インバウンド客が「新幹線の指定席」を占拠、車掌も対応せず…注目を集めた旅行業者の「提案」は正しい?JR東海の見解は?(まいどなニュース)|dメニューニュース

インバウンド客が「新幹線の指定席」を占拠、車掌も対応せず…注目を集めた旅行業者の「提案」は正しい?JR東海の見解は?

先日、東海道新幹線車内で、自身の「指定席」がアジア人女性観光客らの特大スーツケースで占拠され、指定席を使えなかった、という投稿がX(旧Twitter)で大きな問題となった。

荷物の移動を英語で伝えたものの、当該観光客は拒否。被害者は車掌に苦情を入れたが、30分以上通路に立たされた上、対応してもらえなかったという。

その後、当該ポストは「いやがらせ」を受けたとして削除されたが、この件について、旅行会社に勤務する、たびびと@きっぷ屋(@tbbt_kippu_ya)さんが、「こういう時の急所を突ける『呪文』がある」と、投稿。

投稿は3050万回以上表示され、約25万のいいねがつくと共に、利用者側の不安や不満の声も多く寄せられた。

車掌が対応してくれない…どうしたらいい?

たびびと@きっぷ屋さんがXで提案したのは、「自由席充当」というもの。

ただしこれは、実際に補償を受けるためというよりも、今回のように車掌が対応してくれないなどの非常時に「誠実に動いてもらうためのプレッシャー」として提案したそうだ。

JR東海の回答は?

今回の件について、JR東海に取材を行ったところ、「まず、ご指摘のあったような投稿がSNS上で話題になったことは当社も承知しております。ただ、具体的にどの列車で発生した事案なのかなどは不明であり、当社として事実関係の確認はできておりません。

そのうえで、一般的な対応としてお答え申し上げれば、座席の使用に支障がある場合には、乗務員にご申告いただければ、別の座席をご用意するなど適切に対応いたしますので、お困りの際はお気軽に乗務員にお声かけください」との回答があった。

指定席が使用できない…車掌までご相談を

「弊社では、お客様に安心して快適に鉄道をご利用頂けますよう、お客様のご協力を得ながら、マナーの定着に取り組んでいるところでございます。車内にて他のお客様のご迷惑となるような行為を認めた際は、乗務員からお声がけさせていただいております。

車内にてお気付きの点やお困りのことがございましたら、大変お手数をおかけいたしますが、乗務員やパーサー、警備員へお申し出いただきますと幸いでございます。車内の状況により限りはございますが、可能な限り対応をさせていただきます」(JR東海/広報部)

「車掌」の権限強化を

今後も増加が予想されるインバウンド客とのトラブルに対して、「まずは特大荷物対策の強化が必要だと思います。予約スペースの無断使用者へのペナルティ導入なども視野に入れるべきではないでしょうか」と、旅行業者のたびびと@きっぷ屋さんは言う。

「そのためにも、車掌の権限強化も必須かと思います。鉄道公安官制度の復活、特別司法警察権の付与も一考に値するのではないでしょうか。

そもそも、係員が適切に動ける体制と教育が整っているべきです。乗務員数の点から、物理的に手が回らない場面があるかもしれません。だとしても、今回のように被害者を30分位以上放置した上に対応しない、というのは適切ではなく、やはり人員体制などを見直すことが望ましいと思います」(たびびと@きっぷ屋さん)

JR東海の「特大荷物対策」の現状は?

「特大荷物対策」については、JR東海から以下のような回答があった。

「特大荷物スペースや特大荷物コーナーのご利用については、ポスターやHP、駅等でのリーフレット掲出等によりご案内を行っております。また、海外からのご利用回復も踏まえ、成田空港やJR東日本の主要駅、旅行会社カウンター等においても、リーフレットを設置しています。既存の訪日外国人向けHPのトップバナーに掲出するなどして、特大荷物スペースや特大荷物コーナーについて予約前にお知らせを実施しています。

車内放送では、2か国語(日本語と英語)で『特大荷物スペース』が予約者専用の荷物置場であることを案内しております。特大荷物スペースについては、その場所が予約が必要なスペースであることを明確にするため、車内床面に案内を標記し、QRコードで5言語(日・英・中簡・中繁・韓)対応の案内サイトへの誘導を行っています(特大荷物コーナーは、オレンジ色で『要予約』の表記を掲出しています)」(JR東海/広報部)

「予約不要」で「特大荷物コーナー」の利用が可能に

なお、JR東海/広報部からの追加情報によると、現在、試行的に「事前の予約なし」で「特大荷物コーナー」が利用できるという。

「2025年7月1日より当面の間、『特大荷物コーナー』については試行的に、事前予約不要でご利用いただける荷物置き場といたします。特大荷物コーナーは、東海道・山陽新幹線(16両編成)の全列車の3、5、7、9、13、15号車のデッキ部にあります」(JR東海/広報部)

日本の常識や「マナー」が通用しない場面が急増している。安心安全に指定席が利用できるよう、さらなる対策の強化に期待したい。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・はやかわ リュウ)

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