「ない世界を想像してみて欲しい」 マツダ・ロードスター 2.0スカイアクティブG(1) パワートレインはトラッドなレシピ
マツダMX-5(日本名ロードスター)は、1989年から連綿と提供されてきた。安全基準や環境規制へ対応しつつ、自らのスタンスを守り続けている。現行のND型は、登場から11年が過ぎるが、着実な改良も重ねられている。
この存在がない世界を、想像してみて欲しい。間違いなく、今より退屈なものになるだろう。少なくとも、クルマ好きにとっては。筆者としても、大好きな1台だ。今回は、2024年に改良を受けた最新仕様、ND3型の2.0Lエンジン版へ試乗してみよう。
マツダMX-5(ロードスター) 2.0スカイアクティブG 184ホムラ(英国仕様)ロードスターを特別にしているのが、専用プラットフォームによる、量産コンバーチブルだという成り立ち。しかもホムラ・グレードの試乗車で、車重は1060kgしかない。
センタートンネル部分には高剛性なブレースが渡され、前後の衝撃吸収構造やボンネット、トランクリッド、フロントフェンダーはアルミ製で軽量化。重量物を車両の中心へ集めることで、敏捷性が高められている。
改良で183psを得た2.0LスカイアクティブG
パワートレインは、トラディショナルなレシピ通り。エンジンは縦置きされ、トランスミッションは専用開発の6速マニュアルで、全パワーがリアアクスルへ伝えられる。
2.0Lエンジンは、1.5L版と同様に、スカイアクティブGシリーズの派生版。横置きを前提に設計されているため、多くの部品が専用設計となっている。ピストンやコンロッド、カムシャフト、吸排気系に改良を受け、ND3の最高出力は英国仕様で183psとなる。
マツダMX-5(ロードスター) 2.0スカイアクティブGまた2.0L仕様のND3には、新開発のリミテッドスリップ・デフを標準化。円錐形クラッチにカムを追加し、減速時のロック率が加速時より強められた。これにより、急なアクセルオフ時に生じる不意のスピンを抑制している。
電動アシスト・ステアリングラックは、摩擦を低減。より自然な操舵感を得たとされる。スタビリティ・コントロールには、トラック(サーキット)・モードが設けられた。
自然でスポーツカーらしい運転姿勢
ND3のスタイリングは、4代目の登場時と大きな違いはない。だが、ライト類のデザインが若干異なり、並べれば最新版だと気付けるはず。全ランプが、LED化されてもいる。
ソフトトップは巧妙な設計で、フロントガラス上部のクリップを1つ解除すれば、片手で後ろへ追いやれる。慣れれば、5秒で完了できるだろう。速度が出ていなければ、走行中でも助手席の人にお願いできるほど簡単で、荷室を侵食しない点もうれしい。
マツダMX-5(ロードスター) 2.0スカイアクティブG 184ホムラ(英国仕様)全長は3915mmと短く、エンジンは縦置きで、コクピットは正直広くない。一般的なモデルへ乗り慣れていると、狭く感じられると思う。乗員空間は、太もも付近の前後長が1070mm、背中付近の高さ方向で930mm。体格によっては、運転しにくいだろう。
それでも、ホムラ・グレードで標準となるレカロシートは、通常のシートより座面の位置が低い。サポート性に優れ、座り心地も良い。調整域が広く、平均的な体格なら自然でスポーツカーらしい運転姿勢を取れる。
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ダッシュボードは、最新感が薄いとしても、無駄のない曲面で構成され、マツダらしく上品。硬いままのプラスティック製トリムは多いものの、控えめな輝きのクロームメッキが全体を引き締め、決して安っぽくはない。
小物入れは限られ、実際に使えるのはセンターコンソールのボックス程度。荷室は、大人2名で数泊ぶんの荷物なら、柔らかいカバンに詰めれば載せられる。ハードケースを運びたい場合は、トランクリッドの上に社外品のラックを追加するという手もある。
マツダMX-5(ロードスター) 2.0スカイアクティブG 184ホムラ(英国仕様)ダッシュボード上のセンターモニターは、マツダ共通のシステムが稼働。シンプルな構造で理解しやすく、ロータリーコントローラーで操作できる。
アップル・カープレイとアンドロイド・オートには、無線で対応。停止していれば、モニターに触れての操作が可能になる。
走りの印象とスペックは、マツダ・ロードスター 2.0スカイアクティブG(2)にて。
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執筆
イリヤ・バプラート
Illya Verpraet
- 役職:ロードテスター ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
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翻訳
マット・ソーンダース
Matt Saunders
- 役職:ロードテスト編集者 AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
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