日米の交渉時は要注意、対日圧力の観測が大幅な円上昇リスクに-野村
- 円は数カ月で6%高も、円金利上昇が国内投資家にシフト後押しも
- 1ドル=136円をターゲット、対円でのドル・ショートを推奨
円金利の上昇を背景に、日本の投資家が米資産から資金を引き揚げれば、円の対ドル相場は今後数カ月で約6%上昇する可能性があると、野村が指摘した。米国が日本との貿易交渉で為替相場に関して圧力をかける可能性があるとの見方も、この動きを後押しするという。
野村は9月末までに136円を目標に対円でのドル・ショートを推奨。現在の相場は145円近辺。野村証券の後藤祐二朗氏とノムラ・インターナショナルの宮入祐輔、ドミニク・バニング両氏は日本銀行による着実な利上げに「国内投資家は外債へのエクスポージャーよりも国内債券の投資拡大を促されるだろう」と、6日付の顧客リポートで指摘した。
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3氏はまた、特に日米の貿易交渉という重要な時期に円安が進めば、為替相場に対する米政府の懸念が「強まる」恐れがあるとも警告する。日米が象徴的な為替協定を結ぶとは予想しないものの「市場では『暗黙の』ドル安合意が存在し得るとの見方が根強い」という。
米財務省は5日に発表した外国為替報告書で日本銀行の金融政策に言及。2024年以降の利上げにも触れ、引き締め政策の継続を推奨した。それにより「円安・ドル高を正常化させるとともに、望ましい二国間貿易の構造的なリバランスにもつながる」とした。
野村は5月中旬、それまでのドル・円ショート推奨を撤回。米中の貿易交渉が膠着(こうちゃく)を打破したことを受け、円などの逃避先資産が広く売られたことを考慮した。円はなお堅調を維持し、第2四半期入り後に約3.5%上昇している。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)もこの日、対円でのドル売りを改めて投資家に推奨した。1ドル=138円30銭へのドル下落をターゲットにしているという。ブルームバーグがまとめたサルサイドの為替予想では、ドル・円は第3四半期までに142円に達するというのがコンセンサスになっている。
原題:Nomura Flags Risk of Sharp Yen Rally on US-Japan Policy Pressure(抜粋)