重力レンズが生んだ宇宙の指輪 60億光年先のクエーサー「RX J1131-1231」
【SAPOD】今日の「宇宙画像」です。soraeが過去に紹介した特徴的な画像や、各国の宇宙機関が公開した魅力的な画像、宇宙天文ファンや専門家からお寄せいただいた画像を紹介しています。(文末に元記事へのリンクがあります)
(引用元:sorae 宇宙へのポータルサイト)
今回紹介するのは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の中間赤外線観測装置(MIRI)が捉えた、「コップ座」方向の天体です。淡いリングに沿って4つの光点が輝く、宝石をちりばめた指輪のような不思議な姿をしています。
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【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の中間赤外線観測装置(MIRI)で観測された重力レンズ効果を受けたクエーサー「RX J1131-1231」(Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, A. Nierenberg)】この天体の正体は、約60億光年先に位置するクエーサー「RX J1131-1231」です。4つの光点が見えますが、クエーサーが4つあるわけではありません。地球とこのクエーサーの間に、たまたま前景の楕円銀河が入り込み、その大きな質量が周囲の時空を歪めることで、背景のクエーサーの光が曲げられています。その結果、1つのクエーサーが4つの像に分かれて見えているのです。これはアインシュタインが予言した「重力レンズ効果」です。この画像では、リングの中心付近に見える楕円銀河がレンズ役となり、その重力で背景のクエーサーの光が曲げられています。中央で青く見えているのが、その前景の楕円銀河です。
またX線観測では、このクエーサー中心の超大質量ブラックホールが、光速の50%以上に相当する速さで回転していることが示されています。こうした高速回転は、ブラックホールが比較的一定の向きで物質を取り込み続けて成長した可能性を示唆しており、過去の銀河同士の合体などが関係したとも考えられています。
編集/sorae編集部