市販ドッグフードから「危険な水準」の鉛や水銀 米調査団体が警鐘

人気の市販ドッグフードのサンプルに「危険なレベル」の重金属、プラスチック由来の汚染物質、アクリルアミドが含まれていたことが、新たな調査で明らかになった/Lazy_Bear/iStockphoto/Getty Images via CNN Newsource

(CNN) 人気の市販ドッグフードのサンプルに「危険なレベル」の重金属、プラスチック由来の汚染物質、アクリルアミドが含まれていたことが、新たな調査で明らかになった。アクリルアミドは、食品を高温で加熱した時に生成される発がん性化合物だ。

この調査を実施した米コロラド州に拠点を置く非営利組織、クリーン・ラベル・プロジェクト(CLP)のエグゼクティブディレクター、モリー・ハミルトン氏は、「今回検出した重金属やその他の汚染物質は憂慮すべきレベルだった」と述べた。

CLPは、消費者向け製品の純度を検査し、製品が厳格な基準を満たした場合は、その製品を製造したメーカーに認証ラベルを付与している。

CLPの調査報告書によると、ドッグフードにはCLPが過去10年間に検査した人間用食品と比べ、重金属が3~13倍も多く含まれていたという。

研究所の検査によると、最も高いレベルの重金属およびその他の汚染物質が検出されたのはドライドッグフードで、次いで高かったのはエアドライ、フリーズドライのドッグフードだった。生鮮および冷凍のドッグフードは、含まれている重金属のレベルが最も低かった。

なお、この報告書ではブランド名や商品名ごとの具体的な検査結果は明らかにされていない。

「犬の飼い主の85%以上がペットにドライドッグフードを与えており、ほとんどの犬は毎日同じ種類のドッグフードを食べている。しかも、それが生涯続くことも少なくない」とハミルトン氏は述べ、さらに次のように続けた。

「もし犬がドライドッグフードしか食べていない場合、重金属の蓄積が犬のがん発症率の高さの原因になっている可能性もある」

実際、重金属が犬の腎臓や肝臓に蓄積し、それが慢性疾患の原因となり得ることが複数の研究で示されている。また鉛やカドミウムへの暴露は、犬の死因の1位である犬のがんに関係していると考えられている。

汚染物質の含有量が少ないのは生鮮・冷凍ドッグフード

CLPは、最も売れ筋の生鮮・冷凍ドッグフード、ドライドッグフード、さらにエアドライ・フリーズドライ製品から、計79のサンプルを購入した。その後、連邦政府の認定を受けた検査機関が、プラスチック、農薬、鉛、ヒ素、水銀、カドミウム、アクリルアミドについて、計1万1376件の個別検査を実施した。

その結果、生鮮・冷凍ドッグフードは、汚染の程度が最も低かった。ドライドッグフードに含まれる鉛と水銀の濃度は、生鮮・冷凍ドッグフードに比べ、約21倍も高かった。またドライドッグフードには、生鮮・冷凍製品に比べ、ヒ素が13倍以上、カドミウムが6倍多く含まれていた。

この結果について、米コーネル大学獣医学部教授で栄養学の専門家でもあるジョセフ・ワクシュラグ博士は、生鮮・冷凍ドッグフードの少なくとも70%が水分であり、水は濃縮されたドライドッグフードに比べ、重金属の含有量がはるかに少ない点が理由の一つとして考えられると述べた。ワクシュラグ氏は学術研究に加え、ドッグフード会社の顧問も務めている。

またワクシュラグ氏は、犬がドライドッグフード1カップ分と同じカロリーや栄養を摂取するには、生鮮・冷凍ドッグフードを約3カップ食べる必要があるため、犬はドライドッグフードの2~3倍の量の生鮮・冷凍ドッグフードを食べなければならず、結果として重金属への暴露量も増えると付け加えた。

動物用飼料全般の安全基準は、米国飼料検査官協会(AAFCO)および全米研究評議会(NRC)が定めている。ワクシュラグ氏によると、重金属の最大許容値は、毒性物質に最も影響を受けやすい動物種を基準に設定されているという。

しかし、ハミルトン氏は「NRCやAAFCOが想定する安全基準を用いることの難しさは、犬に特化したガイドラインが存在しない点にある。ペットフードは、農業用動物(向けの飼料)と同じカテゴリーに分類されている」と述べ、さらに次のように続けた。

「ペットフード業界では、犬は人間よりも重金属への耐性が高いというのが一般的な考えだが、この説が何を根拠としているかについては議論の余地がある」

ワクシュラグ氏は、毒性物質への慢性的な暴露が犬にどのような影響を与えるかについて分かっていないのは、その種の研究がほとんど行われていないためだと指摘した。

ワクシュラグ氏は、それを解明するには、ペットフード企業が自社製品に毒性物質が含まれているか否かを定期的に検査し、その結果を消費者に公表することが必要だと主張する。

ただ、大規模な分析には時間と費用がかかるため、消費者がそのような情報を求めるのであれば、ドッグフード1袋あたり3~4ドル(約460~620円)程度の値上げを覚悟する必要があると同氏は付け加えた。

アクリルアミドや他の化学物質も高濃度で検出

CLPの報告書によると、ドライドッグフードに含まれるアクリルアミド濃度は、生鮮・冷凍ドッグフードに比べ、約24倍も高かった。

アクリルアミドは、炭水化物を多く含む食品を120度以上の高温で揚げたり、直火やオーブンで焼いたりすることにより生成される。トースト、フライドポテト、コーヒー、焼き菓子などが焦げて褐色になると発生する可能性があり、米国環境保護庁(EPA)は、このアクリルアミドには人間に対する発がん性がある可能性が高いとしている。

また米国有害物質疾病登録局(ATSDR)は公式サイト上で、アクリルアミドはオスの動物の繁殖能力を低下させると述べている。同局によると、アクリルアミドは動物に複数種のがんを引き起こしているが、人間に関しては十分なデータがないという。

CLPの調査では、さらに2種類のビスフェノール、ビスフェノールA(BPA)およびビスフェノールS(BPS)と、フタル酸エステルの一種であるフタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)の濃度も測定された。結果は他の調査結果と同様、最も高い濃度が検出されたのはドライドッグフードで、最も低かったのは生鮮・冷凍ドッグフードだった。

DEHPについては、犬を対象とした研究は行われていないものの、2025年4月に発表された研究によると、全世界の男女55~64歳における心臓病による死亡のうち、10%以上に関与していた可能性があるという。

またBPAは、胎児の異常、低出生体重、乳幼児・子どもの脳や行動の障害との関連が指摘されており、BPSも生殖機能に同様の悪影響を及ぼす可能性があるとされている。

では、これほど多くの毒性物質に対し、飼い主はどのような対策を取るべきか。

まずは慌てないこと、とハミルトン氏は助言する。

獣医師が同意し、予算的に可能であれば、生鮮・冷凍ドッグフードを検討するとよい。ただし、多くのペットは好き嫌いがあり、ドライドッグフードから生鮮・冷凍ドッグフードへの切り替えを受け付けない場合もある。

もしドライフードを使い続けるのであれば、別のブランドと交代で与え、犬の食事内容を多様化させることをおすすめする、とハミルトン氏は述べた。

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