EUのウクライナ50億ユーロ支援計画、仏伊の反対で棚上げ―首脳会議

Michael Nienaber、Andrea Palasciano、Alberto Nardelli

  • 砲弾200万発分―EUは今年最大400億ユーロ支援の方針打ち出す
  • 仏伊、巨額の負担に難色―米国に代わる支援目指すも足並みそろわず
Kaja Kallas at the European Union Summit in Brussels on March 20. Photographer: JOHN THYS/AFP

欧州連合(EU)は20日の首脳会議で、ウクライナの軍備確保のため今年50億ユーロ(約8080億円)を拠出する計画を協議したが、フランスとイタリアが反対し、棚上げとなった。関係者が明かした。EUは、米国が停止したウクライナへの支援の代替策を模索しているが、課題に直面している。

  関係者によると、EU加盟27カ国のほとんどは、軍事支援のための重要な資金確保に賛同しているが、フランスとイタリアは具体的な金額の提示を先延ばしにしている。この関係者は、非公開の協議だとして匿名を希望している。

  ウクライナのゼレンスキー大統領は、首脳会議にオンラインで参加し、戦争が長引くなか、ウクライナ上空で無人機(ドローン)による大規模な夜間攻撃が行われたことに言及し、「できるだけ早く」弾薬を購入するための資金を緊急に要請した。

  トランプ米大統領がロシアとの停戦を推進する中、ロシアのプーチン大統領は、より広範な合意において、ウクライナへの武器供給を停止することを明確に求めている。EUによるウクライナ支援強化の動きは、さらに複雑化している。

  EUのカラス外交安全保障上級代表(EU外相)は、ウクライナに今年最大400億ユーロの軍事援助を行うという提案を打ち出している。2024年の200億ユーロから増額する。支援は任意だが、参加国にはそれぞれの経済規模に比例した現金または装備品の拠出が奨励される。数カ国が難色を示したため、議論は20日、砲弾200万発の要素に焦点を絞る形で、首脳会議で協議された。

  関係者によると、EU2位と3位の経済大国であるフランスとイタリアは、過大な負担を負うことになると懸念している。イタリアとその他の国々は、計画について技術面、資金面の詳細を要求しており、イタリアの関係者は、この取り組みはまだ検討中だと述べた。フランス大統領府はコメントを控えた。

原題:France and Italy Stall EU Push to Commit Ammunition for Ukraine(抜粋)

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE

関連記事: