科学に希望を灯す女性たち。2025年ロレアルユネスコ女性科学賞、受賞者決定(BUSINESS INSIDER JAPAN)

「世界は科学を必要とし、科学は女性を必要としている」この理念を掲げ、科学分野で卓越した功績をあげた女性を称える「ロレアル ユネスコ女性科学賞(L’Oréal UNESCO For Women in Science International Awards)」。 【全画像をみる】科学に希望を灯す女性たち。2025年ロレアルユネスコ女性科学賞、受賞者決定 第27回となる2025年は、世界5地域から5人の受賞者が選出された。彼女たちの功績は、技術革新にとどまらず、未来の世代に勇気とインスピレーションを与えるものであり、6月12日、パリのユネスコ本部にて授賞式が開催された。 気候変動、健康危機、デジタルセキュリティといった現代の課題に立ち向かう上で、科学の力はますます重要になっている。今回選出された5人の受賞者は、知性と胆力と情熱を兼ね備え、最前線で社会課題に立ち向かっている。彼女らの功績は技術革新にとどまらず、広く社会と未来の世代に勇気とインスピレーションを与えている。 6月12日、パリのユネスコ本部で授賞式が開催された。ユネスコ事務局長 オードレ・アズレイ、ロレアル会長/ロレアル財団会長ジャン=ポール・アゴンのスピーチで幕を開けた式では、各受賞者がその研究の内容や科学者としての思いを語った。 受賞者5人のスピーチを通じて印象に残ったのは、「科学が好き」「毎日研究所に行くのが楽しみだった!」といった純粋な好奇心と探究心の煌めきだ。そして、困難に直面しても折れず、諦めない強さ。そして、科学で社会の未来を拓きたいという強い思い。受賞者らはそれぞれ、自身の言葉で家族や仲間への感謝や後進を励ますコメントを述べ、会場全体が温かなムードに包まれた。

アフリカ・アラブ諸国代表のプリシラ・ベイカー(南アフリカ・ウェスタンケープ大学)は、環境汚染物質を高感度で検出する電気化学マイクロセンサーの研究で評価された。彼女のセンサー技術は、製薬、食品、健康、エネルギーなど幅広い分野に応用され、持続可能な社会の実現に貢献している。また、若手研究者の育成にも尽力し、分析化学の分野で多くの人材を輩出している。 アジア太平洋地域代表のシャオユン・ワン(中国・清華大学)は、情報通信の要である暗号技術の分野で画期的な成果をあげている。彼女の研究は、従来の「ハッシュ関数」の脆弱性を明らかにし、現在銀行カードやeコマースなどに使われる新たな暗号標準の確立に貢献している。女性の理系進学が少ない中国において、彼女の存在そのものが次世代の女性数学者をエンパワーしている。 ヨーロッパ代表のクラウディア・フェルザー(ドイツ・マックス・プランク研究所所長)は、「トポロジカル量子化学」という新領域を切り拓き、磁性材料の革新的な開発で注目されている。これらの素材はグリーンエネルギー分野において極めて重要であり、基礎科学から応用技術への橋渡しを担う彼女の研究は、物理学・化学・数学の融合の先にある未来を照らしている。 ラテンアメリカ・カリブ地域代表のマリア・テレサ・ドバ(アルゼンチン国立科学技術研究会議 上級研究員/ラ・プラタ国立大学 理学部物理学科)は、ヒッグス粒子の発見を含む高エネルギー物理学の研究で世界的な評価を受けている。彼女は国際共同研究の中核を担い、アルゼンチンの科学界の地位を世界レベルに引き上げた立役者だ。 北米代表のバーバラ・フィンレイソン=ピッツ(米国・カリフォルニア大学アーバイン校)は、大気汚染と光化学スモッグの生成過程を分子レベルで解明。彼女の研究成果は、環境政策や規制の形成に直結し、人々の生活の質の向上に貢献している。

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