石油消費「抑制策を」66%、経済学者調査 在宅勤務など供給減に備え
- 記事を印刷する
- メールで送る
- リンクをコピーする
- note
- X(旧Twitter)
- はてなブックマーク
- Bluesky
日本経済新聞社と日本経済研究センターは経済学者を対象とする「エコノミクスパネル」で原油高への対応を聞いた。石油の消費抑制策が「必要」とする回答は66%に達した。原油の供給が滞るのに備え、在宅勤務や節電を求める声が多い。原油の消費を刺激する政府のガソリン補助金は、縮小や撤廃を支持する意見が86%を占めた。
Q.政府は現在のエネルギーや経済情勢を踏まえ、石油の消費抑制策をとる必要がある
米国とイランの対立により、日本の原油輸入の要であるホルムズ海峡は事実上の封鎖が続く。高市早苗首相は石油備蓄の放出や代替調達で「年を越えて供給を確保できるめどがついた」と述べている。中東情勢の混乱が続けば石油の供給減に直面する可能性もある。
調査では16〜21日、50人の経済学者に日本政府が石油の消費抑制策をとる必要があるかを尋ねた。「強くそう思う」(16%)と「そう思う」(50%)の割合が計66%に達した。
慶応大の清田耕造教授(国際経済学)は「今後のイラン情勢は不透明で、事態のさらなる悪化に備えて石油の消費抑制策の検討を進める必要が出てきている」とみる。
国際エネルギー機関(IEA)は3月、各国に高速道路の制限速度の引き下げなどの省エネ策を示した。アジアの国々は政府主導で消費抑制策を打ち出すが、日本は備蓄放出など供給対策にとどめている。
政策研究大学院大の安田洋祐教授(ゲーム理論)は「ブレーキをかけずに備蓄を消費し続けると、石油や関連製品の買いだめなどが起こる危険性が高まる」と日本の現状に警鐘を鳴らす。
経済学者の主な意見
慶応大の小西祥文教授(実証ミクロ経済学)は「在宅勤務の活用や公共交通の利用促進などの消費抑制策で供給制約に対応するのが効果的ではないか」と述べた。
ホルムズ海峡の原状回復の見通しは立たず、原油高が長引く恐れもある。東京大の岩本康志教授(公共経済学)は「国民生活の安定を図るため悲観的なシナリオにも対応できるようにすることが望ましい」と強調した。
京都大の諸富徹教授(財政学)は「影響の長期化を踏まえ、短期では省エネや節電などの自発的な行動変容から始め、事態の推移により消費抑制策を段階的に強化すべきだ」と語った。
長い目で見たエネルギー需給にとっても消費の抑制が望ましいとする意見も目立った。一橋大の森口千晶教授(比較経済史)は「これを契機に石油に強く依存する経済構造から脱却する方向に投資するのが望ましい」との考えを示した。
対策の優先順位は、政府によるガソリン補助金の見直しが先だとする意見も多かった。現在は補助金により、原油価格の高騰が店頭のガソリン価格などに十分反映されていない。
補助金の廃止により「これまで以上に価格へ反映させることを通じ、市場メカニズムで石油消費を調整すべきだ」(慶応大の藤原一平教授=マクロ経済学)との提案もあった。
経済学者にガソリン補助金の縮小・撤廃の必要性を問うと、「そう思う」との答えが68%で最も多く、「強くそう思う」の回答も18%あった。
Q.ガソリン価格を抑えるための補助金支給は、縮小または撤廃するのが望ましい
補助金による市場のゆがみを指摘する声が多い。米プリンストン大の清滝信宏教授(マクロ経済学)は「補助金の支給は短期的に生活への影響を緩和しても石油の消費節約につながらず資源配分をゆがめる」と語る。
大阪大の恩地一樹教授(税制)は「脱炭素化への経済的な誘因を減らすほか、国の財政を圧迫するため縮小が妥当だ」との見方を示した。
政府は補助金の財源として約1兆円を確保している。京都大の高野久紀准教授(開発経済学)は「現状の補助金は大きすぎで、石油消費抑制のためにも補助金の規模は縮小すべきだ」と言及した。東京大の重岡仁教授(応用ミクロ経済学)は「補助金は縮小し、低所得層や物流・農業など対象を絞った支援に見直すのが望ましい」と指摘した。
財政の悪化を憂う意見も挙がった。仏エコール・ポリテクニークの郡山幸雄教授(ゲーム理論)は「補助金による目先の負担軽減は国債増発を通じた将来の利払いとして跳ね返り、負担は将来世代に及ぶ」と答えた。
経済学者の主な意見
- 記事を印刷する
- メールで送る
- リンクをコピーする
- note
- X(旧Twitter)
- はてなブックマーク
- Bluesky
関連記事
操作を実行できませんでした。時間を空けて再度お試しください。
権限不足のため、フォローできません
日本経済新聞の編集者が選んだ押さえておきたい「ニュース5本」をお届けします。(週5回配信)
ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。
入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。
ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。
入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。