ユーロスター大規模運休 英仏海峡トンネルで電力トラブル
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イギリスと欧州大陸を結ぶ高速鉄道ユーロスターは30日、英仏海峡を通るチャンネル・トンネルで電力供給障害があり、ロンドンとパリ、ブリュッセル、アムステルダム間の列車運行を当面の間、全面停止したと発表した。修復作業を経て、英南東部フォークストンと仏北西部カレーを結ぶトンネルの通行はその後、部分的に再開され、ユーロスターとル・シャトルの一部が遅延しながら運行を再開した。
架線の電力供給に障害があり、故障したル・シャトルの車両が全路線をふさいだため、年末に移動しようとする大勢の旅行客の足が乱れた。
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英仏海峡を通る「チャンネル・トンネル」を運営するゲットリンク社は、31日朝までに通常運行に戻ることを期待していると述べた。
同社は謝罪し、乗客は無料で予定を変更するか、予約をキャンセルして返金または電子バウチャーを受け取ることができると述べた。
ロンドンからユーロスターに乗る欧州大陸への玄関口、セント・パンクラス駅では多くの乗客が足止めされていた。BBCに、目的地への代替ルートを探していると話す人たちもいた。
アメリカから訪れているヘイリー・アダムズさん(38)とハナ・ハガーさん(35)は、セント・パンクラス駅からのユーロスター便がキャンセルされた後、ハナさんの36歳の誕生日をパリで祝うため、パリに31日に到着する航空チケットに580ドル(約9万円)を払った。
2人のユーロスターのチケットは払い戻されたものの、ロンドンでの追加宿泊費を支払わなければならず、30日に宿泊予定だったパリのホテルからは返金を受けられないと述べた。
「ずっと行列している」、「もうここに5時間いる」と、アダムズさんは話した。
メキシコからの家族は、ユーロスター便がキャンセルされたことで一生に一度の旅行がどうなるかわからない状態だとBBCに話した。
モンセラット・ヘルナンデスさんと、兄弟のジョン・ポールさん、母オルガさんは、セント・パンクラス駅のユーロスター出発エリア付近で、スマートフォンで懸命に情報を検索していた。この一家の周りにも同じように、スマートフォンを凝視する人が大勢いた。
家族は現地時間午前8時過ぎにユーロスターに乗車したが、パリへ向かって出発して間もなく、海峡トンネル内の電力トラブルのため、ロンドンへ引き返す羽目になった。
「今日は何も運行していないと言われた(中略)明日も出発できそうにない」と、モンセラットさんは話した。
「まるでアメリカ映画みたい」とモンセラットさんは話した。「こうしているうちに、運命の人に出会えるといいけど」。
英仏海峡の反対側のフランスでは、英中部ベッドフォードシャーから訪れていたベン・クラークさんが、妻や娘3人と一緒に仏カレーでル・シャトル車内に何時間も閉じ込められていると話した。
「最初の2時間半はそれほど悪くなかったが、30分前から娘たちが落ち着かなくなったので、エネルギーを消費させるために搭乗車両内を走り回らせた」のだという。
「中には怒りだす人もいるが、どうしようもない。他の人は車内で寝ている。おやつは食べ尽くしたし、もう代替案が何もない」
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英ナショナル・レールはユーロスターを利用する予定の乗客に向けて、自分の列車がキャンセルされた場合、ロンドンのセント・パンクラス駅へ向かわないよう呼びかけた。
英運輸省は、故障した架線の修理中は「一日中混乱が続く可能性が高い」と述べた。
ユーロスターの運転士がBBCに共有した写真には、架線が線路に散乱している様子が写っている。
ユーロスターによると、海峡トンネルの主要トンネル2本のうち片方だけが列車の運行に利用可能な状態という。
ユーロスターの通行は30日、ロンドン発ブリュッセル行きの午後3時04分の列車が午後4時過ぎに出発し、部分的に再開した。
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故障したル・シャトルの車両も海峡トンネルから撤去された。
運営会社は、停電による閉鎖後、トンネル内に取り残された乗客はいなかったと述べた。
ル・シャトル社は謝罪した上で、運行予定が約5時間は遅延すると説明。乗客には、「予定通りチェックイン」するよう呼びかけた。
ユーロトンネル広報室によると、ル・シャトルの運行は現地時間午後3時の少し前に、「1本の線路で、とても少しずつ再開」された。
「サービスは両方向で交互に運行されているが、大幅な遅延が発生している」と述べ、さらに「追加のシャトルが夜間および翌朝まで運行する」と付け加えた。
英フォークストン側のル・シャトルのターミナル付近では同日、トンネルに入ろうとする車両が渋滞を引き起こしたものの、その後は緩和された。