼りに
今回の衆院選は、昨年10月に首相に就任した高市氏が、「国論を二分するような大胆な政策」について有権者の審判を仰ぐとして、今年1月23日に衆院を解散したことを受け実施された。解散から投開票までの日数は16日で戦後最短だった。
ただ、「大胆な政策」についての議論は深まらなかった。自民党と維新の連立政権発足直前に発表された連立合意書では、防衛力の抜本的強化、スパイ防止法の制定、憲法改正、国旗損壊罪の創設、外国人政策の厳格化などの政策が並んだ。
だが選挙戦では、高市氏がこれらの政策を前面に出して有権者に訴えかける場面はほとんどなく、「責任ある積極財政」などに主張の力点を置いた。NHKの党首討論番組への参加も直前にキャンセルした。
高市氏は、今回の解散・総選挙で与党が過半数を獲得できなければ「即刻退陣」すると表明していた。
衆院の解散前、自民党は衆参両院で過半数を失っており、26年間続いた公明党との連立政権も崩壊していた。それだけに、今回の総選挙を大きな賭けと危ぶむ声もあった。
しかし、高市氏の個人的な人気は高く、政権の支持率はおおむね70%台で推移してきた。自民党の候補者らは、その「高市人気」に頼る格好で票を伸ばしたとされる。
高市氏は、移民対策の強化、日本の土地の外国人所有に関する規制の見直し、そして外国人による税や健康保険料の未払いについて対応を進めてきた。
しかし、外国人が人口のわずか3%しかいない日本でこうした課題を強調することによって、首相はむしろ不安と分断を生み出していると非難する声もある。
日本は主要先進国の中でも公的債務が多い国なだけに、歳出拡大と減税によって低迷する日本経済を復活させるという公約については、一部の企業の間でも疑う声がある。
日本最大の貿易相手国の中国との関係も緊張している。高市氏が昨年11月、中国が台湾に侵攻した場合は日本が軍事介入する可能性に言及したためだ。
今回の選挙によって自らが率いる自民党が衆院の3分の2議席を得たことで、高市氏は長年の目標に掲げてきた日本国憲法の平和主義条項を改めることに向けて有利な立場となった。
高市氏はトランプ大統領に接近し、トランプ氏も選挙前に高市氏を異例な形で公然と支持した。両首脳は、日本が防衛費を増やすべきだという点でも一致しているとみられている。