あんたの母親やるのはもう疲れた…「手取り48万円」実家暮らし息子(46)を「年金月12万」で養い続けた73歳母、限界を迎えて下した〈ある決断〉(THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン))
「私が甘やかして育ててしまったのがいけないんです。でも、まさか46歳になった息子の朝ごはんを用意して起こしに行く毎日が、70歳を過ぎても続くなんて思いもしませんでした」 長男のマコトさん(仮名・46歳)と同居生活を送るヨウコさん(仮名・73歳)。現在の収入は、亡き夫の遺族年金と自身の年金を合わせた月12万円ほどです。 一方、都内のIT企業で働くマコトさんの月収は、手取りで48万円ほどあります。しかし、マコトさんが実家に入れているお金は月に5万円のみ。食費や水道光熱費などの生活費の大半は、ヨウコさんの年金から支払われていました。 さらに、マコトさんは家事の手伝いを一切しません。食事の支度から掃除、洗濯に至るまで、身の回りのことはすべて高齢のヨウコさんに任せきりでした。 「私はもう若くありません。毎日階段を上り下りして掃除機をかけ、重い買い物袋を持ち運ぶだけで、体中しんどいんです」
そんな生活が続いていたある朝、ヨウコさんはキッチンで立ちくらみを起こし、倒れ込んでしまいました。 すぐに意識は戻りましたが、この出来事は「このままでは息子と共倒れになる」という危機感をヨウコさんに抱かせました。 数日悩んだ末、ヨウコさんは“ある決断”を下します。今の自宅を売却して、手にした現金で身の回りの世話をしてくれる高齢者向けのマンションへ移り住むという計画です。 腹をくくって、夕食の席でマコトさんにその考えを打ち明けました。しかし、マコトさんの口から飛び出したのは、倒れた母の体調を気遣う言葉ではありませんでした。 「家を売るってどういうこと? 俺はこれからどこに住めばいいんだよ。家を出たら俺のメシはどうなるんだ」
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自分を育て、何不自由なく世話をしてくれた母親が限界を訴えているのに、自分の生活のことしか頭にない。怒ったような態度で反論するマコトさんの顔を見て、ヨウコさんのなかで長年張り詰めていた糸が切れてしまいました。 「もう、あんたのお母さんをやるのは疲れたわ。あとは一人で生きていきなさい。ちゃんと稼いでいるんでしょ」 ヨウコさんはマコトさんを冷たく突き放し、自室へ引き上げました。現在、不動産会社に連絡を取り、自宅の査定と売却に向けた準備を着々と進めているヨウコさん。 一方のマコトさんはいまだに文句を垂れながらも、一人暮らしをするための物件を探しています。実家というぬるま湯に浸かり続けた中年の息子に、厳しい現実が突きつけられようとしています。
ヨウコさんのように、高齢になっても未婚の子と同居し、身の回りの世話や経済的な負担を強いられているケースは、現代日本において珍しいことではありません。生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査(令和6年)」によると、世帯主から見た同居家族のうち「子供(未婚で就学終了)」がいる割合は全体の25.4%に上ります。 また、内閣府の「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」によれば、高齢者の30.8%が「子(子の配偶者あるいはパートナーを含む)」と同居していることがわかります。マコトさんのような「実家暮らしの中年未婚子」と「高齢の親」という組み合わせは、一般的な世帯の形になりつつあることが推測されます。 しかし、深刻なのはその内情です。内閣府の同調査において、子と同居している高齢者に「子や孫の生活費負担」について尋ねたところ、生活費を「負担している(ほとんど負担している・一部を負担しているの合計)」と答えた割合は49.8%に達しています。マコトさんのように手取り48万円という十分な収入がありながら、実家に月5万円しか入れず、年金暮らしの親に生活費や水道光熱費の大半を負担させる「パラサイト(寄生)」状態が、データ上でも浮き彫りになっています。 子が自立しないまま親が高齢化すると、やがて親の年金と体力は底をつき、ヨウコさんのような共倒れの危機に直面します。「私が甘やかした」と自責の念に駆られていたヨウコさんですが、「家を売却して物理的に環境をリセットし、子を強制的に自立させる」という決断は、自らの健康と残りの人生を守るための妥当かつ合理的な防衛策でしょう。 手遅れになる前に「親からの強制的な離別」に踏み切ることが、長寿化社会の隠れたリスクである「子への過剰な支援・依存」を断ち切る有効な手段であることを、この事例とデータは示唆しているといえそうです。 [参考資料] 生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(令和6年)」 内閣府「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」